1. 安くて旨い以上の価値を:回転寿司チェーン各社が貫く独自戦略の先に見えるもの

安くて旨い以上の価値を:回転寿司チェーン各社が貫く独自戦略の先に見えるもの

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 いまや回転寿司は「安くて旨い」のが当たり前。“回転寿司の四天王”と呼ばれる「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」「かっぱ寿司」の動向をもとに、最新の回転寿司業界事情を紐解こう。

回転寿司の市場は5,900億円規模に拡大

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 外食産業の不況が囁かれるなか、回転寿司業界は着実に市場を拡大し続けている。現在、市場規模は約5,900億円にのぼり、寿司業界全体の約4割を占めるほどとなった。

 ファミリーレストランなど、ほかの業態とは異なり、1皿100円というリーズナブルな価格設定が魅力となっているので、家族連れなどを中心に支持されている。

 また、近年では高級魚の寿司ネタなど高価格帯の商品の強化や、寿司以外のメニューを投入することで、新たな客層を獲得する結果となった。

回転寿司業界を襲う円安の波

 2012年以降、急激に円安が進んだことで、回転寿司の経営は難しくなる。欧米のヘルシー志向の広がりや中国の“爆買い”の影響も重なり、利益率を高めるのに欠かせない輸入魚介類の単価が高騰したのも大きな痛手だった。

業界2位の「無添くら寿司」の現状は?

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出典:www.kura-corpo.co.jp
 そんななか、「無添くら寿司」を展開するくらコーポレーションは、2015年11月から2016年4月に純利益23億円と前年同期比2割増と好調だ。

 その牽引役となったのがサイドメニューの存在である。仕入れ額の約7割を輸入水産物に頼るくら寿司にとって、魚介類の使用が少ないすし類以外の商品での利益が功を奏した。業界売上高2位である同社の最近の動きを見ていこう。

安全性とハイテク化で勝負

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 くら寿司は、1977年に創業し、1984年に回転寿司を始めた。国内368店、海外にも米国10店、台湾4店を持つ業界2位のチェーン店だ。サイドメニューついては異例の累計300万杯売れた「すしやのシャリカレー」が記憶に新しい。

 無添加の寿司酢や東燃産新米の採用など、安全面を強化しているのが特徴。また、インフルエンザ・風邪などのウイルスやホコリ・つばから寿司を守る寿司キャップ「鮮度くん」の採用や、ICタグで寿司の鮮度をチェックして、設定時間を経過した商品を廃棄する時間制限管理システムを導入。また、座席には注文用のタッチパネルを設置し、顧客の注文は通常の回転レーンと別に設けた高速レーンで届ける。

 ほかにも、1時間に3,600貫のシャリが握れる「寿司ロボット」を導入しており、寿司5皿につき1回スロットゲームができ、当たりが出ると景品が貰えるサービスなども好評だ。

 いずれも設備投資に費用がかかり、経営を難しくしているものの、競合他社との差別化を図る意味では欠かせないものとなっている。

国産天然魚の本格販売に参入

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 くら寿司は、国産天然魚の販売にも乗り出している。大阪府貝塚市の貝塚センターに大規模加工場を整備し、漁港から直送される天然魚をさばく態勢を強化。寿司ネタとして西日本の各店舗に出荷するほか、センター内に鮮魚店「くら天然 魚市場」と寿司店を併設し、18日から営業を開始している。

 加工能力は1日最大10トン。天然魚は福井、三重、愛媛、高知、兵庫県などの各漁港から直送されてくる。寿司ネタとして加工された食材は、主に西日本地区の200店舗へ出荷され、天候が荒れてセンターへの入荷量が少ない日も、加熱する食材作りなどを行うので人員ロスは発生しにくい。

業界1位の「スシロー」のこだわりとは?

 あきんどスシローの展開する「スシロー」は、大阪府吹田市に本社を置き、近畿、中部、関東地方を中心に店舗展開をしている。最近では、2016年9月に東京・南池袋に山手線内への初出店となる都心型店舗をオープンしたことで話題に。

 2016年9月期第2四半期は、売上高8%増の700億円にのぼり、営業利益は過去最高になったという。

鮮度へのこだわりと変わり種のネタで勝負

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 スシローは鮮度にこだわっているのが特徴だ。鯛やハマチは店内で皮引きし、マグロも温塩水で解凍した後、店内で捌いている。新鮮な寿司を提供するために、くら寿司と同様、すし皿にICチップを取り付け、商品単品管理システムを導入している。まぐろの場合、レーンを350m以上まわったら自動廃棄する、といった具合だ。

 また、一風変わったネタも多く、大学生とメニュー開発した「県の特産品を使ったメニュー」なども目を引く存在だ。サイドメニューでは、1日数量限定で販売している「メロンソーダ」がSNSでシェアされ人気を集めた。

アプリを使った予約や持ち帰りの注文が可能

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 最近では、スマホで予約・発券ができる「スシパス」というサービスも開始。専用アプリでログインして、席の予約が行える。また、持ち帰りの寿司の予約も行えるようになっている。

 ユーザーは、待ち時間を解消できるのが利点。企業側は、顧客がどんなメニューを好んでいるか、その地域特性や家族構成とどんな関係があるのかなどの情報を集められる。他社でもこのシステムは導入されており、回転寿司店の利用におけるアプリ利用は欠かせないものになりつつある。

海外展開にも積極的

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 スシローグローバルホールディングス傘下のSushiro USA LLCは、2016年6月6日、ニューヨークに2号店「SUSHIRO SEASONAL KITCHEN West 52nd Street」をオープンした。昨年11月にはすでにニューヨーク1号店をオープンしており、1号店の目標念年間売上高は200万ドル。テイクアウト用の寿司とサラダ、ラーメン、うどん、丼ものなど、温かい商品も幅広く販売するのが特徴だ。

 2011年にスシローが初めて海外進出した韓国では、日本国内と同様の店舗を6店舗を展開。現在、各店で営業黒字化を果たし、売上高が日本国内に匹敵する店舗も出てきたという。

安さで勝負の「はま寿司」、巻き返しを図る「かっぱ寿司」

 「平日は1皿90円」の安さを売りにしているのが、業界3位のゼンショーグループの「はま寿司」だ。

 1979年創業で、日本で初めて100円寿司を打ち出したカッパ・クリエイトの「かっぱ寿司」は、やや失速気味の業界4位となっている。

伸び率の高さはスシローに迫る

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 ここ数年のはま寿司は出店ラッシュを迎えている。はま寿司の2016年5月末の店舗数は439店となっており、この時点で店舗数においては日本一の回転寿司チェーンへと上り詰めた。

 また、同社は、台湾1号店を2016年9月に台北市にオープン。はま寿司の海外店は中国・上海に次いで2店目で、コメ文化であることや、台湾で9店を展開する同社の牛丼チェーン事業の「すき家」が好評なことから出店を決めた。

かっぱ寿司は上質さを訴えるためにイメージを刷新

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 かっぱ寿司は、2016年10月1日にリブランディングを発表した。ロゴの刷新だけでなく、店舗デザインやユニフォームの刷新を図った三鷹店のリモデルなども行っている。

 ほかにも、イメージ刷新に合わせ、「さっぽろ雪まつり」や「青森ねぶた祭」など各地を代表する祭りをイメージした期間限定の新メニューを開発するなど、高級感を演出する仕掛けで他社に挑む姿勢だ。

 ネタの価格や品質だけでなく、サイドメニューや店舗展開など、さまざまな点でしのぎを削る回転寿司チェーン。各社が独自路線を貫くことで差別化が進み、回転寿司を食べる楽しみが拡大することに期待したい。

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