1. 日ロ首脳会談は本当に「ウィンウィン」だったのか:70年続く北方領土問題解決には茨の道が待っている

日ロ首脳会談は本当に「ウィンウィン」だったのか:70年続く北方領土問題解決には茨の道が待っている

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by snotch
 12月15日、16日にかけてプーチン大統領が来日し、日ロ首脳会談が行われた。今回の来日で安倍首相との会談は2006年発足の第一次政権から数えて16回目となる。焦点となったのは、主に北方領土問題と経済協力の2点だ。

 特に北方領土問題は長年解決されていない戦後処理問題。国民の注目度は高く、返還への前向きな交渉を望んでいる人も少なくない。首脳会談で見えた北方領土と日ロの関係を紐解いていきたい。

「共同経済開発」は進展と捉えられない

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by Dick Thomas Johnson
 70年経っても解決されない北方領土問題。時代によって北方領土問題は解決に向かったり遠ざかったりと、一進一退を繰り返してきた。今回の会談での合意は解決に進む一歩となったのか。

北方四島を日本、ロシア合同で開発

  16日の共同記者会見で安倍首相は元島民の「もう時間がない」というふるさとの気持ちを強調した。「私たちの世代、私たちの手で終止符を打たなければならないとの強い決意を確認した」と語る場面も。元島民が島に往来できるよう規制緩和を前向きに進めるようプーチン大統領と合意したと話した。

 また、「特別な制度」として北方四島の共同経済活動への交渉を開始する旨を明かした。安倍首相は、同経済活動の意義が長期的な信頼関係の構築と平和条約締結のための一歩であると述べた。確かにこの合意は返還するかしないかという前提から離れたという点で今までの交渉と異なり、進展したようにも捉えられる。

「特別な制度」は吉と出るか凶と出るか

 ただ、ロシアは自国の法律に基づき実施するという姿勢を見せており、日本が譲歩した形だ。北方四島の主権についての議論は進展しておらず、今回の提案が領土返還の進展に直接つながる可能性はほとんどないと言えるだろう。

 それに加え「交渉を開始する合意」であって、まだ具体的な活動が決まった訳ではない。実は、1998年にも共同経済活動が提案され委員会まで設けられたものの、自然消滅した経緯があり今後の動向に不安が残る。

 日露関係は経済関係や指導者によって変わってきた過去がある。現在はプーチン大統領と安倍首相という比較的強い指導者がいるが、今後の関係の変化によっては共同経済活動が頓挫する可能性も十分にあるだろう。

 それでも楽観的観測で見てみれば、共同経済開発が円滑に進み北方四島に日本人が住む日が来る可能性もないことはない。どちらに転ぶにせよ、今後の日露関係の安定剤が求められていることは間違いない。

今回の首脳会談で変わったこと

  • 北方四島の共同経済開発の交渉開始を合意
  • 主権の所在は未だに不透明なまま

新たな経済協力で日露関係は「ウィンウィン」なのか

 今回のプーチン氏来日に当たって、経済協力に関しても議論された。15日には安倍首相とプーチン大統領がエネルギーや医療など8項目にわたる経済協力プランに合意。16日の午前に政府だけでなく両国の民間企業も交えて意見交換が行われた。

 北方領土問題だけでなく経済でも新たな枠組みが作られ始めている。安倍首相は日露関係をウィンウィンなものにしたいと会見で述べていたが、日本が得られた利益は案外少ないのかもしれない。

ロシアの希望通りの経済協力

 今回合意した経済協力プランでは、エネルギーや医療、都市づくり、スポーツ交流など多岐にわたる分野での経済協力が予定されている。日本側の経済協力の総額は、民間を含めて約3,000億円になる。

 昨年、日本とロシア間で貿易額が大きく減少したこという背景もあり、会見では両首脳とも経済的つながりの必要性を強調。また、経済的つながりを強めることが長期的で良好な関係につながり、平和条約締結にもつながると語った。

 ただ、日本が北方領土問題で得た恩恵と比べると今回合意した経済協力の方がはるかに大きいと言える。前述した通り、北方四島の共同経済開発はまだ交渉が開始されていないのが現状だ。どれくらいのスパンで交渉が進められていくかも明らかになっていない。

 そう考えると、ロシア側からすれば希望通りの結果になったと言える。北方四島への原則的な姿勢は変えず、停滞している経済への援助を得る。確かに日本にも経済協力はビジネスとして企業への利益はあるが、もらったものはほとんど何もないというのが実情だ。

ロシアと友好関係を結ぶ意義

 それでも、ロシアと良好な関係を結ぶことには意義がある。一つには日本周辺での軍事挑発を控える点。日本に在日米軍がいる限り、ロシアが日本に向けて軍事行動をとることになる。極東におけるロシアの軍事力は大きいわけではないが、南シナ海での中国の動きを考えればロシアに対処するのは負担が大きい。

 二つ目はロシアの尖閣諸島問題での姿勢だ。現在、ロシアは尖閣諸島の主権の所在の明言を避けている。東アジアで優位な立場を保っておくためには、ロシアは必要なパートナーなのだ。

 
 今回のロシアとの合意で得られたものは決して多くない。北方領土で結論を得られなかったことにもかかわらず経済協力を受け入れたのは、ロシアへの譲歩に他ならない。

 それでも、平和条約締結に向けての枠組みを作ったことに加え、経済面で友好的な関係を結ぶ決意をした。今回の会談が5年後、10年後の遺産になっていることを願う。

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