1. 日本企業は本当に「人手不足」なのか? ブラック企業にならずに労働力を確保する方法を徹底考察

日本企業は本当に「人手不足」なのか? ブラック企業にならずに労働力を確保する方法を徹底考察

 財務省による企業の人手不足についての聞き取り調査によると「人手不足感」を抱いている企業が63.2%にのぼることが判明した。「働きすぎ」な現状への風当たりも強まる中、人手不足問題も同時に発生しているという。

 政府、企業はこの問題をどう解決するつもりなのか。労働環境を悪化させずに人手不足問題を解決できる可能性と、解決のために行われている取り組みについて紹介する。

移民政策は人手不足を解消するのか

出典:www.mof.go.jp
 人手不足の要因となっているのは何なのか。上の表は財務省による聞き取り調査の結果の一部だ。この調査により、人手不足の要因は「募集をかけても集まらない」という要素が大きいことがわかった。

 募集をかけても集まらない人材を、一体どうやって確保すれば良いのだろうか?

人手不足を解消する鍵は「移民」にあり?

 「外国人労働者を受け入れれば、人手不足は解消するかもしれない」という考えもある一方で、移民政策には様々な問題が起こる可能性が指摘されている。実際に海外では、国内労働者の雇用が減少するという弊害が生じているのだ。

 移民政策によって人手不足は解消できるのだろうか。そもそも、移民政策は実現できるのだろうか? 

移民受け入れによって、痒い所に手が届くわけではない

 移民を受け入れることで、現地人の雇用が圧迫される現象がヨーロッパで起きている。移民が労働力の足りない部分を補ってくれれば良いが、そうならない可能性もあるのだ。

 人手不足に陥っている職種には、資格が必要なものが含まれることも理由の1つ。今後、需要が増え続ける福祉・介護分野での人手不足問題は深刻だ。

 日本語で読み書きする能力が求められる資格。業務内容がハードであることから、敬遠される傾向がある介護職。そのうえ、日本語を話す技術まで求められるとなると、とても移民にとって働きやすい国とは言い難い。

 政府が移民の就く職種を厳密に指定、制限するわけにもいかないため、移民により人手不足が解決するとは限らないのだ。

移民政策実現への障害

 移民政策を実現するためには、様々な障害を乗り越えていかなければならない。海外では移民を受け入れることによって、雇用の圧迫、民族間の対立、治安の悪化、文化を喪失する危険などが考えられている。

 しかし、移民を受け入れてから20年後、30年後に起こり得る問題についてはあまり議論されていない。

 アメリカ、フランスなどでは、流入した移民の数以上に「人種分布の変化」が起こると予想されている。移民の出生率が現地人よりも高くなった場合、移民の二世、三世が増加し、受け入れた国の人種分布が大きく変化するのだ。

 現にアメリカでは、2050年には移民として入ってきたヒスパニック系の増加により、白人が過半数を占める国ではなくなっているという予測もなされている。

 大きなリスクや先行きの不透明さが判明すると、移民政策反対派が勢いづくことが予想される。移民政策が、近い将来で実現する可能性は高いとは言えないだろう。

人手不足解消は過労抜きで実現するか

出典:www.mof.go.jp
 国による移民政策の可能性について探ってきたが、企業は人手不足の問題を国に丸投げしているわけではない。

 財務省が公表した上の表の通り、多くの企業が独自に様々な取組を行っている。ブラック企業(過労)にならずに、人手不足問題を解決するための試みについて紹介する。

クリーンな現場で人を呼び込む

 人手不足を新規採用により脱却しようとするために、「非ブラック企業」というのを売りにしている企業もある。賃金引上げ、採用要件緩和などと共に、勤務の多様化、育休制度の拡充などを図り、それをアピールして人を集めようという策だ。

 労働環境やワークライフバランスを重視する人が増えたことで、その人たちのニーズに合わせた企業イメージを前面に出しているのだ。

 また、今いる人材を繋ぎとめる目的で、労働環境の整備を進める企業もある。ワークライフバランスだけでなく、非正規社員の正社員化やキャリアアップに必要な資格取得のための費用を負担する制度の導入などだ。

機械を導入してカバーする

 人が足りないなら機械でできるところは機械でやろう、という取り組みも進んでいる。身近なところでは、スーパーマーケットのセルフレジもその一つだ。

 ロボット等の活用も進んで、AIを活用する企業なども出てきているようだ。機械の導入により労働量の不足を補う、という方法は労働人口減少による人手不足の根本的な解決にもなり得るかもしれない。

 Amazon(アマゾン)が考える、レジのないコンビニ「Amazon Go」だけではなく、国内大手コンビニチェーン「ローソン」は、2018年に「レジロボ」の本格導入を目指している。スマートバスケット(買い物かご)に商品を入れ、レジロボにセット。レジロボは、自動で会計・袋詰めを行うので、人手不足の問題解消に大きく貢献してくれることが期待されている(使い勝手は別として)。


 人手不足の問題は、人口減少の時代を迎えた日本では当然起こり得るものだろう。しかし、働き口が見つからない人も少なくない現状では、まだ改善の余地があるともいえる。

 移民という外からの労働力を求めたり、機械化を進めたりすることで解決する道もある。この問題を国や企業の対策で乗り越えることに期待したい。

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