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ムーミンのテーマパークが埼玉・飯能市に2019年OPEN! 台場、立川を抑えてなぜ選ばれたのか?

Takuro Aizawa

2016/12/23(最終更新日:2016/12/23)


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ムーミンのテーマパークが埼玉・飯能市に2019年OPEN! 台場、立川を抑えてなぜ選ばれたのか? 1番目の画像
出典:moomin.co.jp
 USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)に任天堂の新エリアがオープンするなど、テーマパークの話題に事欠かない昨今。そんな中、新たに「ムーミン」のテーマパークが埼玉県・飯能市にオープンすることが決定した。

 国内の様々なライバル都市が候補に挙がる中、なぜ飯能は選ばれたのだろうか? 本記事では飯能が選ばれた理由にフォーカスしながら、ムーミンのテーマパーク「metsa(メッツア)」の魅力に迫っていこう。

『metsa(メッツァ)』ってどんなところ?

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 埼玉県・飯能市にオープンすることが決定した「メッツァ」はムーミンの生まれたフィンランド以外では初めてとなるテーマパーク。飯能市の宮沢湖を中心とした広大なエリアにオープンし、パーク内は2つのゾーンに分かれ、2018年秋に北欧のライフスタイルを体験できる「メッツァビレッジ」が開業、2019年春にムーミンの物語を主題とした「ムーミンバレーパーク」がオープンする。

 フィンランド語で“森”を意味するメッツァ。その名の通り、自然溢れる緑の空間でムーミンのファンタジーや北欧の文化体験や暮らしに触れることができる。

 主なコンセプトは、6つの体験価値“挑戦、創造、共有、解放、探求、創造”の提供。北欧時間がゆっくりと流れる森と湖で心の豊かさを取り戻し、その体験を日常生活へと持ち帰ることができるような場所となるのが目的だ。人々の五感を刺激する体験、そして何度も訪れたくなるような体験が待っているのは間違いない。

北欧の世界が広がる「メッツァビレッジ」

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 「ムーミンバレーパーク」に先駆けて、2018年秋に開業となる「メッツァビレッジ」では北欧のライフスタイルを提案。自然豊かな公園、そして自然を身近に感じられる施設やアクティビティを展開。

 さらに新鮮な地元野菜や工芸品などを購入できるマーケットや湖を眺められるサウナを完備した宿泊施設、グランピング施設も計画されており、滞在してゆっくり過ごすことができるのも嬉しい。

 そのほか、ワークショップを行える場所や催事スペースなども園内に設けられ、北欧の世界を思う存分楽しめるコンテンツが目白押し。入場は無料なので日常的に誰もが気軽に楽しめる場になることが期待できそうだ。

ムーミンと仲間たちに出会える「ムーミンバレーパーク」

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 ムーミン一家とその仲間たちに出会える「ムーミンバレーパーク」。彼らが仲良く暮らすムーミン屋敷や物語を体験できる複数のアトラクション、物語の中で登場する灯台や水浴び小屋が設置される。また、ムーミンの物語の魅力や、原作者トーベ・ヤンソンの想いを感じられる施設も登場予定だ。

 そのほか、お腹を満たしてくれるレストランや、オリジナルグッズが多数取り揃う大型のギフトショップも。ぬいぐるみやマグカップなど「ムーミンバレーパーク」のロゴがデザインされたアイテムは世界初の展開。ファンにはたまらない場所となりそうだ。

「metsa(メッツァ)」の詳細

  • オープン時期:2019年春グランドオープン(予定)
  • 「メッツァビレッジ」は2018年秋開業(予定)
  • 敷地面積:約25ヘクタール(東京ドーム4個分)
  • 所在地:埼玉県飯能市宮沢431番3外58筆及び湖畔市有地

“本家”ムーミンパークはどんな感じ?

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 着々と建設が進んでいるとはいえ、今のところイメージ画像やイラストでしか全容が分からないムーミンパーク。そこで“本家”フィンランドにあるムーミンパークを簡単に紹介していこう。

“本家”ムーミンパークはナーンタリという街の小さな島を丸ごと利用!

