1. 優秀な学生は日本の大学から離れていく:2020年導入テストは「教科別」を廃止?

優秀な学生は日本の大学から離れていく:2020年導入テストは「教科別」を廃止?

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 日本の大学の没落が止まらない。タイムズイヤーエデュケーション(THE)が発表した2016-2017の世界大学ランキングでトップ200にランクインしているのは、東京大学と京都大学の2校だけ。

 少子化によって定員割れや募集停止、閉校になる大学も珍しくない。そんな中、文部科学省から早稲田大学への組織的な天下りの疑惑など、大学に関する明るい話題は少ない。

「東京大学」は世界39位、アジア7位

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 日本国内の大学の評価は滑落の一途を辿っている。大学の質が大幅に落ちたというわけではないが、新しい時代に対応する海外の大学に遅れをとっているのが現状だ。

止まらない大学の没落

 冒頭で述べたように、THEの世界大学ランキングにおいて日本の大学の存在感はだんだんと薄れてきている。2010-2011時点でのランキングでは日本からは5校ランクインしたのにもかかわらず、2016-2017のランキングではわずか2校に止まっている。

 こうしたランキングは、「理系の研究結果」や「英語論文の引用の多さ」が評価基準の大きな部分を占めていることが多い。必ずしも大学の評価を正当に表しているわけではない。だが、日本の大学の世界的な評価が落ちてきていることは間違いない。

 同じくTHEが作成するアジア大学ランキングでも、日本の最高順位は東京大学で7位。その上には中国、香港、シンガポールが2校ずつ、東大の下にも3年連続で韓国の大学がランクイン。

 「アジア中で、日本の大学は最高の教育機関」という評価を受けているわけではない。

海外の学生だけではない:国内でも日本の大学離れが進行

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 東南アジアからの留学生は増加傾向にあるが、日本の大学以外を留学先に考えている学生も多い。

 理由としては、日本語の習得が必須であることや、現地で生活するための奨学金制度が充実していないことなどが挙げられる。だが、最大の理由は日本の大学の評価が落ちてきているところにある。

 この傾向は国内でも例外でない。以前は、一部の優秀な学生が海外の大学を目指すものであったが、今やそんなこともない。中学生、高校生向けに企業が提供する海外大学進学プログラムの数は、右肩上がりだ。

 「点数保証のTOEIC/TOEFL専門学校」を展開する「イングリッシュイノベーションズ」は、留学できなかったら全額返還を保証するプログラムを来春から始める予定。

 海外進学を希望する学生が増えてきた結果、海外進学へのイメージも手軽なものへと変わってきている。

2020年導入の欧米寄りの入試制度「新テスト」

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 このような状況もあって、日本の大学を取り巻く環境は改革の時期に差し掛かっている。各大学の取り組みももちろんだが特に大きい変化は、2020年度から変わる入試制度だ。

「詰め込み型」から「思考型」へ入試改革

 「新テスト」の核となるのは、以下の3つ。

2020年から導入される予定の「新テスト」

  • 高校2、3年次に実施する「高等学校基礎学力テスト(仮)」
  • センター試験の後釜となる「大学入学希望者学力評価テスト」
  • 大学ごとで行う「二次試験」
 入試改革を行う大きな理由は、詰め込み型の従来の学力から思考型に変革することだ。一発勝負、なおかつ暗記型であった従来の試験から、記述式や総合的な学力を問う内容になる。

 大学入学者希望学力テストは、「国語」「数学」「社会」といった教科別の試験ではない。科学の問題で英文読解、社会の問題では数学の知識を使わなければ解けない……教科の壁を超えた出題スタイルになるのだ。

 また、二次試験では「小論文」や「プレゼンテーション」などを重要な評価基準とする方針。国公立大学では、国語の問題に記述式を採用しなければいけないなど「思考型」への入試変革が急ピッチで進められる。

欧米に近い入試スタイルに

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by Dick Thomas Johnson
 新たな入試制度は、欧米の入試制度をモデルとしていることが考えられる。

 イギリスでは、日本の“高校生”にあたる時期に「A-Level」という試験を受けなくてはならない。試験分野は、「政治」「経済」「機械」など大学のように専攻分野別。学生は基礎的なものから専門的なものまで、100を超える教科の中から2-3教科を選択し、受験する。

 A-Levelでも出題される問題は記述式であり、総合力、思考力が問われる。

 二次試験での小論文やプレゼンテーションも欧米の既存制度に寄せる面が大きい。アメリカではエッセイや課外活動、面接の評価配分が高いようだ。

 すなわち上位の学校になると、「猛然と受験勉強をやってきました」という学生はテストの成績が良くても合格できないのだ。


 日本の大学制度は、変わらざるを得ない状況に直面している。入試制度の他にも、留学生や外国人教員の割合を増やして環境のグローバル化を図る大学や、大学ランキングに反映させるよう、研究実績を数値にする「研究の見える化」を進める大学もある。

 いずれにせよ現在の日本国内の大学は少子化だけでなく、新興国の台頭や科学技術の発展によってさらなる「優秀な人材不足」に陥っている。遅からず必要となってくる現状を打破する施策を長い目で見ていきたい。

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