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車はどこまで進化する? 「自動運転」「AI」… 現在活用されている最新技術と今後の展望

西澤快

2016/11/30(最終更新日:2016/11/30)


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by NISSANEV
 先日、デンソーと東芝が自動車向けのAIの共同開発を発表した。ここ数年で「自動運転実現」という夢への現実味が増してきている。

 また、自動運転の実用化に応じて必要なのが法整備であり、国内のみならず、国際的にも本格的な法整備が推し進められてきている。そんな日常的に進化している車には、自動運転の他にも様々な最新技術が導入予定だ。そこで本記事では、現在と未来の車に導入されうる先進技術を紹介していく。

あなたの車の中にもこんな自動運転機能が!

 現在は、ドライバーが運転しなくていい「完全自動運転」の社会活用が検討されている。アメリカなどではTesla Motors(以下、テスラ)の「オートパイロット」というドライバーの監視操作下での自動運転(運転支援)が活用されている。

 では、今の時点で車に搭載されている最新機能をメーカ別に紹介していく。また、今後実現される見込みのある「自動運転」の現状と問題については下記の記事を参考にしていただきたい。

VOLVO:渋滞中のノロノロ運転の事故に終止符!

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出典:www.volvoclub.org.uk
 スウェーデンの自動車メーカーVOLVOの「XC60」(日本でも2009年から販売開始)に搭載されているのは「シティ・セーフティ」だ。この機能は、渋滞の多い都市交通で、低速時に発生する衝突事故を回避することを目的に開発された。

 フロントウィンドウに設けられたレーダーによって時速30km以下で作動し始め、追突の可能性があると判断すると急ブレーキがかかる。また、速度差が時速15km以下だと衝突する手前で停止し、時速30km以下であれば減速して衝突の被害を軽減する。遅いスピードだからこそ起こる事故を未然に防ぐことができるのだ。

Tesla Motors:17インチのタッチスクリーン

 アメリカのシリコンバレーを拠点としているテスラは、電気自動車「Model S」に17インチのタッチスクリーンを導入している。17インチの大きさは、最新の「iPhone7 Plus」の5.5インチを想像してもらえば大きさのイメージがつくだろう。

 このタッチスクリーンは、インターネットへの接続が可能になっており、マップは「Google map」が使われている。また、スマホとリンクし遠隔でのタッチパネル操作が可能になっている。今後、テスラをきっかけに「スマホと車の融合」が加速するだろう。

HONDA:進むか減速か? 信号情報活用運転支援システム

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出典:www.honda.co.jp
 本田技研工業株式会社(以下、Honda)が今年5月に発売40年を迎えた「アコード」に、「信号情報活用運転支援システム」を世界で初めて標準装備した。このシステムは、信号機の近くに設置された高度化光ビーコンから、信号の色を通過する車に赤外線で転送するというシステムである。約5,700カ所の交差点で通信可能になっており、今後の拡大に期待だ。

 また、本システムの主な機能は信号通過時の最適な速度を知らせてくれる「信号通過支援」、次の信号がいつ赤になるのかを知らせてくれる「赤信号原則支援」、青信号になるタイミングを知らせ、信号での発進遅れを防ぐ「発進遅れ防止支援」の3つである。これらは加減速による燃費の悪化を防いだり、安全運転に寄与する効果がある。ドライバーからすると、次の信号の状況がわかるというのは心の持ちようが大きく変わるものだ。

次世代新機能を詰め込んだ「新しい形」の自動車へ

 自動運転の実現に向けて人々の期待が高まる中で、自動運転以外にもまだまだ「人の運転」での事故を防ぐ機能の開発が進んでいる。

2020年には「オートライト」が義務化

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by iyoupapa
 国土交通省は2020年4月以降、新型の乗用車に「オートライト」の導入を義務付けた。「オートライト」とは、1,000ルクス(日没15分前の明るさ程度)未満になると自動でヘットライトが点灯するような仕組みである。また、1,000ルクス未満になると走行中は消すことができなくなるため、日没前の暗さでの事故を防ぐ狙いがある。

 また、昨年歩行中に亡くなった625件の事故の中で96%がロービームであったこともあり、警察は交通ルールやマナーなどをまとめた「交通の方法に関する教則」を改正し、ハイビームの活用を明記している。

 そんな中で、トヨタ自動車株式会社(以下、TOYOTA)の「LEXUS」が2015年から予防安全パッケージとして「LEXUS SAFETY SYSTEM+」を導入した。主な機能としては、車がハイビームで走行可能と判断した時にロービームからハイビームに自動で切り替え、反対に先行車や対向車などハイビームでの走行が不可能だと判断するとハイビームからロービームへ自動的に切り替える「オートマチックハイビーム(AHB)」がある。

 また、「アダプティブハイビームシステム(AHS)」も搭載している。これは、光検出用カメラで前車のテールランプや対向車のヘッドランプなど、ハイビームの照射範囲内に車両を検知すると、先行車や対向車に直接ハイビームを当てないよう、部分的に遮光するシステムである。

MINI:未来の「MINI」を見る!

 ドイツ・バイエルン州ミュンヘン市に本社を置くBMW株式会社(以下、BMW)が擁するMINIは、「MINI VISION NEXT 100」という未来都市の中で活躍するMINIのイメージを提案した。

 未来のMINIは車体の各部にリサイクル樹脂やウッド、レザーが使用されていたりするなど、すべてリサイクルが可能なものに限定されている。機能面の進化は、フロントウィンドからバンパーまで一面透明になり視野がとても広くなっていて、「Inspire Me」と書いてあるボタンで、ナビゲーションなどのアシスタンスを可能とするデジタルデータにアクセスができる。

 また、カーシェアリングが当たり前になるということを念頭に開発されており、ユーザーごとにその顔を映し出すウェルカムライトや、利用者の嗜好にあったカラーリング・デザインに変更することもできる予定だ。

学生が未来の車を提案! 「shiwa コンセプト」

 イタリア・トリノにあるデザイン学校「IED(Istituto Europeo di Design) 」の学生と、同じくイタリアの自動車情報誌である「Quattroruote」が近未来的自動車「IED Shiwa コンセプト」をジュネーヴモーターショー16で提案した。

 このプロジェクト名にある「shiwa」は、日本語の「皺」であり、デザインは日本の「折り紙」からインスパイアされている。この車の大きな特徴は、「窓がない」ことである。この車は電気自動車かつ全自動で運転されるもので、人間がわざわざ窓を見る必要がないという背景がある。学生が提案した未来の車は近未来の車らしいデザインで、乗るだけでなく見た目もクールに仕上がっている。


 以上のように、今後、様々な機能が搭載される予定だ。加えて、比較的新興車メーカーであるテスラや、そもそも車メーカーではないGoogleやAppleも車の開発に乗り出し、自動車産業のトップを狙っている。

 おそらく、私たちが2016年現在で思い浮かべるような「車」のイメージは、この数年すると軽々と壊されてしまうだろう。そんな自動車産業の行く末に期待したい。

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