1. 高齢ドライバー事故をなくしたい! 高齢者が運転せざるを得ない現実・交通事故対策・免許制度の再考

高齢ドライバー事故をなくしたい! 高齢者が運転せざるを得ない現実・交通事故対策・免許制度の再考

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 近頃、高齢者による自動車事故のニュースが目立つ。齢を重ねるごとに運転能力が低下することが知られているのにも関わらず、高齢者による事故が減らないのは何故だろうか。高齢社会が進む日本では、事故が増え続ける恐れがある。

 本記事では、高齢者による自動車事故の原因から見えてくる交通インフラの問題点と免許制度にスポットを当てていきたい。

自動車・免許証が「手放せない」人々

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 「運動能力の低下した高齢者は運転をしないでほしい」という声を散見するが、高齢ドライバーは「どうしても運転がしたい」という訳ではない。もちろん、車好きで運転を続けたいドライバーも一定数いて、対策を打つ必要がある。しかし、日本には「運転をしなければ生活できない高齢者」も存在するのだ。

事故が起きる原因は“交通空白地帯”

 自動車以外の交通手段が殆どなく、自動車がないと生活できない――このような交通空白地帯と呼ばれるエリアが、高齢者の交通事故を助長していると考えられる。

 兵庫県では2006年、85歳の女性を病院に送迎するために、83歳の友人が車を運転した際に事故が起こっている。事故に遭った女性が住んでいた地域は、交通機関の乏しい交通空白地帯。車で送迎をしてもらわざるを得なかったのだ。

ますます減少する地方の交通機関

 さらに、交通機関が乏しい地域では、バスの路線廃止が相次いでいる。国土交通省の調査によると、平成18~21年度で廃止された距離の合計は、年間2,000キロ。路線廃止の原因は、利用者減少による「運営難」だ。全国の路線バスのうち、公営で9割、民間会社で7割が赤字となっている。

 私鉄の経営状態も芳しくない。私鉄会社の7割以上が赤字を抱えているのだ。路線の運行本数を縮小せざるを得ない事態となっている。

 平成12年~23年の11年で、乗用車の保有台数は東京・大阪の都市圏を除いた全国で増加。自動車の需要が低い都心では、減少・微増にとどまっている。乗用車保有台数の増加は、生活に自動車が必要不可欠になってきているからこそ起きているのだ。

高齢者による事故を減らしていくために

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 車がないと生活できない高齢者がいる現実がある中で、高齢ドライバーによる事故を防ぐ策はあるのだろうか。現在行われている、事故を防止につながる施策について見ていきたい。

地方自治体が運営するコミュニティバス

 運営費用・施設の維持費用を、利用客減少によって賄えなくなってきている地方の交通機関。そんな現状を打破するべく打たれた一手が、「コミュニティバス」や「乗合タクシー」。運営にかかるコストを国や自治体が負担したり、コスト削減をしたりして、地方の交通機関を守ることが狙いだ。

 コミュニティバスは、地方自治体が運営する路線バス。自治体が赤字分を負担することで、成立しているのだ。交通空白地帯で自動車を運転せざるを得ない高齢者にとっては、有難いコミュニティバス。しかし、その費用は地方自治体や、自治体に納税をする住民の負担となる。継続的にコストがかかるので、どこでも成立させられる手段ではない。

バスよりも低コストの乗合タクシー

 乗合タクシーは、路線バスより小型の車両で運行しているもの。路線バスやコミュニティバスと明確な区分けがされない9人乗りの車も、乗合タクシーの扱いとなる。

 乗合タクシーは、決まった時間の中で停留所を巡回するバスのようなパターンと、予約制で予約した人の所のみをまわって目的地へ送るパターンの2つに分かれる。乗合タクシーは、小さな車両を使うことでバスよりもガソリンや維持費などの費用を削減できる。また、利用者がいる場合にのみ運行すれば、よりコストを削減できるのだ。

 こうしたコミュニティバス・乗合タクシーの試みは全国70以上の市区町村で実施されている。自治体の負担が大きい、一日あたりの運行本数を増やすのが難しいという課題もあり、解決に向けて検討も進められている。

“自動運転”は、交通空白地帯の救世主?

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出典:dena.com
 実は、無人運転バスの運用も検討されているのだ。バスは決まった道しか走らないため、自家用車の完全自動運転よりも敷居の低い技術となっている。車両の小型化とともに、運転手の人件費までカットできる。

 低コストで運用できる無人運転バスは、既に走行実験が実施されている。テスト走行しているのは、フランスのEasyMile社と株式会社DeNAが提携運用している「Robot Shuttle」という12人乗りの無人運転バスだ。現在、秋田県と千葉県で実験が行われている。

免許返納制度の厳格化

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 先に紹介した施策が全国に広まれば、交通空白地帯のない未来が待っている可能性もある。そうなれば、高齢ドライバーに対して免許を返納するような働きかけも積極的に行うことができる。免許の返納を義務化すれば、高齢ドライバーによって引き起こされる悲しい事故も未然に防ぐことが可能になるかもしれないのだ。

 免許を返納した人が公共交通機関を使うようになれば、利用者の増加につながる。利用者が増加することによって、運営の安定化に一役買うということも考えられる。

 また、免許返納制度以外にも問題解決に向けてできることがある。高齢運転者標識の義務化だ。現在、標識をつけることの義務化は猶予されている。義務化することによって、標識を付けた車の周囲を走行するドライバーだけでなく、高齢ドライバー自身も気を付けて運転することができるようになる。


 交通事故の発生件数が年々減っている中、高齢者による自動車事故だけが増加している。何もしなければ今後も増えていくことも予想されており、早急な対策が必要だ。しかし、この問題は高齢化、地方の過疎化とも関連している。それぞれの問題に解決法を見出すことが重要だろう。

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