1. 国内納車間近の「モデルX」に試乗して感じたテスラが提案する“クルマの未来”

国内納車間近の「モデルX」に試乗して感じたテスラが提案する“クルマの未来”

国内納車間近の「モデルX」に試乗して感じたテスラが提案する“クルマの未来” 1番目の画像
 電気自動車(EV)専門のメーカーとして2003年にアメリカ・シリコンバレーに設立されたテスラ。

 その3台目のモデルであり、同社初のSUVである「モデルX」に試乗することができたので、そこから垣間見える同社のクルマ作りのフィロソフィーについて触れてみたい。

最新の“テスラらしさ”を感じられるモデル

国内納車間近の「モデルX」に試乗して感じたテスラが提案する“クルマの未来” 2番目の画像
 テスラが自動車業界の枠を超えて幅広い層から注目を集め続けるのは、初代モデルの「ロードスター」、2台目モデルの「モデルS」と魅力的なハードウェア(クルマ)をリリースし続けているのに加えて、ソフトウェア・アップデートによって既に販売されたクルマに対しても新たな機能を追加しているためだ。

 2016年からは「モデルS」に自動運転機能を追加し、大きな話題となったことは記憶に新しい。
国内納車間近の「モデルX」に試乗して感じたテスラが提案する“クルマの未来” 3番目の画像
 今回試乗したマシンは「モデルX」の「P90D」と呼ばれるグレード。「P」はパフォーマンスを「90」は90kwhというバッテリーの容量を、そして「D」は2つのモーターによって4輪を駆動するデュアルドライブを意味する。
国内納車間近の「モデルX」に試乗して感じたテスラが提案する“クルマの未来” 4番目の画像
 国内での納車はまだ始まっていないため、ドライブしたマシンは左ハンドルで、トップグレードである「P100D」のみに設定される時速100kmまでわずか3.1秒という加速を実現する「ルーディクラス(「馬鹿げた」という意味)モード」が搭載されていた。

 バッテリーの容量以外は、トップグレードと同等のスペックだ。また、ソフトウェアは市販モデルでは「バージョン8.0」と呼ばれる自動運転機能やUIを刷新したものがインストールされるはずだが、その部分については旧バージョンのままとなっていた。

 とはいえ、その走りとユーザビリティは同社の最新モデルらしく、革新的で自動車の将来像をイメージさせるものだった。

ドアの開き方にも現れるテスラの特色

 “テスラらしさ”はクルマに乗り込む段階から感じることができる。スマートキーを持ったまま運転席に近付くと、ドアが自動で開いてドライバーを車内に迎えてくれる。

 そして、ドライバーズシートに収まり、ブレーキを踏むとドアは自動で閉じる。両手に荷物を持ったままの状態でも乗り込むことができる設計だ。ドアの内部には超音波センサーが内蔵されていて、人や隣のクルマに当ってしまうようなことはない。
国内納車間近の「モデルX」に試乗して感じたテスラが提案する“クルマの未来” 5番目の画像
 また「モデルX」のイメージアイコンとなっているのは後部座席の「ファルコンウィングドア」にも同様のセンサーが搭載されており、隣のクルマとのクリアランスが狭い場所では2つのヒンジの開き具合を調整し、接触しないように開いてくれる。

 そのデザインのインパクトに目を奪われがちだが、座席の上部の屋根とともに上にせり上がることによって、チャイルドシートに子どもを乗せる際にも頭をぶつけにくいというメリットがある。ドアが屋根のようになるため、雨の中でも乗員やシートを濡らしにくいのも利点だ。
国内納車間近の「モデルX」に試乗して感じたテスラが提案する“クルマの未来” 6番目の画像
 現CEOのイーロン・マスクを始め、IT業界出身のメンバーによって創立されたテスラは、ソフトウェア・アップデートによる機能追加など既存の自動車業界の枠にとらわれない発想のクルマ作りをするのが特色だが、ドアの開き方1つにもそうした発想の柔軟さが表れている。

電気自動車らしい加速感は健在

 アクセルを踏むと前後合わせて471PSを発揮するモーターが音もなく車体を加速させる。車両重量は2,468kgとかなりヘビーだが、その重さを感じさせない加速感で、高速の追い越しなどで少し強めにアクセルを踏み込めば他車を置き去りにすることも簡単にできてしまいそうだ。

 ドライブトレインは「モデルS」と同等で、車重は300kg以上重いはずだが、その差はほとんど感じない加速性能だ。
国内納車間近の「モデルX」に試乗して感じたテスラが提案する“クルマの未来” 7番目の画像
 SUVらしく車高は高められているが、重量のあるバッテリーが床下に収められているため、コーナーでも腰高な感覚は一切なく、安定した走り。最低地上高は「モデルS」の134mmに対して137mm(車高を最も低くした状態)とその差わずか3mmに抑えられていることも効いているのだろう。

自動運転機能のバージョンアップ

 テスラの名を一躍高めたのが「モデルS」で自動運転機能にいち早く対応したこと。「モデルX」の市販バージョンでは自動運転機能も一新され、従来の単眼カメラを主としたシステムを見直し、ミリ波レーダーを主としカメラがそれを補う仕組みとされることが発表されているが、今回試乗したモデルは、まだ従来のシステムを用いていた。

 ただ、それでも以前に試乗した「モデルS」の自動運転機能からはブラッシュアップが図られていた。

 自動運転中にはメーターパネルに周囲を走行するクルマが表示されるが、その際のアイコンはトラックと乗用車が区別されていたが、バイクもバイクの形で表示されるようになっていた。また、高速道路の追い越しなどで、ウインカーを出すだけで車線変更を行うことができるが、そうしたシーンでの加減速もスムーズになっていると感じられた。
国内納車間近の「モデルX」に試乗して感じたテスラが提案する“クルマの未来” 8番目の画像
 こうした機能アップがソフトウェアのアップデートで行えるのがテスラ車の魅力の1つ。スマホなどでは当たり前になっている機能だが、それがクルマで体感できるのは現状テスラ車だけ。

 テスラオーナーは購入後もソフトウェアを更新することで、追加される新たな機能を利用することができる。アップデートはクルマに搭載された通信回線を介してワイヤレスで行われるが、「モデルX」からはその回線が従来のドコモの3GからLTEとなった。
国内納車間近の「モデルX」に試乗して感じたテスラが提案する“クルマの未来” 9番目の画像
 「モデルX」は購入時に75kWh、90kWh、100kWhのバッテリー容量を選ぶことが可能。満充電での走行可能距離はそれぞれ417km、489km、542kmと十分なものだ。

 乗車定員はシートのレイアウトに応じて5~7人となっており、3列目のシートは折り畳むことで広い荷室容量を確保できる。エンジンも搭載していないため、フロントにもトランクを装備しているのもEVならではのポイントだ。
国内納車間近の「モデルX」に試乗して感じたテスラが提案する“クルマの未来” 10番目の画像
 個性的なデザインやスーパーカー並みの加速性能が注目される「モデルX」だが、自動で開閉するドアの設計や広いユーティリティスペースなどを見ると、実際の利用シーンを想定したユーザー中心のクルマ作りがされていることがわかる。
国内納車間近の「モデルX」に試乗して感じたテスラが提案する“クルマの未来” 11番目の画像
 電気モーターならではの俊敏な加速と低重心による安定した走行性能など、クルマとしての基本性能の高さも感じられ、単なる目新しさを狙ったモデルではない。ソフトウェアによって進化し続ける機能も搭載するなど、ガラケーがスマホになった時のような大きな革新がクルマにも訪れていることを感じさせるモデルだ。

U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する