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第2のドバイでは終わらない!いま世界でお金持ちの国アゼルバイジャン

Ai Maeda

2017/02/20(最終更新日:2017/02/20)


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 アラビアの富豪として有名なドバイ。砂漠の真ん中に高層ビルが立ち並び高級外車が走る風景はどこか近未来的であり、中東地域のリーダーとして君臨している。石油を巡りアメリカ合衆国や日本にも強気な姿勢を示すこの地域だが、実は近年、別の国が台頭してきたらしい。

 今回は、比較も交えつつドバイに劣らぬ石油大国アゼルバイジャンを紹介する。

アゼルバイジャンはこんなところ!

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 アゼルバイジャンは、東ヨーロッパと中央アジアにある世界最大の塩湖で知られるカスピ海の西南岸に位置する共和国。外務省サイトによると面積は8万6,600平方キロメートルと日本の1/4ほどで北海道と同じくらいで人口も950万人と多くはないが、バクー油田など世界最大の油田により繁栄している。
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出典:www.mofa.go.jp
 1991年の独立以降は不安定な情勢が続いたが、1993年に成立したヘイダル・アリエフ前大統領の政権下で安定した。米露とのバランスを重視しつつも、伝統的な友好国であるトルコとアゼルバイジャン人が多く住むイランとも等距離善隣外交を継続している。民族の90%がアゼルバイジャン系であることからもこの国の独立性を見ることができるだろう。

 アゼルバイジャンの主要産業は石油・石油ガス/石油製品/鉄鋼などであり、保有する油田を最大限に活用している。2014年にはGPD/経済成長率が2.8%を超え、事業的な面でも教育補助的な面でもこれから日本との関わりが深くなる国といえるだろう。

 828mという世界一の高さを誇るドバイのブルジュカリファを超える1,050mのアゼルバイジャンタワーを建設中であり、ホワイトシティプロジェクトと呼ばれる国家プロジェクトも進行中。また有限である石油エネルギーと人口の増加を考慮し、ジーラアイランドと呼ばれる再生エネルギー巨大都市の人工島建設も進んでいる。世界的なテーマパークであるディズニーランドの建設も決定しており、いま活発な国のひとつだ。

ドバイは石油に頼らぬビジネス大国

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 石油のイメージが強いドバイだが、実はドバイの石油埋蔵量はアラブ首長国連邦/UAE7カ国の中でも少なく石油でのGDPは2%である。ドバイというときらびやかなイメージだが、正確にはUAEを構成するひとつであるドバイ首長国連邦の都市ドバイであり、国際的には国と認められていない。しかしその発言力は強大なものがあり、それらはすべてドバイの国造りによるものといえるだろう。

 ペルシャ湾の小さな漁村だったドバイは1966年、ドバイ沖にファテ油田が発見されたことで地域の状況が一転する。石油産業が興隆し人口の流出・多額のオイルマネーによる経済発展を遂げたが、この発展にはひとつの不安があった。当時からドバイの石油埋蔵量は少ないといわれており、バブル景気ともいえる盛り上がりは十数年内に静まるとされていたのだ。

 このことから、ドバイの石油に依存しない国造りがはじまる。20世紀後半には潤沢なオイルマネーを元手とした都市開発が進み、国際空港/エミレーツ空港や世界最大の人口港/ジュベル・アリ港などヒト・モノを運ぶインフラ整備が完成される。経済特区の設置により海外資本の誘致も進み、これにより外国人のドバイ居住率が高まった。いま、ドバイ人口の八割が外国人なことの基礎はここにあるだろう。

 21世紀にはいると石油価格が高騰し経済はさらに発展。世界一を目指す政策は世界中の注目を集め、世界一の高さを誇るブルジュハリファ・世界最大の人口島パームアイランドなどの巨大建築物はドバイの観光名所となった。

 現在のドバイの発展は有限である石油を元手として使った戦略が当たったことが大きく関係しており、当時の政権者たちに先見の目があったといえる。

ドバイとアゼルバイジャンのこれから

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 現在、ドバイを含むUAEのGDPは3%(2013年:ILO)なのに対しアゼルバイジャンは2.8%(2014年:IMF)と僅差で競っているものの、2020年にはアゼルバイジャンがUAEのGDPを超えるといわれている。

 ドバイとアゼルバイジャンの発展を成功させた元手は同じオイルマネーであるが、埋蔵量が違う。世界最大の油田を保有するアゼルバイジャンの発展はある意味で当たり前のことかもしれないが、これからどう進めていくかが重要だ。

 石油ではないが、アゼルバイジャンと同じように燐鉱石という資源を多く保有し、それに甘えたせいで立ち行かなくなった国にナウル共和国がある。大金を手にすると碌なことがないというが、必要以上の資源は豊かさを通り越し破滅を招くのかもしれない。


 アゼルバイジャンの発展方法はドバイと似ている点が多い。世界最大のタワー建設や人工島の建設など、意識している部分があるのだろう。同じ中東地域のライバル同士、互いに高め合い石油に頼らぬ国造りに期待したい。そしてそのビジネス戦略が世界中に広まることを願っている。

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