1. 女性主人公が不人気はウソ?歴代大河ドラマ55作品から探る「ヒットの法則」

女性主人公が不人気はウソ?歴代大河ドラマ55作品から探る「ヒットの法則」

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 先日、2016年の大河ドラマ「真田丸」が大好評のなか放送を終了した。「真田丸ロス」という言葉でお茶の間が寂しくなるほど夢中にさせたこの作品は、戦国時代の武将真田幸村/信繁を主人公に真田家を描き、平均視聴率16.6%という2011年「江 姫たちの戦国」以来の高視聴率を収めた。テレビ離れが懸念されるここ5年間の大河ではヒットと言える。
 
 真田の地として知られる信州上田市では最終回を劇場で視聴するライブビューイングも行われ、幸村の父真田昌幸役・草刈正雄氏の登場に観客からは彼が最も敬愛した武田信玄を指す「お館様!」という掛け声も上がった。
 
 NHKの大河ドラマは1963年から数え2016年までに55作品が放送され、数々のブームを引き起こしてきた。今回はビデオリサーチ調べの視聴率から、1年の顔とも言える大河ドラマの人気の時代とストーリーを探る。

視聴率トップ10中3作品は女性が主人公

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  「花燃ゆ」「八重の桜」の視聴率が低迷したせいか、大河ドラマは女性が主人公だとヒットしないという印象を持つ人がいるがそれは間違いである。

 2016年までに放送された大河ドラマのうち、最も視聴率が良かった作品は「独眼竜正宗」次いで「武田信玄」だが、3位の座につくのは1989年放送の「春日局」だ。3代将軍徳川家光の乳母として大奥を取り仕切った彼女の人生を描くストーリーは視聴者を虜にし、32.4%という好記録をおさめた。

 大河ドラマ全体でのトップ10作品中3作品は女性が主人公のものだ。豊臣秀吉の正妻寧々の人生をドラマチックに仕上げた1981年の「おんな太閤記」は5位の31.8%。終戦直後から高度経済成長期を生きる女性の姿を脚本家の橋田寿賀子氏が自らの記憶と重ねて書いた「いのち」は9位の29.3%である。

 3つの作品は共通して「強い」女性象が描かれており、男性を立てるべきところは立て叱るところは叱る、凛々しく美しい女性の理想像とも言えそうだ。

 大河ドラマ全体では女性が主人公の作品は約1/4の12作品、うち夫婦2人で主人公のものは2作品と多くはない。2000年以降では2008年の「篤姫」が24.5%で視聴率トップであることや数が少ないのにランキングに食い込むところを見ると、女性主人公の大河はヒットしないという悪しきジンクスはあくまで噂のようだ。

架空の人物が主人公の大河ドラマもあった!

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 大河ドラマといえば歴史上の人物を題材にしているイメージが強いが、架空の人物が主人公の物語もある。過去に放送した大河中、架空の人物を主人公に据えた作品は5つあり、女性が主人公のものとして挙げた歴代視聴率9位の「いのち」はその代表だ。

 また、戦国武将・武家に限らず商人やアメリカ合衆国と日本のハーフの兄弟を主人公として描いたものもあり、大河ドラマの多様性もみられる。「次にみたい大河ドラマ」に「近代」「太平洋戦争」等の声があるが、実は既に作成されていたのだ。

 「いのち」以外の架空の人物を主人公にした作品には、幕末維新を生き抜く旗本三姉妹の姿を描いた「三姉妹」。勝者となった薩摩武士・敗者となった会津武士がそれぞれの道で幕末維新を生き抜く「獅子の時代」。

 日系アメリカ人2世の兄弟からみた太平洋戦争にまつわる出来事を極東国際軍事裁判等を交えて描く「山河燃ゆ」。琉球王国が薩摩藩主島津氏により支配される様子を琉球視点で語る「琉球の風」がある。

不動の人気「戦国時代」

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 歴代大河ドラマ55作品を「平安~南北朝」「戦国」「江戸」「幕末維新」「昭和」の5区分で分けたところ扱われた回数が1番多いのは「戦国」で17作品、次いで「幕末維新」の14作品、3位が「江戸」の12作品で4位は「平安~南北朝」の10作品。「昭和」は2作品だった。

 視聴率トップ10を見ると「戦国」が6作品と最も多く、「江戸」が3つの「昭和」が1つといった具合で「独眼竜正宗」や「武田信玄」「太閤記」等、戦国時代を扱う作品は根強い人気を誇ることがうかがえる。また、全体で2作品しか作成されていないにも関わらずランキングに入るところからは日本人の太平洋戦争への意識の高さが考えられる。

 スマートフォンやネットの普及でテレビ離れを懸念されるここ5年間は大河ドラマの視聴率は低迷しているが、2014年「軍師官兵衛」や2016年「真田丸」は視聴率が高い。武将という絶対的なリーダー性を持つ人物の生き様に、視聴者に染みついた「武士道」が共感を呼ぶのだろう。

 人気のテーマでいえば現代日本のブラック企業の先駆けとも言われる「忠臣蔵」が別の視点から4回作成されており。出生が定かではなく下剋上で知られる「豊臣秀吉」が2回、正妻である「寧々」を主役とした作品が1回作成されていることから、それぞれ人気があることが分かる。

 2000年代になってからの作品も6作品が「戦国」を扱っているが5作品は「幕末維新」を描いており、吉田松陰の妹や新島襄の妻など歴史の裏の顔をテーマにするものも出てきた。

 1986年以前は架空の人物を主人公とした作品や武将・姫以外の人物をテーマとしたものが多くあったのに比べ、近年は目立たなくなっていたからだろう。残念ながら2つの物語は不発と言われるなかで放送を終えたが、過去にはヒットしているものもあるので、今後も人気の時代や武将の知名度だけに頼らない「マイナー」と称される人物を主役にした大河に期待したい。


 2017年度の大河ドラマは女性として生まれたにも関わらず、家を守るために武士として生きた井伊直虎をテーマにした柴咲コウ主演「おんな城主直虎」だ。

 幕末の重臣井伊直弼の先祖であり、ひこにゃんでお馴染み名城彦根城主の物語である。「女性が主人公の大河はヒットしない」というジンクスと「戦国時代はヒットする」というジンクス、2つのジンクスを秘めた作品は一体どんな感動を視聴者へ届けてくれるのだろうか。2017年1月8日からはじまる第56作品目の大河ドラマ「おんな城主直虎」が今から楽しみだ。

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