1. ゼログラビティシートを備えた“走るホテル”:「完全個室」の豪華夜行バスが運行開始!

ゼログラビティシートを備えた“走るホテル”:「完全個室」の豪華夜行バスが運行開始!

出典:www.kousokubus.jp
 長距離移動の手段として定着した夜行バスの市場。19カ所あった停留所を1カ所に集約した「バスタ新宿」が2016年4月にオープンして、ますます利便性が増している。

 最近、夜行バス市場に「個室」を備えた豪華車両が続々と登場している。夜行バスの豪華車両とは、一体どのような車両なのか。豪華車両の姿を追っていきたい。

完全個室車両は、まさに「走るホテル」

 大きな事故と法改正を繰り返しながらも、利用者数を伸ばしている高速バス業界。そんな好調な業界だが、最近「完全個室」がウリの豪華車両が登場している。一体どんな車両なのか? 何を目的に作られたのか? 高速バスの豪華車両について見ていきたい。

業界初! 前席個室のDREAM SLEEPER 東京・大阪号(両備グループ)

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 全11席の座席が扉で完全に仕切られている業界初の完全個室を実現した「DREAM SLEEPER(ドリームスリーパー)」は1月18日(水)から運行開始。ホテルに宿泊しているような感覚でバス移動できるのだ。

 こだわりは完全個室という点だけではない。アメニティとしてブランケット、ヘッドホン、ミネラルウォーター、スリッパ、ウェットタオル、歯ブラシ、耳栓、アイマスク。車内Wi-Fi、コンセント、充電用USBも用意。「走るホテル」といっても過言ではないサービスの充実度だ。
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 座席には、NASAの理論に着想を得て作られた「ゼログラビティシート」を導入。背もたれを40度、座面を30度傾斜させ、フットレストを水平にして「胎児がお腹の中にいる状態」を再現。心地よい浮遊感の中でぐっすり寝れる構造になっている。

 「シートがいくら良くても、寝にくいことには違いないだろう……」そう感じている読者もいるかもしれない。しかし、同車両の座席には「ムアツクッション」と呼ばれる凹凸形状のクッションを採用している。ムアツクッションによって、快適に眠れるようになっているのだ。

 しかし、豪華な造りであるため値段が張ってしまう。東京・大阪間は新幹線で約2時間半、料金は10,200〜15,000円。通常の夜行バスで、平日の最安値は1,400円。それに対してDREAM SLEEPERは「20,000円」という価格設定だ。

 その他の手段と比較すると割高に感じるが、宿泊代がかからないことや、朝に目的地に到着してすぐに行動ができるメリットもある。忙しいビジネスマンや、快適な移動時間を過ごしたい女性客といった幅広い層をターゲットとしている。

幅広座席とラグジュアリーな雰囲気:マイ・フローラ(海部観光)

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 東京、徳島間を運行するマイ・フローラ。DREAM SLEEPERと同様、座席は2列。最大約50席配置できる車内に、12席をゆったりと配置している。

 同車両も、カーテンを閉めるとほぼ個室のような造りになっている。徳島県産の木材でしつらえたパーティションが、モダンな雰囲気を醸し出していて、とてもバスの車内とは思えない。

 土足禁止の車内、パウダールーム、小型テレビ、コンセント。幅が70cm程ある座席は、155度までリクライニングできる。レッグレストも完備しているので寝心地は抜群だ。
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 海部観光の副社長・山元浩文氏は「乗車人数が少なくなるので、1台では採算を考えると難しい」と話している。一方で、「お年を召された方にも東京などに旅行へ行ってもらいたい」という想いもあると、同氏。採算重視ではなく、お客様のニーズに合わせた車両を作ったようだ。

 マイ・フローラの料金は13,100円〜。東京・徳島間を飛行機で行く場合は、時期や予約日によって異なるが、1月16日の段階で座席が残っている最安チケットは21,540円(片道)。飛行機は、羽田空港から徳島空港まで、1時間20分。マイ・フローラは、バスタ新宿から徳島駅前まで8時間10分。短時間で行くか、のんびりと快適にバスで行くか迷いどころである。

はかた号(西日本鉄道)

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 東京・博多間を運行するはかた号。先に紹介した2つのバスとは異なり、バス前方4席だけが個室空間となっている。個室の横幅は、80cm、縦は190cm。

 フットレスト付きの本革シート座席は、マッサージ機にもなる。設備も、スリッパ、空気清浄機、コンセント、飲み物、USBポート、アイマスク、専用タブレット、汗拭きシートなど、豪華車両で定番のラインナップだ。

 バスタ新宿から福岡(天神)まで、約14時間とかなり長旅。飛行機の場合は2時間10分。値段は、高速バスが17,000円〜20,000円、飛行機はLCC利用で4,970円〜。JALやANAを利用すると25,790円となっている。


 以上、高速バスの豪華車両について紹介した。年間輸送人員は約1億1,500万人と、好調な高速バス市場であるが、東京・大阪間のような人気区間は運行会社同士の競争も激しいようである。豪華車両も、他社との差別化を図るための施策の1つだということも考えられる。

 近年では、訪日外国人旅行者も利用するようになってきている夜行バス。JR新宿駅の新南改札と直結したことによって、日本人だけでなく外国人も高速バスを利用しやすくなったはずだ。利用者の伸びはまだまだ期待できる。

 車両の快適さを向上させるだけでなく、「軽井沢スキーバス事故」のような大きな事故が2度と起きないように安全対策にも尽力してほしい。変化を続けるであろうバス業界に、今後も注目していきたい。

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