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日本って面白い! 世界から注目を集める人気の都道府県「観光PR動画」最新版をチェック

Rikaco Miyazaki

2016/12/12(最終更新日:2016/12/12)


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出典:www.youtube.com
 スマートフォンが普及し、動画を気軽に視聴できるようになった昨今。各都道府県は、動画を使って「県の魅力」をPRしようと試みている。「うどん県」、「おんせん県」といったキャッチーな言葉も、都道府県の「観光PR動画」から発信されている。

 本記事では火付け役となったPR動画から、最新版の各都道府県のPR動画まで紹介していきたい。

観光客誘致に一役買っていた“PR動画”

 バズるPR動画が出現する度に、テレビやその他のメディアでも紹介される都道府県のPR動画。果たして、PR動画は消費者の心を動かせているのだろうか?

 JTB総合研究所が発表した「スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査」では、映像と観光動機の関連性に関する消費者の傾向が露わにされている。
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 映像をきっかけに旅行に行きたくなる人は、4割を超える。

 上のグラフによると、「映像をきっかけに観光地を訪れた人」は全体の19.7%。「映像を見て観光地へ行きたくなったが、訪れていない人」は全体の24.8%。2つの回答を合計すると、全体の44.5%が何かしらの映像をきっかけに旅行に行きたくなっているのだ。

 また、消費者が映像を観た手段で最も多いのは「SNSに投稿された映像」(45.2%)、次に「Youtubeなどに投稿された動画」(35.2%)となっている。

 これら2つの手段は、観ている人の層が異なる。SNSに投稿されたものが動機となっているのは、29歳以下の女性が特に多い。一方で、Youtubeは40代以下の男性と50~60代の女性が比較的に多い結果となっている。
 
 以上の結果をふまえると、各都道府県が力を入れているPR動画は、観光客誘致に大きく寄与している。今後、最も層の厚い「29歳以下の女性」にも動画を見てもらうためには、SNSでの拡散などが必要になりそうだ。

観光PR動画ブームの火付け役は?

 観光PR動画が旅行の動機になっていることを理解した上で、各都道府県が力を入れて作成したPR動画を見ていこう。まずは、PR動画ブームのきっかけとなった動画を公開日順にチェックしたい。

香川県:「うどん県にようこそ」(2011年10月13日公開)

 香川県出身の俳優である要潤氏が「香川県は“うどん県”に改名いたします」という衝撃的なフレーズを放つPR動画。

 このPR動画内では、香川県民たちにうどん県に改名することに対しての意見をインタビュー。「うどん県」というキャッチコピーを全国に広めた本PR動画は、まさに「観光PR動画」の時代を切り開いた先駆者なのだ。

大分県:「おんせん県って言っちゃいましたけん!」(2013年11月26日公開)

 PR動画が公開された2013年8月、実は大分県は、「おんせん県って言っちゃいましたけん!」のCMシリーズを作成していることを事前告知していた。この事前告知によって、「うどん県」の香川県や、温泉をウリにしている他県からクレームが勃発。

 本PR動画の冒頭では、「パクリじゃねえんよ!! 意識はしちょったけど…」と、自虐的なコメントをしている。「おんせん県炎上騒動」に乗っかった、新しいPR動画だ。

広島県:「おしい! 広島県」(2014年1月27日公開)

 うどん県からおよそ2年後。広島県出身のお笑い芸人、有吉弘行氏がメインとなった広島県のPR動画が発表された。うどん県知事役として要潤氏が登場したことでも、話題となった。

 広島県観光大使となった有吉氏。広島県のスローガンを「おしい! 広島県」にする、と発表して県民の怒りを買う……というバラエティに富んだ動画だ。広島県は、1年ごとにスローガンを変更している。2014年度は「おしい!」、2015年度は「泣ける!」、2016年度は「カンパイ!」。

 今年発行された、俳優の斎藤工氏が表紙となったパンフレット「カンパイ! 広島県 広島秘境ツアーズ」は、配布直後すぐに在庫切れになるほどの人気ぶり。PR動画だけでなく、様々な媒体をバランスよく使ってプロモーションしているのが広島県なのだ。

茨城県:「なめんなよ♡いばらき県」(2014年2月13日公開)

 「47都道府県の魅力度ランキングで、最下位の常連となっている」という自虐的なセリフもある、やや自虐的な観光PR動画。茨城県の宣伝隊長となったお笑いコンビ“ピース”の綾部祐二氏をメインに、コメディタッチに県の魅力を伝えている。

 「知らないのにバカにしてはいませんか? 見ていないのに魅力がないと思っていませんか?」――動画を作成した茨城県の切実な思いが込められている動画だ。茨城県の魅力がわからない、という読者はぜひ動画を見てほしい。

鹿児島県:「Kagoshima,Japan 4K」(2014年10月18日)

  最後は今まで紹介してきた動画とは異なる、映像と音楽だけの観光PR動画だ。「本物。鹿児島県」のキャンペーンの一環として作成された本動画。最新の4Kカメラを使用した、高級感のある動画となっている。

