1. アナログブームを支えるのは20代:「カセットテープ」人気再燃の理由

アナログブームを支えるのは20代:「カセットテープ」人気再燃の理由

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by Mark Seton
 CDの売り上げが減少し、音楽ビジネスが変換期を迎えるいま、コアな音楽ファンの注目を浴びているのが「カセットテープ」の存在だ。

 レコードショップでの企画展の開催や、カセットテープ専門店のオープンなど、音楽をデータで聴く時代の流れに逆行する動きを見せている。どうして2016年のいま、カセットテープという旧世代の音楽メディアが話題を集めているのだろうか?

徐々に市場が縮小したカセットテープ

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by Proudlove
 改めて「カセットテープ」の定義を振り返ってみよう。カセットテープとは、磁気テープをプラスチックケースに収めたオーディオ用のメディアだ。

 1962年にオランダのフィリップス社が発売し、発売当初は会議などの録音が主な用途だった。70年代頃からは音楽メディアとしても浸透し、日本では70年代から90年代初期にかけて主流となった。

CDの普及が市場縮小の大きなきっかけに

 アーティストがリリースした作品を聴くためだけでなく、自分で録音してオリジナルのテープを作る楽しみもあったカセットテープ。1989年のピーク時には、国内だけで年間5億本以上を販売するほどに。

 しかし、1982年に登場したCDの台頭で徐々に姿を消す。さらに、2000年代には「mp3」という音楽ファイルの圧縮技術も広がり、カセットテープを製造する国内メーカーは日立マクセルのみとなった。

いまカセットテープが注目される背景とは?

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出典:cassettestoreday.jp
 日本でのカセットテープブームは、海外から来たものだ。2013年に英国でスタートした「カセットストアデイ」はオーディオテープの祭典で、2015年にはイギリス、アメリカ、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランドなどでオフィシャルに開催されている。

 2016年10月8日には日本でも開催され、日本各地のレコードショップでカセットにまつわるキャンペーンやイベントが催されたほか、日本のアーティストもカセットテープをリリース。サニーデイ・サービスなどのベテラン勢から新進気鋭のアーティストまでが揃った。

アメリカでのミュージックテープ市場が拡大

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出典:nationalaudiocompany.com
 アメリカのミズーリ州にあるNational Audio Companyは、全米最後のカセットテープ複製工場だ。とはいえ、ここ数年は過去最高のペースで生産しているという。販売本数は80年代が500万本以下だったにも関わらず、2015年には2,400万本にまで成長したほどだ。

 カリフォルニアでもカセットテープの人気が高まっており、2007年創業のカセットテープレーベル「バーガー・レコーズ」の売上は好調。アメリカでは、ゴールド&プラチナムディスクを獲得したアルバムは、カセットテープ版も発売されるケースが増えている。

 また、カセットテープ復活の兆しに目を付け、最初からカセット版をリリースするアーティストも出て来ている。米国のジャスティン・ビーバーやカニエ・ウェスト、英国出身のシンガー、マリーナ・アンド・ザ・ダイアモンズなどがその代表だ。

 イギリスでは、2007年にカセットテープの売り上げが20万本に落ち込んだが、2015年には200万個までセールスがアップ。ここ20年で、アナログレコードの売り上げ増加が続くなか、カセットテープの人気もジワジワと盛り上がっているのである。

日本にもカセットテープの専門店が登場

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出典:waltz-store.co.jp
 現在、渋谷や中目黒など若者が集まる町でカセットテープを扱うイベントやショップが登場している。

 ビームスが展開する音楽部門「BEAMS RECORDS」は、2015年3月にカセットテープを集めた企画展を開催した。2014年に渋谷にオープンしたHMV record shopでは、アナログレコードとともにカセットテープを精力的に取り扱っている。

 2015年の夏には中目黒に中古カセットテープ専門店「waltz(ワルツ)」がオープン。今夏には新宿伊勢丹のレディースフロアで、同店店主が選んだヴィンテージの音楽カセットと伊勢丹で売っている商品をセットにしてギフトにするイベントも開催された。

若い世代を中心にブームが加熱

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出典:dempagumi.dearstage.com
 日本におけるカセットテープでの新作発表は、インディーズのミュージシャンが中心だ。アイドルグループのでんぱ組.incなども継続的にカセットテープでのリリースを行っている。あえてカセットテープをリリースすることが“新しい”と、20代を中心に話題を集めているのが現状だ。

 また、日本各地にカセットを扱う音楽レーベルも登場している。神戸のMiles Apart Recordsや、名古屋のGALAXY TRAIN、福岡のDuennなどがその筆頭で、Miles Apart Recordsの人気シリーズ「Cassette Tapes Club」は、国内インディーロックの登竜門としての機能を果たすほどの勢いがある。

カセットテープやカセットデッキが復活

 カセットテープがブームになりつつある現状を踏まえ、カセットテープメーカーが70年代の復刻版を販売したり、ラジカセを復活させたりする動きが生まれている。

70年代の人気モデルを復刻販売

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 日立マクセルは、2016年11月25日から70年代の人気モデル「UD」シリーズのデザインを再現した復刻版のカセットテープを限定販売する。1966年に国内で初めてカセットテープを商品化した同社の50周年を記念したものだ。

 同社は現在も月100万巻を発売しており、カラオケの練習用などとして高齢者を中心に根強い人気がある。さらに、数年前からカセットテープへの注目が高まったこともあり、復刻版の発売を決めたという。

クラウドファンディングにもラジカセプロジェクトが登場

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出典:www.makuake.com
 クラウドファンディングサイト「Makuake」に登場したプロジェクト「懐かしさと新しさの共存 日本発・新たな21世紀型ラジカセをつくる!MY WAY」は、スタートからわずか4日で目標額の200万円を達成した。

 本プロジェクトは、家電蒐集家・松崎順一氏チームによるもので、カセットテープを“クールなメディア”と捉える同チームが、カセットテープを聴くためのラジカセを開発するものだ。あえてBluetooth機能は搭載しないことで、ラジカセの原点としての意義を明確にしている。

 2016年11月3日現在の支援額は340万円を突破しており、カセットテープへの注目度の高さが見て取れる。

ファッションブランドもデザインとしてのラジカセに注目

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出典:www.katespade.com
 ファッションブランド「ケイト・スペード ニューヨーク(kate spade new york)」の16年秋の新作バッグにも、ラジカセをモチーフにしたアイテムが登場した。

 「ラジカセバッグ」は、今シーズンのキーワードのひとつ「ジャズ」から生まれたバッグでラジカセをモチーフにしている。同じく、カセットテープをモチーフにした「カセットテープバッグ」もある。

ラジカセの魅力に迫る「大ラジカセ展」が開催

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出典:dairadicasseten.haction.co.jp
 2016年5月、大阪市内で「大ラジカセ展」が開催された。「MY WAY」のプロジェクトリーダーでもある松崎順一氏の数々のラジカセコレクションが展示されたイベントだ。ラジカセの音を体験できるコーナーや、当時オンエアされたラジオの試聴コーナー、カセットテープのラベル展示など、ラジカセから派生したカルチャーも合わせて紹介し、幅広い年代の来場者を楽しませた。

 同展は2016年12月9日~27日に都内での開催が決定しており、カセットテープをとりまく70~80年代のカルチャーに興味がある人はぜひ足を運んでみてほしい。

日本発アナログ合体家電『大ラジカセ展』
日時:2016年12月9日(金)~12月27日(火)
10:00〜21:00(最終日は18:00閉場) ※入場は閉場の30分前まで
会場:パルコミュージアム 池袋パルコ本館7F
問い合わせ:03-5391-8686

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