1. 進め方重視でミスを減らす仕事術:『トヨタ公式 ダンドリの教科書』

進め方重視でミスを減らす仕事術:『トヨタ公式 ダンドリの教科書』

 失敗はできればしたくないものである。「失敗は成功の基」とはいうものの、失敗すれば怒られるし、今までやってきたことが否定されたような気持ちになるかもしれない。「ミスなく仕事が進められたらどんなにいいだろう」と頭を悩ませる人は数多いのではないだろうか。

 ビジネスマンにとって永遠のテーマともいえるこの問いに真っ向から挑むのが、佐々木眞一氏監修の『トヨタ公式 ダンドリの教科書』だ。本書籍は、トヨタ自動車における仕事の質を向上させる取り組みを、漫画や図解をまじえながら紹介するものである。トヨタ社員が実際に学ぶ、「ダンドリ重視」の仕事術とは、一体どのようなものだろうか。

なぜダンドリを重視するのか

 ビジネスに限らず、この世は兎角結果を求められる。「勝たなければ意味が無い」、「成功しなければ意味が無い」ともいわれるように、結果を出すことが最も重要であるかのような風潮はそこかしこにある。

 無論、結果を出すのは大事なことだが、その過程に気を払わないのは非常に危険である。なぜなら、良い結果を出せなかったとき、なぜそうなってしまったのか原因を究明することが難しくなってしまう。また、良い結果を出せた場合でも、その要因がはっきりしないため、良い結果を出し続けることができなくなってしまうかもしれない。

 トヨタの仕事術の大きな特徴は、所謂PDCAサイクルでいうところのP、「ダンドリ」を重視するところにある。きちんとしたダンドリによってこそ成果や効率を高めることができるというのが、トヨタ式の考え方なのだ。

トヨタ社員が実際に教わるカイゼンのノウハウ

 トヨタの仕事術には8つの流れ(ポイント)がある。

トヨタの仕事術8つのポイント

  • 仕事の目的・目標(到達レベル)を明確にする
  • 仕事の最終的なアウトプットを明確にする
  • 仕事の手順を明確にする
  • 要所・要所で「これでよし」と判断できる基準を明確にする
  • 各手順で必要なものを明確にする
  • 要所・要所で「これでよし!」と自信を持って仕事を進める
  • 仕事の結果と進め方を振り返る
  • 仕事で得られた知見を伝承する
 計画(PLAN)、実行(DO)、評価(CHECK)、改善(ACTION)の中で、特にPの計画、ダンドリを重視するのがトヨタ式と先述した。上記の各ポイントをみれば分かるように、8つのうち実に5つがダンドリに関するものである。このことからも、トヨタがいかにダンドリを重視しているかがうかがえる。

 各ポイントの中では具体的なノウハウが紹介されている。合計で48にもなるノウハウのうち、重要な5つをここで紹介しよう。

目標は「QCD」などの視点で考える

 「QCD」とは、「クオリティ」「クオンティティ」「コスト」「デリバリー」のことである。製品やサービスの質、量、費用や納期の視点で考えることで、目標にモレが少なくなる。また、それらを定量的にすることで、目指すレベルを明確にすることができる。例えば、納期は3月末ごろ、ではなく3月28日と設定することで、目標がはっきりと定まる。

客観的な判断基準を考える

 判断基準は人によって異なるものである。例えば、会議室を予約する際、「大勢入ることのできる部屋」という情報だけでは、どの部屋を押さえておけばいいのか分からない。10人程度が入る部屋を予約したら実際は20人以上いて部屋に入れないということもあるだろう。

 また、逆に、50脚以上の椅子がある部屋を予約したら実際は10人程度で、スペースを無駄に使ってしまうことになるかもしれない。基準を示す際は数値で、また、数字を用いない定性的なものであっても、解釈が異なることのない、具体的な基準を設定することが大切になる。

「情報」「道具」「能力」「注意点・理由」の観点で考える

 仕事の各手順で必要なものは「情報」「道具」「能力」「注意点・理由」の観点で考えると、モレが少なくなる。例として、会議室を予約する際必要になってくるものを一部考えてみよう。

 「情報」は、日時や場所、出席人数、備品の要否、また、予約する部屋における備品の有無。「道具」はパソコン、予約システム。「能力」は、会議予約システムを使用する権限。「注意点・理由」は急な人数増に備えて席に余裕をもたせておくこと。このように必要なものを考え、準備を進めておけば、当日滞り無く会議を行うことができるだろう。

問題点やうまく進められたことを書き残す

 仕事を進めていて問題点や苦労することがあった場合、気づいた時点ですぐに書き残しておくことが大切だ。

 問題が起きるとその対処を優先してしまいがちだが、一段落してから振り返っても、原因を特定できなくなってしまう可能性がある。また、うまく進んでいる場合も、進め方を記録しておくことで、新たな担当者に貴重なヒントを提供することができる。

進め方が適切だったか、考える

 結果だけでなく、仕事の進め方をしっかり振り返ることで、同じような失敗の繰り返しを防ぎ、仕事の質を高めることができる。問題点やうまく進められたことについて書き残しがあるのであればそれを確認する。

 また、進め方を振り返る際は4つの要点、即ち「手順」「判断基準」「必要なもの」「うまく進められたこと」を考えることで、問題点を把握することができる。


 以上、一部ではあるが、ダンドリを重視するトヨタの仕事術を紹介した。このノウハウはすぐに実践可能なものも多いため、仕事でも、また生活の場面でもカイゼンを進める助けになるのではないだろうか。

U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する