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「匠」から「オタク」まで! 40thで加速するBEAMS JAPAN PROJECTに迫る

Takuro Aizawa

2016/12/05(最終更新日:2016/12/05)


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「匠」から「オタク」まで! 40thで加速するBEAMS JAPAN PROJECTに迫る 1番目の画像
出典:www.beams.co.jp
 日本を代表するセレクトショップである「BEAMS」が今年、40周年を迎えた。新宿にある旗艦店は大幅にリニューアルされ、「BEAMS JAPAN PROJECT」と銘打たれたプロジェクトが続々と進行している。

 本記事ではBEAMSが押し進める「日本」にフォーカスしたプロジェクトと、アパレル業界に流れるそのトレンドに迫っていこう。

40周年で「日本」に大きく舵を取ったBEAMS

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 BEAMSがプロジェクトの手始めに着手したのが、旗艦店のリニューアル。その名も「BEAMS JAPAN」と、まさにプロジェクトを象徴するようなショップとなっている。

 BEAMS JAPANは日本をキーワードに幅広いカテゴリのコンテンツをキュレーションするプロジェクトBEAMS “TEAM JAPAN”の発信拠点となる。

 ショップは地下1階から5階までの6層。フロアごとに、「食」「銘品」「ファッション」「コラボレーション」「カルチャー」「アート」「クラフト」といったカテゴリー別の構成が特徴だ。また、同ビル内の6、7階にはメンズドレスレーベル「ビームスF」の単独店舗がオープンする。

レストラン、アニメ、漆…衣類に留まらない振り幅が強み

【B1F】ビームス初のレストラン展開

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 地下1階には、BEAMS初となるレストラン展開となる「日光金谷ホテル クラフトグリル」がオープン。日本最古の西洋式リゾートホテルである日光金谷ホテルのメニュー「百年ライスカレー」や「赤城和牛のビフテキ丼」など“日本の洋食”が提供される。

 また、バーカウンターには日本各地から選りすぐりのクラフトビールが豊富に並ぶ。洋食と一緒に味わってみてはいかがだろう。

【1F】日本の伝統工芸品とコーヒースタンドが

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 ショップの顔となるエントランスフロアでは、日本各地で作り出された銘品が顔を並べる。47都道府県の全てに目を向け、愛知・瀬戸産の招き猫や、福岡・筒井時正産玩具花火製作所の線香花火などを、ビームスオフィシャルカラーのオレンジで仕上げた別注の伝統工芸品を展開。

 さらに、猿田彦珈琲の珈琲スタンドも構える。日本の伝統菓子のあんこに合う味を追求したビームス ジャパン限定の“ジャパンブレンド”も販売されている。

【2F】「世界に誇る日本のアパレル」が顔を揃える

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 日本のファッション業界を支える、ドメスティックブランドのメンズ・ウィメンズウェアが2階に並ぶ。メンズはNEPENTHES(ネペンテス)、HUMAN MADE(ヒューマンメイド)などをラインナップ。ウィメンズからは、UNUSED(アンユーズド)、White Mountaineering (ホワイトマウンテニアリング)
を展開するなど、豪華な顔ぶれとなっている。

 さらに注目したいのは、LOOPWHEELER(ループウィラー)と東洋エンタープライズのショップ・イン・ショップだ。本格的な風合いとデザインが特徴のスカジャンコレクションが販売されており、スカジャンブームも追い風となって完売必至のアイテムと言えるだろう。

【3F】別注アイテムが集結

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 3階には国内外のブランドに特別オーダーしたアイテムが集まる。ENGINEERED GARMENTS(エンジニアドガーメンツ)×TIMEX(タイメックス)×BEAMS BOY(ビームスボーイ)のトリプルコラボによる腕時計や、トーガ プルラ(TOGA PULLA)の別注サンダル、ディズニーとコラボしたカゴバッグなど、コラボブランドは多岐に渡る。

 また、ここでしか手に入らない、吉田カバンとの新ライン「ニッポン スタンダード」のバッグなど盛りだくさんのラインナップとなっている。

【4F】東京カルチャーを世界へ

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 ポップカルチャーからサブカルチャーまで網羅したアイテムが揃う4階。店内には、使い古した軽トラックや卓球台が出現し、独特の異空間となっている。

 日本人アーティストによる個性的なプロダクトや、人気作家によるZINE(同人誌のようなもの)、そして様々なアーティストが参加する“クラフトパンク”のコーナーにも注目だ。

【5F】日本の伝統工芸品とアートギャラリー

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 デザインとクラフトの橋渡しがテーマのレーベル「フェニカ」のアイテムを、日本の作家やブランドにフォーカスし、厳選された伝統工芸品が揃う「フェニカ スタジオ(fennica STUDIO)」。

 定期的に展覧会が開催されるなど、アートギャラリーとしての役割も持つフロアなので、ちょっと立ち寄る際にも嬉しいエリアとなっている。 

BEAMSはなぜ、今「日本」を選んだのか?

