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虫嫌いは閲覧注意! いつか当たり前になるかもしれない「昆虫食」の可能性について考える

日置泰治

2017/01/03(最終更新日:2017/01/03)


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 食料品に虫が混入しようものなら、SNSで拡散され、ブランドイメージの低下が避けられない昨今。殺虫剤のコマーシャルも日常的に流れるなど、現代日本では、虫に対する嫌悪はかなり強いものがある。

 一方で、昆虫食を広めようという動きも出てきている。各地で試食会が行われたり、通常メニューとして昆虫を使った料理を出す店も数多く存在する。本記事では、偏見を持たれがちな「昆虫食」の可能性を追っていきたい。

2050年、世界人口は97億人に達する予想

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 総務省が公表した2015年国勢調査の結果によると、日本の総人口は1億2,709万5,000人で、2010年の前回調査と比べ96万3,000人減少した。国勢調査としては初めての減少に転じ、少子高齢化の問題が改めて浮き彫りとなった。

 世界人口は、国連人口基金が発表した2016年版「世界人口白書」によると、世界全体の人口は約74億3,300万人であった。加えて、2050年には世界人口が97億人にまで増加すると国連は予測している。

食糧不足を解決する手段「昆虫食」

 途上国で食糧不足が問題となっている。このまま食糧増産のための農地開発が進めば、森林が減少するなど、環境問題も深刻化するだろう。

 そこで注目されているのが、「昆虫食」だ。昆虫は高タンパクで、その他ビタミンやミネラルなどを含み、栄養価が非常に高い。また、成長が早く、牛などの産業動物よりも土地や飼料代が少なくて済むため、生産効率も良い。
 
 欧米では昆虫食をビジネスとして捉える動きがあり、「コオロギ」の養殖などが既に始まっている。昆虫が一般的な食材として食卓に上る日もそう遠くないかもしれない。

日本で食されている昆虫

 長野県など一部の地域を除き、昆虫食の習慣が薄れている日本。しかし、現在でも比較的広い地域で食されている昆虫もいる。代表的な3種を以下に挙げる。

イナゴ

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出典:www.amazon.co.jp
 バッタの仲間、イナゴ。稲を食べる害虫として知られているが、同時に貴重なタンパク源として、多くの地域で食用とされてきた。イナゴの佃煮は現在でも人気が高く、都心でも売られることがある。

蜂の子

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 ハチミツやローヤルゼリー、プロポリスというかたちでお世話になることが多い蜂。蜂の場合は、幼虫や蛹、成虫も食されている。蜂の幼虫や蛹は蜂の子と呼ばれ、クロスズメバチのものは特に珍重されている。

カイコ

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 絹の採取に使用されるカイコだが、餌用、食用にも利用される。豚や鶏の飼料、魚の釣り餌に使用されるほか、人は糸を採取した後の蛹(さなぎ)を佃煮として食すケースが多い。栄養価が高く、カイコの蛹3つで卵1つ分に相当するといわれる。

昆虫食を“知る”ことから始めよう

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出典:mushikui.net
 昆虫食に興味が出てきたという方にお勧めのサイトが『昆虫食彩館』だ。昆虫料理研究会代表であり、食用昆虫科学研究会会員でもある内山昭一氏が様々な昆虫食イベントを企画、開催している。

 同氏は昆虫食に関する本も執筆されているので、いきなり食べるのはちょっと……という方は、まずこれらの本を読んでみるのもいいだろう。
 他にも、昆虫料理研究会に参加し、“虫食いライター”として活動するムシモワゼルギリコ氏は、『むしくい』という昆虫食ポータルサイトを運営し、昆虫食の情報を多数発信している。

 また、実際のところ味はどうなのか? という疑問を持たれた方は、『東京別視点ガイド』に『東京虫食いフェスティバルvol.4』のレポート記事があるので読んでいただきたい。編集長でありライターの松澤茂信氏が、実際に試食した各種虫料理の感想が書かれている。


 昆虫食の有用性と可能性は、ある程度認知されている。しかし、「不潔」、「不味い」といった偏見が壁となってなかなか浸透していない。本や試食会などによって、食材の一つ、として価値があるという認識が広まれば、研究が活発化し、新たなビジネスをつくることもできるのではないだろうか。

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