1. 日本上陸も間近? 新しい電気自動車レース「フォーミュラE」は90年代のF1ブームを超えられるか

日本上陸も間近? 新しい電気自動車レース「フォーミュラE」は90年代のF1ブームを超えられるか

日本上陸も間近? 新しい電気自動車レース「フォーミュラE」は90年代のF1ブームを超えられるか 1番目の画像
出典:www.fiaformulae.com
 都市における電気自動車普及を目的に2014年に始まったFIA(国際自動車連盟)の公式レース「フォーミュラE」。サーキットは全て大都市の市街地コースで、その中を電気自動車のフォーミュラカーが走るという斬新さから徐々に知名度が高まっている。

 日本ではまだレースが開催されてないが、近いうちに初開催に向けた交渉が行われているという。本格的に日本で開催されたとき、果たしてどのようなブームが起こるのか予測してみよう。

「フォーミュラE」とは

 フォーミュラEの最も大きな特徴は、今までになかった電気自動車のレースで、音もものすごく静かなことだ。フォーミュラカーと言えばF1で、F1のイメージは強烈に響くエンジン音なだけに、静かに走るフォーミュラカーはどこか違和感さえ感じる。

 1シーズンは毎年10月から翌年7月にかけて12戦が行われ、2016/17シーズンで3シーズン目となる。現在開催されている都市は香港やマラケシュ、メキシコシティ、ブエノスアイレス、ベルリンなど。2017年には新たにF1で有名なモナコやモントリオールをはじめ、ニューヨークでもレースが行われる予定だ。それだけ有名な都市の中でレースをするというのだから、魅力は大きい。

 大都市でのレースということもあって、世界的に着々と関心が高まっている。2016年10月に香港で開催されたレースではチケットが完売し、およそ4万人を動員。昨年のロンドンでのレースをテレビ放映した時には、英国内で46万人もの人々が視聴したという。ネルソン・ピケJr.やニック・ハイドフェルドといった元F1ドライバーが参戦することが多いのも興味深い。

日本国内の人気はいまひとつ

 世界的な知名度は徐々に上げているものの、日本国内での人気はいまひとつだ。2014年の開催当初にはテレビ朝日の地上波で決勝レースが放送されたが、現在はCS放送での生中継のみにとどまっている。

 2014年の最初のシーズンでは元F1ドライバーの鈴木亜久里が「チーム・アグリ」を立ち上げて参戦。ドライバーも数戦のみながら佐藤琢磨と山本左近が出走し、モータースポーツ界では話題となった。しかし彼ら以来の日本人ドライバーの参戦はなく、チーム・アグリも1戦優勝したのちにチームを売却している。

 チームアグリの撤退以降は日本人ドライバーも不在で日本開催もなく、現段階では日本人にとってはまだまだ馴染にくい。

日本初開催へ向けて機運高まる

 フォーミュラEを運営するアレハンドロ・アガグ代表は、レース開催も含めて日本のフォーミュラEへの関与を強く望んでいる。アガグ代表は香港でのシーズン開幕戦を前に2016年10月に来日し、2年後の日本開催を目指して協議を行った。開催都市としては横浜、もしくは東京のどちらかになる可能性が高いという。

 しかし、アガグ代表が唯一懸念しているのは、警察による道路の使用許可である。これまで国内の公道を使用してレースを行う計画は多く存在したものの、いまだその実績はない。警察がモータースポーツのための道路の使用許可を出さなかったためだ。

 そこで市街地レースをすることで日本の自動車文化を振興させようと、2015年に自民党議員の有志で構成されたモータースポーツ振興議員連盟が「モータースポーツ推進法案」を作成した。この法案は自民党内で承認され、近く国会に提出、成立を目指しているという。成立されれば、国内での市街地レースは格段に開催しやすくなり、フォーミュラEの国内開催も一気に近づく。

日本企業のチーム参戦はあるのか? 

 現在のフォーミュラEは日本企業の参戦もほとんどなく、2016/17シーズンではパナソニックのスポンサー支援と、京都の半導体メーカーであるROHM(ローム)が技術支援をするのみである。

 今後はホンダや日産が参戦の検討をしているという。もし国内開催が決まれば様々な形で名乗りを上げる企業が増えると思われる。

 日本人ドライバーの登場も待たれる。日本人ドライバーの有無はF1においてもその年の国内でのブームを左右してきた。実際にF1では2013年シーズンに日本人ドライバーが不在になって以降、F1日本GP開催時の鈴鹿サーキットの来場者数は減少傾向にあるという。今後フォーミュラEに日本人が参戦して実力を発揮することになれば、国内の知名度上昇にもつながるだろう。

 海外の有名メーカーの参戦も期待される。すでにあらゆる有名メーカーが注目しており、アウディは2017/18シーズンからの参戦を表明。しかも1999年から参戦してきたル・マンを含むWECから撤退してフォーミュラEに専念するという。メルセデス・ベンツは翌シーズンに参入、BMWもワークス参戦を検討している。

 フェラーリは現在のところ参戦の意思はないとしている。これは2台のマシンを乗り換えるという現在のレース方法や、マシン開発の制限などに不満を持っているためで、これらが解消されれば将来的に参戦の可能性があるとしている。ちなみにマシンの乗り換えは2018/19年シーズンに解消されることが決まっている。

 海外の有名メーカーに日本のメーカーや企業も参入してレースを戦うという構図ができれば、電気自動車のみならず日本の自動車業界の活性化にもつながると思われる。

フォーミュラEはかつてのF1ブームを超えるか

 日本では80年代から90年代にF1ブームが巻き起こった。それは鈴鹿サーキットでの日本グランプリ開催はもちろん、マクラーレン・ホンダの大活躍、アイルトン・セナや日本人で初めてフルシーズンでF1に参戦した中嶋悟の人気、鈴木亜久里が達成した日本人初の表彰台など、話題を呼ぶ出来事が多かったからだ。

 現在のF1は日本人ドライバーが不在なうえ、コスト削減を目的とした様々な規制と難解なルール、メルセデスやレッドブルの独走など、日本のみならず世界的に人気が低迷している。2016年9月にF1がアメリカのリバティ・メディアによって買収され、今後のブランドの立て直しが急務となっている。

 F1がそのような状況に陥る中で、フォーミュラEはF1に代わる世界最高峰のモータースポーツとなるかもしれない。

 
 近い将来、フォーミュラEに日本企業の参入や日本人ドライバーの参戦があればもちろん、他の海外チームに劣らぬ活躍をすれば話題を集めることになるだろう。そのうえに東京もしくは横浜といった大きな市街地でレースが開催されることになれば、モータースポーツファンのみならず多くの注目を集め、かつてのF1ブームを超えた大きなトレンドの一つとして発展するかもしれない。

U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する