1. 近年相次ぐ大手食品メーカーの異物混入事件:企業の危機管理とその代償

近年相次ぐ大手食品メーカーの異物混入事件:企業の危機管理とその代償

近年相次ぐ大手食品メーカーの異物混入事件:企業の危機管理とその代償
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出典:brightnest.com
 2016年10月27日「はごろもフーズ株式会社」の製造するツナ缶の中にゴキブリが混入していたことが判明した。同社はその事実を把握していたにも関わらず、公表していなかったことが問題になった。後に、2014年にも製品にハエが混入するという同様の事がおきていたが公表していなかったということも明らかに。

 こちらは、異物混入ではないが、2016年11月1日には「株式会社肉の石川」が製造した製品から病原性大腸菌O‐157が検出され、2人の重症患者を出す事態が起きた。

 近年絶えない異物混入等の食品衛生問題だが、これまで起きた食品メーカーの異物混入事件は一体どれほどの影響を及ぼしたのだろうか。各企業の事件に対する対応や、その他の製品や企業自体にどれほど影響があったかを中心に、食品メーカーは消費者に対してどうあるべきなのかを考えていきたいと思う。

相次ぐ食品業界の異物混入事件

マクドナルド:賞味期限切れ生肉使用(2014年7月)

 2014年7月20日「日本マクドナルドホールディングス株式会社」は、中国の一部メディアにおいて、マクドナルドのサプライヤーの一つである「上海福喜食品有限公司」が使用期限切れの鶏肉を混入させた「チキンマックナゲット」を製造していたと公表。

 これを機にマクドナルドは「上海福喜食品有限公司」との契約を解消し、チキンマックナゲットの販売を休止しする対応をした。

まるか食品:ゴキブリ混入(2014年12月)

 2014年12月3日「まるか食品株式会社」が製造する「ペヤングソースやきそば」の中にゴキブリが混入されていたと、ある大学生がTwitterに投稿し、話題に。

 その後まるか食品は、全商品を自主回収し、生産を全面停止した。そして数十億円かけて設備を新しくするという対応をした。

エースコック:ステンレス片混入(2016年6月)

 2016年6月28日「エースコック株式会社」が製造する「スープはるさめ トマたま」の原材料のトマト缶にステンレス片が混入されていたことが判明し、対象商品の自主回収を実行。

 商品の着払いでの回収を消費者に促し、のちに商品代金相応のクオカードを送り返すという対応をした。

ローソン:カビ混入(2016年8月)

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 5番目の画像出典:www.lawson.co.jp
 2016年8月9日「株式会社ローソン」が販売したデザート「ヨコオ カロリー0 果汁ゼリー みかん280g」の一部商品にカビが混入していることが判明。

 カビの混入の原因を製造ラインを再起動させた際の洗浄不足と説明したうえで、全商品の自主回収を決定。該当商品もしくは、レシートを持参した人に代金を返金する対応をした。

アサヒグループ食品:樹脂片混入(2016年8月)

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 6番目の画像出典:www.wakodo.co.jp
 2016年8月29日「アサヒグループ食品株式会社」が和光堂ブランドとして展開する「栄養マルシェ 鶏とおさかなのベビーランチ」と「栄養マルシェ 和野菜のベビーランチ」の商品の一部に青色の樹脂片が混入していたことを発表。

 健康被害は出ていないことを説明したうえ、対象商品の自主回収をした。返品した人に対して、商品代金相応のクオカードを送る対応をした。

異物混入が及ぼす影響

 大手食品メーカーの起こした異物混入事件をいくつか紹介してきたが、内部告発によって判明したマクドナルドの事件や、SNSで大きく取り上げられたペヤングの事件、そして小さい子供が口にするベビーフードの異物混入事件は衝撃とともに世間の関心を集めたのが記憶に新しい。

 ここでは、異物混入事件がそのメーカーや他の商品に及ぼす影響について見てみたいと思う。

自主回収や他の製品に及ぼす影響

 賞味期限切れの肉を使用していたことが発覚したマクドナルドだが、その後も異物混入事件が立て続けに発覚。2015年12月期連結決算は、最終損益が347億円の赤字(前年同期は218億円の赤字)となり、赤字の額は2001年の上場以来で過去最大を更新するという結果になった。

 マクドナルドは赤字の原因を14年夏以降に発覚した期限切れ鶏肉の使用問題や異物混入問題などで客足が遠のき、業績が悪化したと説明した。社長であるサラ・カサノバ氏は「45年の歴史で最も厳しい年だった」と語る程であった。

 この数字は、異物混入が発覚した商品や、店舗だけでなく、マクドナルド全体に不祥事の影響が及んだことが見て取れる。

 また、ゴキブリの混入で商品の自主回収を行った、まるか食品は、まだ混入の原因が特定できていない状況だったにも関わらず、「製造過程での異物混入は考えられない」といった文章をホームページで発表したり、自主回収費用を保障するリコール保険へも未加入だったことも報じられたことで、各メディアや消費者の不信感を招いてしまった。

 結果的に製造段階での混入を認め、数十億円かけて製造設備の改新を行うこととなり、年商80億円であったまるか食品にとっては大きな代償となった。

不祥事は公表すべき?

 異物混入事件が及ぼす影響には食品メーカーの知名度や話題性によって左右されるが、一番大きく関係するのは各メーカーがどのように対応したかどうかであるように思える。

 異物混入や不祥事を公表しなかったマクドナルドやまるか食品は、事実が明るみになった後長期にわたる製造中止や赤字に陥るという計り知れない損害を出す結果になった一方で、発覚してすぐに公表、自主回収を行ったメーカーへの影響は比較的小さい場合がほとんどであった。

 実際に、ペヤングソース焼きそばに異物混入が発覚した同月10には日清食品冷凍株式会社が製造する冷凍パスタに虫の足が混入する事件が起きたが、すぐに対応した結果、一部商品を回収するのみで、製造中止になって商品が店舗の棚から消えることはなかった。

異物混入発見してもSNSに投稿はNG

 食品異物混入事件が話題になる特徴として、ネット情報とマスコミ報道の“相乗効果”が見受けられる。仮に我々が異物混入を発見した際には、SNSなどに投稿するのではなく、製造元と販売元そして、保健所に連絡をしたうえで製品を保存するのが正しい行動とされている。

 異物が混入したことが製造段階であったと立証されていない状態でSNSに挙げるという軽率な行為は、メーカーの信頼や存続にも関わってくる。製造段階で混入していないと判明した場合には、名誉毀損などの法的措置が取られてしまうケースもあるという。
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出典:www.lifehacker.com.au


 食品は口にするものであり、我々の健康にも関わってくるため消費者も食品メーカーの不祥事には敏感になっているだろう。しかしながら、一番重要なのはSNSなどの情報を鵜呑みにするのではなく、正しい情報か否かを判断することだろう。

 また、メーカー側も不祥事を隠蔽するのではなく、素早く対処し消費者に対して正直であることが企業のあるべき姿であるのではないだろうか。そして我々消費者は購買の際、メーカーへの信頼も込めて対価を払っていることを忘れないで頂きたい。

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