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その「前提」が視野を狭くしている? ホリエモンと考える「正解はひとつ」と「人それぞれ」の違い

野口直希

2017/03/20(最終更新日:2017/03/20)


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 ホリエモンこと堀江貴文が、自身のメルマガに寄せられた質問に答えるYouTube番組「ホリエモンチャンネル」。『堀江貴文のQ&A「答えは1つじゃない!?」〜vol.771〜』では、現代を生き抜くために欠かせない「正解はひとつではない」という思考法をホリエモンが解説。

 今回取り上げたのは、「先日ネットで、日本とフランスの哲学の教え方の違いについての記事を読みました。日本では、この哲学を説いたのは誰かを暗記をさせるような教育をする一方、フランスでは例えば見た絵に対してどう感じたかを生徒たちがどんどん発言していくような教育を小学生のうちからやっています。

 彼らは社会と似たような、答えが1つではない問題があることを学校で習っているようです。日本では大学受験まで答えがある勉強がほとんどです。日本がフランスのような教育に変わっていく可能性はあるのでしょうか?」という質問。

「正解はひとつ」vs「人それぞれ」を哲学用語で言い換えると?

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 ホリエモンは、「(日本の教育)全体が変わるのは難しいけど、一部はすでに変わっているね」と回答。
 
 哲学者の名前ばかりを覚えさせる日本の教育に対して、フランスの教育では作品や事例について生徒がどう考えるかが重視されるのだという。このように日本の学校教育では答えがひとつではないということを学ぶ機会がなかなかないが、これが変わるきっかけはないのかを尋ねたのが今回の質問だ。

 とはいえ、ホリエモンによればすでに部分的には変化の兆しが見られるそう。どちらが良いかを簡単には判断できないが、社会で直面するのは答えが無数にある問題だというのは誰もが認めるところだろう。
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 今回のゲストで哲学ナビゲーターを名乗り『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』などの著書を持つ原田まりる氏は、こうした「答えが各人によって違う」という考え方は、哲学でいう「実存主義」に似ていると解説。

 20世紀から台頭してきたニーチェやハイデガーに代表される実存主義は、「実存は本質に先立つ」というサルトルの言葉に象徴されるように、世の中の絶対的な本質や真理ではなく、まずいま・ここに生きている自分たちの人生から物事を考える哲学のことだ。

 一方で、世界には決まった法則やルールがあるという前提で思考するのが、プラトンやアリストテレスといった古代ギリシャに代表される本質主義哲学。大雑把にいえば、哲学の歴史は本質主義と実存主義の対立だと原田氏は解説。こうやって書くと難しそうだが、これは今回の質問にもかなりよく似た対立構造だ。

どんな問題であっても、正解がひとつとは限らない?

 「やらなきゃいけないこと」を前提にする本質主義と「答えは人によって違う」を前提にする実存主義の違いは、質問者がいう日本の教育とフランスの教育の違いに似ているとホリエモン。このように分けるなら、「ホリエモンやアシスタントの寺田氏は実存主義的だ」と原田氏は考える。2人とも、世の中の常識よりもまずは「自分がどうしたいか」を考えて行動するからだ。

 この対立は少し難しいが、浮気を例に考えてみればわかりやすい。テレビで浮気の報道があった時に「やってはいけないとされている浮気をしているからこの芸能人は悪いやつだ」と自然と考えてしまうのが本質主義的で、個人の状況からその浮気が本当に悪いものだったのかを考えるのが、いわば実存主義的だ。

 このように、絶対の正解がない中で自分なりの答えを出そうとするのが、フランスの教育だともいえるだろう。
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 こうした説明を受けて、ホリエモンもひとつ問題を披露。「300円を持って70円を買いに行った時、お釣りはいくら?」という問いの答えは、実は70円とは限らない。なぜなら、問題文ではジュースを何本買ったかが示されていないし、仮に1本だったとしても70円のジュースを買うならお店には100円玉を払うはずなので、お釣りは30円になる確率が高い。

 このように、日本の学校教育で扱われる問題ですら、答えが1つとは限らない。1つの答えを追求する思考と答えがいくつもある前提での思考はどちらが優れているとはいえないが、少なくとも日本では前者ばかりが扱われすぎていて、社会に出ても前者を前提にしてしまっているケースが少なくない。自分の思考が型にはまっていると気付いた時には、このようなフランス式の考え方をしてみると新たな道が開けるかもしれない。
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  ホリエモンが教育と正解の関係を語った『堀江貴文のQ&A「答えは1つじゃない!?」〜vol.771〜』。動画が観たい方はコチラからどうぞ!


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