1. 今の時代において残業はマイナスでしかない:『残業ゼロがすべてを解決する』

今の時代において残業はマイナスでしかない:『残業ゼロがすべてを解決する』

 政府は「働き方改革」を今年の重点課題に位置付けている。同一労働同一賃金、ダイバーシティの推進など内容は様々であるが、長時間労働の是正は特に喫緊の課題といえる。

 長時間労働の原因となる残業だが、中には「残業はなくならない」「残業があるのは仕方がない」という考えの人もいるのではないだろうか。

 しかし、今回紹介する『残業ゼロがすべてを解決する――ダラダラ社員がキビキビ動く9のコツ』の著者である小山昇氏は、「残業を放置する社長は、犯罪者と同じである」と主張する。

 小山昇氏が犯罪と称するほど残業を悪と断定する理由、そして、残業を無くすためには何が必要なのかをみていこう。

残業を減らさなければならない4つの理由

 時代の変化に対応し、会社をつくり変えていかなければいずれ取り残されてしまう。残業を減らさなければならない4つの理由を以下に挙げる。

雇用・採用の変化 

 人口が減少していること、また、就職先の選択肢が増えたことにより売り手有利になったことで、人手不足が問題となっている。

 「辞めても次の人がいる時代」は過ぎ去り、今は「辞めたら次がいない時代」である。今いる社員の生産性を上げ、ひとりあたりの労働時間を減らさなければ、会社は生き残れない。

新卒社員のトレンドの変化

 適性テストを分析した結果、給料よりも休みを優先するのが、今の学生のトレンドであることが分かった。「辞めたら次がいない時代」である今、新卒社員が辞めないようにするためには、残業の抑制が欠かせないのだ。

「月45時間以上」の残業は法令違反

 労働基準法第36条、通称「36協定(サブロク協定)」には「時間外労働の限度時間」は「1カ月45時間」と定められている。コンプライアンスの強化が求められている昨今において、残業を45時間未満にとどめるのは責務なのである。

社員の「健康」を重視する機運

 電通の過労死事件が話題となったこともあり、会社および経営者に社員の健康を守る責任が問われている。ブラック企業という言葉も浸透している今、社員を犠牲にして成り立っているような会社は生き残れないのだ。

「残業ゼロ」を実現するためには

 「残業ゼロ」を実現するためには何が必要なのだろうか。本書に掲載されている、残業への取り組みを進める32社の社長に聞いたところ、最も多かった答えは以下の5つであった。

社長が強い「決意」を示す

 残業代が減ることにより手取りが減るなど、残業が減ることを必ずしも喜ばない社員がいるかもしれない。しかし、残業問題やその他改革を進めたいのなら、まずは社長が強い決意を示す必要がある。

退社時間を「チェック」する

 社長がただ「早く帰れ」と言っただけでは、残業を減らすことはできない。タイムカードや施錠時間をチェックし、残業をする場合は申請書を提出させて理由をチェックする。そうすることで現状を確認しなければならない。

「終わりの時間」を決める

 「終わりの時間」を決めないと、漫然と仕事をすることになってしまう。決められた時間の中で成果を出すことを心がければ、やり方を工夫し、集中して仕事をするようになる。

価値観を共有する

 価値観を共有できていなければ組織はバラバラになり、問題を解決することはできない。飲み会、面談、勉強会などを頻繁に実施して、「なぜ、残業を減らす必要があるのか」を社員に周知する必要がある。

整理・整頓をする

 ここでいう「整理」とは捨てること、「整頓」とは、揃えることである。整理が身につくと、やらなくてもいい仕事を判断できるようになってムダがなくなり、その結果、仕事が早く終わる。整頓が身につくと、仕事の段取りを考えたり、仕事の均一化を図ることができるようになる。

「残業ゼロ」で得られるもの

 残業を減らすことによる効能は非常に多い。以下に“一石七鳥”の効果を示す。

「残業ゼロ」に意識と行動を向けると得られるもの

  • 過去最高売上・最高益更新
  • 劇的な生産性アップで人件費削減
  • モチベーションアップで社内活性化
  • ダラダラ社員がキビキビ働く
  • 新卒採用で最大の武器になる
  • 社員が辞めない会社に変わる
  • 明るく健康で家庭円満になる
 上記は夢物語ではなく、著者が社長を務める会社の実績である。「会社の規模が違うから」「仕事の内容が違うから」参考にならないという反論があるかもしれないが、著者はこう主張する。

製造業も小売業もサービス業も、「社員側」から見れば何も変わりません。なぜなら、どの業種でも、「仕事をして給料をもらう」からです。

出典:残業ゼロがすべてを解決する
 経営原則がどの業種でも同じ以上、残業問題への取り組みには共通点がある。また、どの業種においても、残業を減らし、その効用を得ることは可能なのだ。


 本記事を執筆している私は正しくゆとり世代の人間であるが、「残業の容認は犯罪と同じ」という筆者の主張は素直に頷ける。

 その理由として最も大きいのが、「残業などをしてたくさん働いたところで何が得られるのか」というものだ。仕事よりもプライベートの優先を望む傾向にある世代の人間としては、極端に言えば、「残業」に対する生理的嫌悪があるのである。

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