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 ナーンタリはフィンランドの南西部に位置する街。首都ヘルシンキからは列車でトゥルクという街まで行き、そこからバスで行くことができる。海に面し、豊かな自然に囲まれており、ムーミンの世界観を表現するのには絶好のロケーションだ。

 今回飯能市が招致に成功した理由には、ナーンタリのような自然に囲まれた場所であることが不可欠だったことが大きいだろう。

街にはパステルカラーの家が立ち並ぶ

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 街には18~19世紀に建てられたパステルカラーの家々が建ち並ぶ。これだけでムーミンのロケーションを感じるが、同様にムーミンに関連した建物も多く、まさに街全体がムーミンワールド、そしてムーミンと共にあることがわかる。

パーク内にはキャラクターたちの家が点在

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 パーク内にはキャラクターたちの家も。上画像のスナフキンのコテージはもちろん、ムーミン谷の住人の家は中に入って楽しむことが可能。

 キッチンやリビング、寝室、書斎などがリアルに作られており実際にキャラクターたちが生活しているような感覚を提供してくれるはずだ。

キャラクターたちがショーを繰り広げる劇場も併設

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 パーク内にはレストランや劇場等もあり、劇場ではキャラクター達のショーを見ることができる。

 “本場”のムーミンパークは絶叫マシーンや乗り物などのアトラクションがあるようなテーマパークではなく、ムーミン谷の日常を体感するような場所。自分もムーミンのキャラクターの一人になったような気分が味わえる、それがムーミンワールドなのだ。

ムーミンの世界観を体現した“豊かな自然”が招致の決め手に

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 飯能には1997年設立に設立された「あけぼの子どもの森公園(上画像)」が存在する。ムーミンの童話にインスパイアを受けており、童話の根幹に通じる『自然との共生・自我と自由の尊重』という理念を基に作られた公園なのである。この公園が招致の大きな一助となったことは間違いないだろう。

当初は立川や豊洲がライバルだった

 当初は東京都立川市で屋内型パークを建設予定だったが、入札面で折り合いがつかず。

 屋内型という点をふまえ、続いて豊洲、台場を始めとした都心部が有力候補に挙げられた。

 しかし、事業を手掛ける投資会社フィンテックグローバルの玉井社長の「やはり森や湖、本物の自然がないと、ムーミンのイメージを出せない」という一声で建設地に自然が重視されることに。

 この機を逃すまいと地元産木材をふんだんに使った市立図書館や、前述のムーミン谷公園などを紹介し「自然と共生する街」というイメージを積極的にアピールし、飯能市は建設地を勝ち取ったのである。

不安点は“都心からのアクセス”

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 宮沢湖畔はもともと、地元中学校のマラソン大会や地域住民の集会が行われるなど、地域住民に馴染み深い場所でもある。同市はフィンテックと地域創成の面で業務提携が決定しており、これからの発展が期待できそうだ。

 とはいえ、やはり都心部からの顧客獲得が成功の要になる。すると今後、間違いなく対応が必要になるのは、現地への交通アクセスの改善だ。飯能駅へは東京・池袋駅から西武鉄道の特急号に乗り約40分。さらに飯能市の中心市街地から3キロメートルほど森の中に分け入っていかなければならず、移動にはシャトルバスなど何らかの交通手段が必要になるだろう。
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 自動車でのアクセスは、圏央道の狭山日高インターチェンジか青梅インターチェンジ(東京都心から1時間強)、そこから約6キロメートル(10~15分)という距離だ。

 ムーミンはそのキャラクター自体が世代を超えた女性に人気で、関連グッズも売れている。さらに今回のパークはショッピング関連エリアも大きな売りの一つだ。北欧雑貨などの買い物目当てに訪れる女性客の心をしっかりつかみたいところ。そのためには、自動車以外の交通手段も充実させる必要がある。


 テーマパークに限らない話だが、ビジネスが持続的に成長し、安定収益を上げていくためには新規客の獲得だけでは限界がある。パークの内容はもちろんのこと、アクセスの不便さを感じさせないことがリピーターを獲得するための大きなカギと言えるだろう。

 交通面に不安を抱えるものの、オープンが近づくにつれて注目を集めていきそうな「メッツァ」。「魅力がない」と揶揄されがちな埼玉県の重要な観光資源になるのは間違いない。今後の情報はムーミン公式サイトで随時発表されるので、是非チェックしてみてほしい。

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