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 これまで、「海外の良いものや文化」を日本に提案、紹介してきたBEAMS。40年間という長きに渡って販売してきた実績を活かしつつ、今度は『日本』の良い文化を長期的に発信、伝えていきたいという思いを込めて発足したのが「BEAMS JAPAN PROJECT」の始まりだ。

 今までの売り方の方程式をそっくりそのまま逆にした、非常に挑戦的なプロジェクトだと言えるだろう。前述した旗艦店「BEAMS JAPAN」以外にも既にいくつかの企画がスタートしており、9月30日~10月31日は、ビームスが神戸市と協業した「BEAMS EYE on KOBE」を開催。

 地場産業とコラボレーションした商品を「ビームス ジャパン」と「ビームス 神戸」で販売し、独自の視点で編集したガイドブックも制作した。

“大手セレクトショップ”ならではの強み

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 地方自治体の発信プロジェクトで多いのは、プロデューサーやデザイナーを招聘してモノ作りし、海外の展示会で発表するもの。東京の百貨店で販売することもあるが、「見せるのが主体」というイメージが強く、技術にデザインを盛り込んだモノ作りに終始していて一般に広く伝わっていかない、発信力が弱い、という問題も抱えている。

 “買わせる”ことに長けた、大手セレクトショップであるBEAMSによる日本文化のキュレーションは、今までの発信プロジェクトからより進んだ、「購買」という領域に踏み込める点が強みであり、そして役割だと言えるだろう。 

BEAMS 40thを記念する「TOKYO CULTURE STORY」

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 BEAMS JAPAN PROJECTと併行して進められているのがBEAMS設立40周年を記念したプロジェクト、「TOKYO CULTURE STORY」。第一弾は40年間の東京のカルチャーを、ファションと音楽という2つの視点から振り返るMV『TOKYO CULTURE STORY 今夜はブギー・バック』だ。

 各時代を代表する総勢17組のアーティストによってカバーミックスされた、小沢健二とスチャダラパーのヒット曲『今夜はブギー・バック』に乗せて紹介されるストリート文化は、ファッションに留まらず非常に様々で、単純な歴史資料としても興味深い。

 「BEAMS JAPAN PROJECT」とはまた違った形で、日本のファッション文化を多角的に発信する非常に面白い試みとなっている本企画。日本のサブカルチャーとして国内外から人気を誇る「初音ミク」も参加しているなど、バリエーション豊かかつ豪華な内容となっているので、是非一度目を通してみていただきたい。

ファッション業界で注目される“日本”:この潮流は続くのか?

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出典:www.kitsune.fr
 「日本」に再注目しているのはBEAMSだけではない。世界的に高い評価を得る、パリを拠点としたファッションブランド「MAISON KITSUNE(メゾンキツネ)」も、2016年秋冬で日本をテーマにしたコレクションを発表している。

 メゾンキツネ以外にも、GIVENCHY(ジバンシィ)も日本をテーマにしたコレクションを発表しており、世界的に「和」に着目したファッションが流行の兆しを見せていると言えるだろう。

この流れが定着するかは未知数

 名だたる有名ブランドが日本をテーマにし、そして売上にも直結している以上、これからも流行が拡大するのはほぼ間違いないと言って良い。

 しかし、流行が去ってしまうのもファッション業界の常。この流行を一過性のものとせず、定番のデザインとして定着できるかは、本記事で紹介している「BEAMS JAPAN PROJECT」のような“日本発信”のファッションが大きな鍵を握っていると言えるだろう。


 国内、国外両方から発信、注目されている日本の文化。2020年に開催される東京オリンピックに向けてさらに熱を帯びていくはず。この機会に、今まで目を向けていなかった日本のファッションや文化に再注目してみてはいかがだろう?

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