1. 今後10年で人間が火星移住を実現する未来:宇宙がもっと身近な存在に?

今後10年で人間が火星移住を実現する未来:宇宙がもっと身近な存在に?

出典:marsnews.com
 人間が月に初めて降り立ち約半世紀が経過した。2016年現在、人々の夢はさらに広がり、今度は人類が火星に入植する計画を目指す企業が現れ、早ければ2020年代には実現する予定だという。

 NASAの有人火星探査計画は2030年代を予定。もし計画通り実現すれば、民間企業がNASAよりも先に人類を火星に送ることとなる。そんな無謀とも思える計画を発表した2社の民間企業に注目していく。

人類の移住に火星を選ぶ理由

なぜ人類が火星を目指すのか

 火星は太陽系でもっとも生命が存在する確率が高い惑星の1つだと言われている。しかも地球から比較的距離が近く、火星は地球外生命体の探査に理想的なのだ。

 地球外の生命を発見し比較対象を手に入れることができれば、地球上の生物を相対的に眺めることができるようになる。すなわち文明レベルの向上につながり、これまであった既存の概念を覆すこととなるだろう。

 さらに氷河期のような地球全土を脅かす破滅的な災害が起これば、簡単に人類が滅びる可能性がある。他の惑星に生存可能な場所を作ることは重要な生存戦略となるのだ。

地球に似た赤い惑星“火星”

 火星の直径は地球のおよそ半分、重力は地球の約3分の1、質量は10分の1ほどで、地球とほぼ同じ24時間37分かけて自転しながら、687日かけて太陽のまわりを公転している。

 火星は地球と同じく四季の変化が見られ、火山や水が流れてできた地形が多数ある。さらに火星には薄い大気があり、時には砂嵐も起こる。太陽系の中で地球環境に類似する点が多い惑星だ。

 地球と火星は軌道の関係で26カ月に1回、特定の場所にきた時にしかロケットを飛ばすことができない。水分や食料などの他にも課題が残っている。

地球の基本情報:JAXA調べ

  • 太陽からの平均距離:1億4,960万km
  • 大きさ(赤道半径):6,378km
  • 質量:5.974×1024kg
  • 平均密度:5.52g/cm³
  • 公転周期:365.257日
  • 自転周期:0.9973日

火星の基本情報:JAXA調べ

  • 太陽からの平均距離:2億2,794万km
  • 大きさ(赤道半径):3,396km
  • 質量(地球に対して):0.1074倍
  • 平均密度:3.93g/cm³
  • 公転周期:1.88089年
  • 自転周期:1.026日

地球から最も近い“金星”が注目されない理由

 太陽系第2惑星で地球の内側の軌道を公転する惑星が金星だ。金星は姉妹星と言われるほど地球に似ており、同じく隣の火星と比較すると半分ほどの距離に位置する。しかし、金星に今のところ有人探査計画は予定されていない。

金星が注目されない理由:環境の過酷さ

  • 大気のほとんどが二酸化炭素が占め硫酸の雲が大気中に広がっている
  • 秒速100mのスーパーローテーションと呼ばれる強風が吹き荒れている
  • 地表の温度はおよそ摂氏470度

火星移住計画「マーズワン・プロジェクト」

 オランダの実業家バス・ランスドルプ氏が2011年に設立したマーズワンという企業が発表した火星移住計画。

マーズワン・プロジェクトとは

 計画は片道飛行の永住計画で、2025年に最初に選ばれた4人が火星に飛び立つ予定だ。2013年に移住希望者を募集したところ片道のみの計画にもかかわらず、世界中から20万人にも及ぶ希望者が集まった。2016年11月現在、100人までに候補者が絞られた。
 
 候補者たちは農業や医療など専門的な知識・技術を習得するほか、緊急時の対応能力などを訓練し、最終的に4人まで絞られるという。アンバサダーにはノーベル物理学賞受賞者のヘーラルト・トホーフト氏が就任した。

 そのほか続々と概要が明らかになってきており、打ち上げロケットの開発企業にスペースX、宇宙船開発企業にタレス・アレーニア・スペースが候補に上がっている。

 マーズワンはパラゴン・スペース・デベロプメントロッキード・マーティンとの契約も結んだと発表しており、いよいよ現実味を帯びてきている。  

 火星への移住計画の費用は、約60億ドルと言われている。資金源は候補者たちのトレーニングから火星着陸までの道のりをリアリティショーとして放映し、その放映権を販売しスポンサーから資金を得たり、応募者の寄付金などから成り立っている。

スペースX火星100万人移住計画

 先ほども上がったスペースXは宇宙輸送業を生業とする企業で、2018年に火星探査のために無人宇宙船を打ち上げる計画を、2016年9月27日メキシコで開催された国際宇宙会議で発表した。そして2020年代半ば頃から有人宇宙船を打ち上げ移住を開始させるという。

イーロン・マスク氏の計画する火星移住計画

 マスク氏によると、まず2018年に予定している無人宇宙船レッド・ドラゴンを皮切りに、貨物を積んだ無人宇宙船数機を火星に送る。そして順次、人が移住する段階へ移っていくという。

 大型の有人宇宙船を開発し、1度の飛行で100人を80日ほどかけて輸送する予定だ。具体的なスケジュールは、はっきりと明言されていないが、「2020年代半ばには始められるだろう」とマスク氏は語る。

 計算では最初の打ち上げからおよそ40年〜100年で完全に自給自足できるようになり、火星に100万人が住むようになる。

 現在火星人を1人送るための費用はおよそ100万ドル。マスク氏は「希望する人は誰でも火星に行けるようにするのが重要」と語り、将来的には1人あたり10万ドルまで下げることを目標としている。

再利用ロケットの開発

 火星移住を実現するために再利用ロケットを開発することは必要不可欠。打ち上げのたびにロケットを建設すれば、1基あたりおよそ6,000万ドルの費用がかかる。

 再利用できれば燃料補給に20〜30万ドルほど、点検・整備に多少費用がかかるぐらいでコストを100分の1ほどに削減できる。

 現状ほぼすべてのロケットは使い捨て型。惑星感を行き来するためには当然何度も利用できなければ、物資の輸送やコストがばかにならない。

 スペースXは、これまでに何度も再利用ロケットの着陸実験を行ってきたが、失敗に終わっていた。しかし2016年4月に有人宇宙船を想定して作られている、ファルコン9が史上初めて海上に浮かぶ無人のドローン船へ垂直着陸することに成功し、火星移住にまた一歩前進した。


 今回、2つの民間企業の火星移住計画を紹介した。2020年代は我々人類にとって1つのターニングポイントとなるだろう。ロケットの問題や火星との軌道の周期、居住地、食料など課題はまだまだ山積している。しかし、困難を乗り越えた先に新たな極地が見えるだろう。私たちにとって宇宙が身近な存在になる日が来ることを願いたい。

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