1. 日本にオオカミが復活?:意外と知らない野生動物の実情と保護活動

日本にオオカミが復活?:意外と知らない野生動物の実情と保護活動

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by - www.alessandrocorona.com -
 世界で今日までに確認されている生物の種の総数は約175万種。私たちの住む日本でも確認されているだけで、およそ9万種類もの生物が暮らしている。固有種の数はなんと131種。かの有名なガラパゴス諸島の固有種数110種を上回る数だ。

 それに対し、イギリスやドイツなどの先進国は野生動物の固有種が0種だ。比較すると日本の生物の多様さがわかるだろう。日本は固有種の割合が高く、生物多様化のホットスポットなのである。

  しかし現在日本では、およそ3割の生物が絶滅の危機に瀕している。そこで今回は2016年に“日本の山林にオオカミが復活する?”と話題となった「オオカミフォーラム」に 触れながら、日本の野生動物に焦点を当てていく。

日本の野生動物の実情

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出典:en.wikipedia.org
 日本は北から南へと長く伸びた複雑な地形に豊富な水や森林があり、さらには四季の変化など、様々な要因と長い年月をかけ多くの生物が命を育む環境ができていった。国土のおよそ3分の2を森林が占め、先進国の中でもフィンランドやスウェーデンの北欧の国に次ぐ第3位と、トップクラスの森林大国である。しかしそのうちの40%は人工林で、人間が手入れをしているためにエサがほとんど出ない。多くの動物たちは生きていく場所を奪われたのだ。

 さらに私たち人間の文明が発達するにつれて、乱獲が行われたり公害汚染によって、トキや日本オオカミをはじめ、47種の生物が絶滅している。

 現在の日本では乱獲による生物の衰退はほとんどなくなったが、森林伐採や湿地や河川の減少が種を衰退させる原因として未だに問題となっている。

生態系回復を目指し、日本にオオカミが復活?

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出典:japan-wolf.org
 日本では現在絶滅の危機に瀕している動物が多い一方で、野生動物による森林被害が深刻化している。生態系の乱れによって、サルやシカ、イノシシなどの野生動物が我々に与える被害が深刻だ。昨年1年間の被害額で約200億円にも上る。

 被害面積は全国で約9,000ヘクタールにも及び、中でもシカによる被害が全体のおよそ8割を占める。36年前に比べて、生息分布もおよそ2.5倍に拡大した。

 シカの個体数を正常に戻すために、日本の森林にもかつて生息したハイイロオオカミを輸入し、森へ放す構想が日本オオカミ協会によって練られている。日本と同じように世界最古の国立公園であるアメリカのイエローストーン国立公園も、約20年前はシカの個体数の増加によって、生態系のバランスが崩れ悩まされていた。

 そこでイエローストーン国立公園では元々生息していたオオカミを放し、シカの天敵を作った。するとシカの個体数が安定し、自然環境に変化が生まれた。森林は増え、土壌の浸食を防ぎ、川の流れが穏やかになったという。以前は住み着いていなかった動物までもが住み着くようになり、生物の多様性を生み出したのだ。

 イエローストーンのオオカミ導入によるシカ対策の成功例に習い、日本国内でもオオカミ復活の機運が高まっている。しかしオオカミの導入に際して人々への被害など懸念する声もある。

 そんな中、オオカミについての理解を深めるため、今年10月に日本でもオオカミフォーラムが開催。オオカミの復活が、いよいよ現実味を帯びている。かつてのように日本にオオカミを復活させることは、生態系に多様性と安寧をもたらす鍵になるかもしれない。

野生動物を守るための取り組み

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出典:www.insidejapantours.com
 現在テレビやCM、雑誌など多くのメディアで環境に対する話題が取り上げられるようになった。ご存知のように地球上の多くの生物たちはお互いに大きく影響し合いながら生きている。1種生物が絶滅することが、およそ30種の生物の命を脅かすとも言われる今、日本でも行われている野生動物を守るための主な活動を下記に紹介する。

ワシントン条約

 ワシントン条約とは、過度な国際取引によって生存を脅かされたり、絶滅してしまう恐れのある野生動植物を保護するための条約。1973年にアメリカのワシントンで採択された。

ラムサール条約

 ラムサール条約とは、湿地を保全するための条約である。1971年にイランのラムサールで採択された。2016年現在、日本国内で50カ所が登録されており、琵琶湖や慶良間諸島海域、釧路湿原などが該当する。

生物多様性条約

 生物多様性条約とは、生物の多様性を守り、保全することを目指した条約。1992年に採択された。

WWF(世界自然保護基金)による生物多様性条約3つの目的

  • 1:生物の多様性の保全
  • 2:生物の多様性の持続可能な利用
  • 3:遺伝資源の利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分
WWF(世界自然保護基金)とは、人と自然の調和を目指し、森林保全や生物保護などを行う、世界最大規模のNGO組織のことである。

世界遺産条約(自然遺産)

 世界自然遺産条約とは、人類共通の後世に残すべき遺産を保護する条約。1972年フランスのパリで採択された。登録のための評価基準は、自然景観、地形・地質、生態系、生物多様性の4項目から成る。日本では2016年までに、白神山地、屋久島、知床、小笠原諸島の4カ所が登録されている。

レッドリスト

 レッドリストとは、1966年に初めてIUCN(国際自然保護連合)によって発行された、絶滅の恐れがある動物のデータを取りまとめたもの。1981年からはブック形式に統一され、日本でも1991年、独自に「日本の絶滅のおそれのある野生生物」という名でレッドリストが環境庁(現環境省)によって作成され、現在も改訂版が順次発行している。


 私たちの便利な生活の裏で淘汰されていく生物たちがいることを忘れてはならない。世界をはじめ日本国内でもオオカミフォーラムの開催のように、生態系回復や自然環境を守る運動が行われていることがわかった。私たちの住む日本は多様な生命が生きるホットスポットだ。命の灯火を絶やさないために、一人一人になにができるかを考えてほしい。

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