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IoT導入でますます便利に:今、カーシェアよりも自転車シェアリングがアツい理由

藤田裕太郎

2017/02/13(最終更新日:2017/02/13)


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出典:www.d-bikeshare.com
 株式会社ドコモ・バイクシェアによる自転車シェアリング事業にセブンイレブンも参画する。いま都内で盛り上がりを見せる自転車シェアリングサービスと、そのルーツについて紹介する。

都内で拡大を見せる自転車シェアリング

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出典:www.softbank.jp
 2月8日、セブンイレブン・ジャパンが、ドコモ・バイクシェアによる自転車シェアリング事業のサイクルポート設置を行うと報じられた。6月末までに都内100店舗での
ポート設置、自転車500台配備を目指す。

 自転車シェアリングとは、通常のレンタサイクルとは異なり、複数設けられた拠点のどこにでも自転車の返却が可能というサービスだ。目的地周辺の拠点の場所さえ確認しておけば、わざわざ復路を自転車でたどって返却しに行く必要がなくなる。

大手携帯会社が主導

 NTTドコモは2015年2月、子会社としてドコモ・バイクシェアを設立し、自転車シェアリング事業を推進している。現在は都内6区(千代田区・中央区・新宿区・港区・文京区・江東区)での広域実験において、215ポート数を誇り、2016年は100万超の利用があった。

 赤色のボディが目印のドコモのバイクは、内臓GPSによる位置管理、電動アシスト機能、FeliCaによる解錠システムの採用、などが強みだ。解錠はスマートフォンなどに送られるパスワード入力でも可能となる。

 ソフトバンクも、2016年11月に設立したOpenStreetとともに自転車シェアリング事業に参入した。「HELLO CYCLING」と銘打たれたこのサービスでは、自転車に「スマートロック」と呼ばれるデバイスを取り付けることで、車種を問わずサービスを拡大できる。GPSによる位置管理を備え、交通系ICカードでの解錠にも対応する。中野区でスタートした本サービスは、あさひなど複数の企業との提携で拡大を目指す。

 高まるシェアリングエコノミー需要の中、大手携帯会社の参入により、都内で今まさに拡大しようとしている自転車シェアリング。IoT化の流れにも対応を見せ始めているが、日本への導入にはどのようなプロローグがあったのだろうか。

日本へのコミュニティサイクル導入 フランスから富山へ

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by kimdokhac
 コミュニティサイクルとも呼ばれる自転車シェアリング事業において、本格的な先駆けとなった例が、2007年に運用が開始されたパリの「ヴェリブ」である。

環境対策として始まった「ヴェリブ」

 仏広告企業JCDecaux(ジェーシードゥコー)が運営したこのサービスは、当時深刻だった排気ガスによる環境問題対策の一環として進められた。当時のパリ市長ベルトランは、2020年までに市内の自動車交通量を40%縮小するなどの環境政策を掲げていた。

 結果として「ヴェリブ」は大成功を収め、開始1年にして利用者数が2,700万人を超える、この分野で世界最大規模のサービスとなった。

日本でのコミュニティサイクル

 「ヴェリブ」の成功を受け注目を浴び始めたコミュニティサイクルは日本にも波及してくる。2009年には環境省とJTBなどの共同により、丸の内エリア・札幌で「都市型コミュニティサイクル社会実験」が行われた。

 そんな中、日本で最も早く本格的な導入が行われたのが2010年、富山県富山市の「アヴィレ」だった。JCDecaux子会社のシクロシティが運営するこのシステムは、ヨーロッパ以外での同社コミュニティサイクルシステム導入の初めての例でもあった。これは「ヴェルブ」型レンタサイクル日本上陸として、話題を集めた。
 
 その後国内のコミュニティサイクルは、石川県金沢市の「まちのり」、群馬県高崎市の「高チャリ」、「川越市自転車シェアリング」など、観光と親和する形で、多くの地方都市にも拡大していった。


 現在、都心部で急速な盛り上がりを見せる自転車シェアリングは、フランスの例と同様に環境にやさしいという面と、放置自転車問題の改善という面が期待できる。利用料金は30分毎など時間単位のため、移動距離や目的地によっては、電車などの公共交通機関よりも賢い選択となる場合が出てくるだろう。今後ポート数の拡大やサービスの向上が見込まれ、更に使いやすくなるであろう自転車シェアリングに注目だ。

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