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自動運転・ロボット操作・高速ダウンロード:2020年に始まる新世代の通信規格「5G」とは

石野純也

2016/11/25(最終更新日:2016/11/25)


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 2020年の東京五輪に向け、「5G」の開発が加速している。5Gとは、「第5世代」を意味する通信のキーワードで、4Gの次の規格になる。スマホで一気に普及した「LTE Advanced」は4Gと呼ばれるが、すでにその次を見据えた動きが進んでいるというわけだ。

「5G」が導入されることのメリットは?

 5Gの開発を主導しているのは、ファーウェイやエリクソンなど、海外の通信機器ベンダー。日本では、NTTドコモが規格の標準化にも積極的に関与しており、国内外のベンダーと共同で実験も続けてきた。NTTドコモは東京五輪に合わせ、2020年に5Gを導入する予定だ。

 では、5Gになると通信はどのように進化するのか。大きな方向性として決まっているのが、「高速化」「低遅延化」「大容量化」の3つ。LTEでも最新モデルでは500Mbps超の速度が出せるようになったが、5GではGbps単位の速度が一般的になる。通信の遅延も今より短くなり、1ms以下が要件として挙がっている。容量も増え、さらに多くの端末が接続できるようになる。

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 5Gでは、目標性能として超高速、低遅延、大容量などが掲げられている。
 スマホだと今の速度で十分と思われるかもしれないが、5Gのターゲットは、今より広く取られている。スマホは、その中の1つという位置づけだ。たとえば、街中に設置されたディスプレイに、4Kや8Kの高解像度な映像を配信するとき、今より高速で大容量な通信が必要になる。
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 DeNAとNTTドコモの実験。車に取りつけたカメラの画像をセンターに送り、遠隔監視を行う。
 また、低遅延化が進めば、ロボットなどを遠隔操作した際に、リアルタイムで反応が返ってくる。ロボットだけでなく、自動車やドローンなどの操縦にも、5Gの技術は応用できそうだ。こうしたスマホ以外の多彩な端末がネットワークに接続するようになると、当然、通信の容量も求められる。
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 ロボットの遠隔操作には、低遅延が必要になる。
 こうした要求に応えるため、5Gでは今より高い周波数を組み合わせて広い通信帯域を確保したり、アンテナの数を増やして容量を広げたりと、さまざまな技術が取り入れられている。一般的には高い周波数を使うと電波が飛びにくくなると言われているが、これを解決するため、特定の方向に強い電波を照射する「ビームフォーミング」も導入される予定だ。

 5Gの開発は、屋外での実証実験にコマが進んでいる。ラボ内で研究していた段階から、よりリアルに近い環境でテストする段階になったというわけだ。NTTドコモは、ファーウェイと共同で大規模なフィールドテストを開始しているほか、スカイツリーやお台場でも実験を開始する。
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 ファーウェイと横浜市で行っている屋外実験の様子。
 また、サムスンとは、高速移動時の通信性能を検証。富士スピードウェイで走行中に通信を行い、150㎞の速度で走る車内で、2.59Gbpsの通信ができることが確認されている。
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 高速移動時の性能も検証した。
 NTTドコモで5Gの研究を主導する5G推進室長の中村武宏氏によると、現時点では、商用化まで「4割ぐらいの段階」まで進んでいるという。これは、「無線技術のコアとなる部分は検証できたので、それをシステムとして、面的に展開できるのか」をテストする段階にきたということだ。

 「高い周波数は今までの感覚で基地局を打つと、穴だらけになってしまい、ノウハウを確認しなければいけない」と課題も残されているという。2020年の東京五輪までに残された時間はあと3年強で、今後、実験や標準化はさらに加速していく。それに伴い、5Gというキーワードを耳にする機会も、さらに増えていくはずだ。

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