1. 話題の将棋界をまるっと理解! 映画「聖の青春」主人公・村山聖が病と共に歩んだ壮絶な人生を追う

話題の将棋界をまるっと理解! 映画「聖の青春」主人公・村山聖が病と共に歩んだ壮絶な人生を追う

出典:satoshi-movie.jp
 人気コミックのアニメ化や映画化などで人気が出ている将棋界。先日公開が始まった将棋映画「聖の青春」で主演した松山ケンイチの体重を20キロ増加した役作りは大きな話題となった。

 そこで今回は「聖の青春」でモデルとなった村山聖の壮絶な人生、そして最近注目を集めている将棋界を紹介していく。

将棋のプロたちが生きる世界をまとめ

 将棋のプロ棋士はスポンサーが主催するプロ公式戦で対局することで対局料を貰って収益を得る。

 プロ公式戦は2016年11月現在17あるが、このうち7大タイトル戦と呼ばれるものがあり、タイトル獲得者は高額な賞金と名誉を得ることとなる。

7大タイトルと賞金

  • 竜王戦:4,200万円
  • 名人戦:2,000万円
  • 王位戦:1,000万円
  • 王座戦:800万円
  • 棋王戦:600万円
  • 王将戦:300万円
  • 棋聖戦:300万円

棋士の強さの物差し順位戦

 A級・B級・B級2組・C級1組・C級2組の5クラスがあり、リーグ戦形式で対戦する。A級・B級は総当り戦、C級以下は1人10局の対局となる。

 各クラスでの順位と昇級規定によって、昇級・降級するシステムだ。

難病と共に歩んだ人生:天才棋士・村山聖の生涯

出典:www.tsubasabunko.jp
 難病と闘いながら将棋に全人生を懸けた天才棋士・村山聖の壮絶な一生を描いた物語が、この冬映画となった「聖の青春」だ。“西の怪童”と呼ばれ29歳の若さでこの世を旅立った彼の人生は、没18年経った今も将棋を愛する人々の心に深く残っている。

将棋との出会い

 聖が5歳の頃に肝臓の難病・ネフローゼが発覚。子供時代のほとんどを入院生活に余儀なくされそんな時に、父が聖に教えてくれた遊びが将棋だった。1年の半分以上をベッドの上で暮らさなければならなかった聖にとって将棋との出会いは、まさに新しい翼を手に入れた瞬間だった。

入退院を繰り返す小学校時代

 病院のベッドの中で繰り返し将棋の本を読み自分なりに理解した。毎日6時間は夢中になって読みふけったという。

 そんな聖の才能が開花するのに時間はかからなかった。実力をメキメキとつけ11歳の頃には、「第14回中国こども名人戦」に出場して優勝。その優勝は第18回大会まで5回連続で続く大記録となった。もはや子供の大会では競争相手になるものはいなかった。

師匠・森信雄との出会い

 「好きなことをやらせてやりたい」という両親の思いもあり中学1年生の時、広島の実家を出て、森信雄棋士の内弟子となり大阪での生活が始まった。

 そして約1年後、14歳の時にようやく奨励会入りを果たし、プロの将棋指しを目指す生活が始まる。森は慈しみの心で、村山聖を最も近くで生涯見守り続けることとなる。

プロデビュー

 1986年に聖はプロデビューを果たした。奨励会入会からプロ入りまで僅か2年11カ月。そのスピードは後の将棋界史上最強の棋士と言われる羽生善治をも上回る異例のスピードだった。

 デビュー後いきなり6連勝を記録するなど破竹の勢いで勝ち続け、棋士1年目を12勝1敗の驚くべき好成績で終えた。彼が西の怪童と呼ばれるようになったのもこの頃からだ。

 プロ入り後も体調不良に悩まされる日々が続いた。もともと病身で他人より生きられる時間が少ないことを自覚していた聖は、その後も怒濤の勢いで勝ち続けた。そんな生活の中で1994年いよいよライバル・羽生善治の本拠地東京への上京を決心した。

ライバル・羽生が居る東京での生活

 彼にとって羽生善治という男の存在はそれほどまでに特別だった。生涯で羽生との戦績は不戦敗1つを除いて6勝7敗。ほぼ互角の戦いを繰り広げている。 

 聖の上京当時、すでに羽生は史上初の6冠に輝く快挙を成し遂げていた。一方で聖自身も切磋琢磨し、1995年4月には遂にA級八段まで上り詰め、名人位を射程圏内に収めるようになる。
 
 しかしこの頃さらなる病魔が彼に襲いかかる。倦怠感や血尿に悩まされ1996年膀胱ガンが発覚した。そんな中でも聖は命を燃やすかのように将棋を指し続けた。夢にまで見ていた名人位が、手の届くところまで来ている。ガンで入院を余儀なくされても聖は強行退院し将棋会館へと向かっていった。


 病と戦いながら将棋と全力でぶつかる聖のまっすぐな姿に憧れを抱いた。筆者自身、今まで生と死について映画でこんなにも考えた経験はなかった。聖の人生を知り「自分は今まで、どんなふうに生きてきたのだろうか」「もっと人生を大切にしたい」そんな思いに駆られた。

ネット連携を強化する将棋界

出典:ex.nicovideo.jp
 近年では、以前取り上げた羽海野チカによる漫画作品「3月のライオン」(白泉社)を始め、将棋界に注目が集まっている。ここでは依然紹介しきれなかった将棋ネタをピックアップする。

ニコ生の将棋から目が離せない

 ドワンゴの運営するインターネット動画サービス「ニコニコ生放送」。2011年から始まった、公式戦中継は、7大タイトル戦のうち王位戦を除く、6タイトルで行われており、対局開始から終了まで完全生中継するのがウリの人気コンテンツだ。

 さらにはプロのトップ棋士とAIが対戦する電王戦の生中継も人気だ。2017年春に行われる、第2期電王戦出場者を決める叡王戦に注目が集まる。

将棋を題材にしたコミック「将棋の渡辺くん」(講談社)

 いまジワジワと人気を呼んでいる「将棋の渡辺くん」は、講談社の別冊マガジンで現在連載中のコミック作品だ。

 これは実際に現・竜王である渡辺明の妻である伊奈めぐみが、将棋棋士のリアルな生活を漫画にしたものだ。

 海外で対局時した時の渡辺竜王や、ガスコンロで蚊取り線香に火を点けようとする竜王の個性的なエピソードがふんだんに盛り込まれている。

 ほのぼのとした味のあるタッチの絵も魅力的だ。



 今回は映画「聖の青春」主人公のモデルとなった村山聖の壮絶な人生の紹介、そして近年の将棋界についてを取り上げた。

 聖は自分の大好きな将棋に命をかけ、全力で挑むまっすぐな気持ちを伝えてくれた。彼の死から18年。彼の生涯に触れることは今を生きている私たちに、「目標を持って生きる」ことの大切や「生への執念」を教えてくれるはずだ。

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