 音声がないため、海外のネットユーザーにも人気の動画。その証拠に、Youtubeのコメント欄は外国語で埋まっている。「いつか鹿児島に行ってみたい」というコメントも寄せられていて、観光PRが成功していることがうかがえる。

番外編:WORLD ORDER「“HAVE A NICE DAY” 秋葉原」

 火付け役の動画の中には、都道府県が作ったものではないものもある。それが「WORLD ORDER」と呼ばれるパフォーマンスユニットの動画だ。「勤勉な日本人ビジネスマン」のイメージをパロディにしたパフォーマンスは、幅広い国々で支持されている。

 秋葉原の街を舞台とした本動画は、AKB48劇場やメイド喫茶、ガチャガチャ、ゲームセンター、回転寿司などが登場。ダンスパフォーマンスだけでなく、動画に登場する秋葉原の街並みも外国人視聴者にとっては魅力的に見えるのだ。

2016年最新版の観光PR動画をチェック

 香川県が「うどん県」になるPR動画から、約5年。日本の観光PR動画はどうなっているのだろうか。読者お待ちかね、最新版PR動画をチェックしていこう。

別府市:「100万再生で本当にやります! 別府市・湯~園地計画!」


 今年11月に公開された大分県別府市の観光PR動画。別府市長である長野恭紘氏が動画に登場し、遊べる温泉都市構想第1弾として「動画100万再生達成で、別府市で湯~園地の実現させます」と宣言。動画を公開すると、わずか4日間で100万再生を突破。

 この件に関し、別府市長は以下のようにコメントしている。

動画サイト「YouTube」へのアップロードから僅か4日間で目標とした100万回再生を達成するというスピード感の速さ、反響の大きさに驚いており、やってしまった感でいっぱいです。

出典:別府市「湯~園地」計画公約ムービー 公開4日目で100万再生達成 別府 ...

多くの方々から頂戴した思いを受け止め、独創的な温泉の活用可能性の実現化、具体化を図るべく、今後タスクフォースや専門チームを編成し、「湯〜園地」計画実現に向けて、別府市一同、尽力していきたいと考えております。

出典:別府市「湯~園地」計画公約ムービー 公開4日目で100万再生達成 別府 ...
 市長は、やってしまった感でいっぱいのようだ。しかし、250万回再生も目前に迫っている現状を受け止め、真摯に計画を進めていく様子である。市の観光計画を公約する、新たな観光PR動画のカタチだ。

大分県:「シンフロ」


 おんせん県を主張した2年後の2015年。大分県は新たに「シンクロ」を温泉で行う動画を作成。温泉で行うレベルではない、ハイレベルなシンクロが行われている。

 「シンフロ」はシリーズ化されていて、今年10月にはドラマタッチで描かれた「ゆけ、シンフロ部!」が公開。上のPR動画がシンフロ部のものだ。可愛らしい女子高生たちが“シンフロ”という架空の競技と共に、青春を過ごす様子が描かれている。

 筆者も大分県の別府温泉と湯布院温泉を訪れたことがあるが、観光に力を入れていることが伝わる街づくりがされていた。自然と温泉、そして食事、いずれも素晴らしいので、PR動画を観て温泉に入りたくなった読者は訪れてみてほしい。

宮崎県小林市:「サバイバル下校」

 西諸弁がフランス語に聞こえる、と話題になった宮崎県小林市のPR動画「ンダモシタン小林」から1年。小林市は新たなPR動画を公開。

 小林市の町並みを、ひたすら駆け抜ける女子高生が主人公。何かから逃げるように走っているが、彼女は一体何から逃げているのか? 笑撃的なラストになっているので、答えはPR動画で確認してほしい。

 ちなみに宮崎県小林市は、人口約47,000人が暮らす街。「星空のうつくしいまち日本一」に5回選出された自然豊かな場所。小林市の魅力は、ユーモアに富んだPR動画を作るだけではないのだ。

番外編:WORLD ORDER「“HAVE A NICE DAY”Shibuya Ver.」


 先ほどの火付け役のPR動画でも紹介したWORLD ORDERも、今年5月に新しいPR動画を公開している。最新PR動画の舞台は、渋谷。訪日外国人に人気のスクランブル交差点も登場する。

 今回の新作動画は、東京急行電鉄株式会社(東急電鉄)とコラボして制作されたもの。いつもよりも大人数のダンサー、100人以上でパフォーマンスを繰り広げている。いつもの渋谷が、違うところのように思えてしまうPR動画だ。


 以上、年々クオリティの上がる観光PR動画の最新版を紹介した。個性豊かな動画ばかりだが、いずれも面白さの中に重要なメッセージが込められている。各都道府県、各市町村が「自信を持っているモノやコト」だ。今後も、各都道府県がどんなPR動画を作って、どんな魅力を発信していくのか楽しみだ。

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