1. TRUMP TRIUMPH:米国史上最も“異端”な大統領が日本を劇的に変えていく

TRUMP TRIUMPH:米国史上最も“異端”な大統領が日本を劇的に変えていく

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 当選するはずがない。そんな雰囲気が漂っていた。投票前の予想ではクリントン氏の勝利を多くのメディアが予想していた中で、この結果は世界中が驚いたことだろう。

 しかし、トランプ大統領が誕生した今、安易にトランプ氏批判を続けるのは不毛だろう。トランプ氏が一体何を考えているのか、今後の政策は私たち日本人に何をもたらすのか、そもそも彼の政策は実現可能なのかーー。

 今、私たちはトランプ大統領を知る必要がある。本記事では、特に日本に関係してくる、経済政策と外交政策に焦点を当てていきたい。

トランプ氏の経済政策はアベノミクスの痛手に

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 トランプ氏が掲げるのは“強いアメリカ”。それは「孤立主義」と「保護貿易」である。アメリカ国民、特に白人のブルーカラー層が裕福にならない理由は、自由貿易によって国内の産業の需要を海外に奪われてしまっているからだとトランプ氏は主張した。

 実際、アメリカ、カナダ、メキシコが結んでいる北米自由貿易協定(NAFTA)のみならず、世界貿易機関(WHO)からの脱退さえ示唆してきた。ここで、日本が気になるのはNAFTAと同じ自由貿易協定の「TPP」だろう。

アメリカのTPP脱退は避けられない?

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 まず結論から言えば、アメリカのTPP脱退は避けられないだろう。大統領選からトランプ氏は再三TPPの不必要性を説いてきた。確かに保護貿易政策はアメリカ国内の産業を慮れば、効果的な策だ。TPPを実行すれば、間違いなく国内の自動車産業は日本製の商品にさらに押されることになるだろう。

 今回、トランプ氏を支持した層は、中流階級以下の白人労働者たちだ。グローバル化と自由貿易が進む中、国内の産業が廃れていくと同時に彼らは貧しくなっていった。彼らが反発しているのは、グローバル化が広げた格差をあまり気にかけてこなかった既存のエスタブリッシュメントだ。トランプ氏に期待していることの一つは既存の体制、すなわち自由貿易を縮小させること。

 ただ、アメリカがTPPを脱退するとなると、日本経済、少なくとも安倍首相が掲げる「アベノミクス」にとって痛手となる。TPPの発効には、全12加盟国が批准するか、GDPの85%以上を占める6カ国以上が合意しなければならない。アメリカはTPP加盟国のGDP合計の60%を占めているので、アメリカが合意しない限りTPPは発効されない。

 トランプ氏は自由貿易だけでなく、各国の為替操作もアメリカ経済を衰退させると非難している。特にその矛先が向かっているのが中国だ。中国は貿易競争能力を高めるために、人民元の対ドル相場を低く設定している。トランプ氏は度々中国の貿易政策を痛烈に批判し、為替操作国に指定する考えも示してきた。

 日本にとっても他人事ではない。アベノミクスの金融緩和による円安も非難の対象となっている。TPP脱退とドル安政策。もしトランプ氏が本気で実現しようと考えているのならば、アベノミクスを実行することは不可能になるだろう。

トランプ大統領誕生は日米安保の転換となる

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 大きな変化が予想されているもう一つの分野は「安全保障」。トランプ氏は日本との安全保障に関する関係について度々言及してきた。日本を防衛する義務がなぜあるのか。この議論はアメリカ国内でもしばしば口にされてきた。トランプ氏は各国との「条約」を「契約」と捉えており、アメリカの損得を第一に考えた外交政策を進めていくだろう。

トランプ氏は日米安保をどこまで変えるのか

 では、トランプ氏は日米の同盟関係をどう変えようしているのだろう。劇的な変化、例えば国内の米軍完全撤退はあり得るのだろうか。確かにトランプ氏は日本の安全保障政策に関する過激な発言を繰り返しているが、アメリカの国益を考えると完全撤退はありえないだろう。

 というのも、国内で在日米軍撤退を望む声が少なくないとはいえ、東アジアの地政学を考えると日本にある戦力をこのタイミングで大きく動かすのは得策ではない。まず南シナ海に進出している中国。そして核開発が活発化している北朝鮮。この二国を牽制するために、日本列島、沖縄は非常に都合のいい地理に位置している。

 ただ、在日米軍の駐留費の増額を日本に要求してくることは十分に考えられる。トランプ氏は演説で、日本だけでなく、ドイツ、韓国などの米軍の駐留費を全額負担するよう繰り返し述べてきた。その上、駐留費を負担しないのであれば、武力武装すべきだと話している。

 確かに、日本は「アメリカの盾」に守られていることに慣れすぎているのかもしれない。私たちは当たり前のように感じているが、自国で自国を守れない国は世界中見渡しても少ない。トランプ大統領の誕生は、日本の安全保障を考え直すきっかけになるのだろうか。


 以上、トランプ氏の政策の中でも、日本と密接に関係するものを中心に紹介してきた。しかし、トランプ氏は大統領選中、その言動が一転二転している広く知られている。特に安全保障分野では、曖昧な言動が多く見受けられる。トランプ氏の言動を鑑みると、今後の政策は不透明であると言わざるを得ない。

 トランプ大統領がアメリカをどのように導いていくのかーー。それはトランプ氏が大統領職に就いて初めて、その資質がわかることになる。それまでは、一喜一憂せずアメリカを冷静に見守ることが必要だ。

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