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コアな需要を狙い撃つ:特化型クラウドファンディングにビジネスチャンス

Tessei Kameyama

2016/11/11(最終更新日:2016/11/11)


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by NickiMM
 クラウドファンディングサービス市場が拡大を続けている。2015年7月に国内の主要なクラウドファンディングサイトで集まった支援総額は約2億2,000万円であったが、2016年7月では約4億1,500万円にまで増加している。これを機にと、新たなプロジェクトをクラウドファンディングで立ち上げようと考える方もいるだろう。

 しかし、ここまで市場規模が拡大した今、どのサービスを利用すれば資金調達が成功するだろうか? 大手サービスの知名度を利用するのも一つの手だが、ここではあえて特定の分野に特化したクラウドファンディングサービスを紹介したい。

特化型クラウドファンディングの魅力とは

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by danielfoster437
 すでに大手のクラウドファンディングサービスとしては、国内初のクラウドファンディングサービスである「READYFOR」、プロジェクト成功率80%を誇る「kibidango」、5%という低い手数料が魅力の「CAMPFIRE」などがある。これらの大手サービスには圧倒的な知名度に基づく強い集客力がある。それでも比較的規模の小さい特化型クラウドファンディングサービスを利用するメリットはあるのだろうか? いや、規模が小さいからこそ新たなチャンスを掴むことができるのだ。

興味を持つ人が集まりやすい

 クラウドファンディングにおいてプロジェクトを成功させるために重要なのは、どれだけプロジェクトの魅力が伝わるかということである。そのためには、資金を投じるパトロンたちがどのようなニーズを持っているかを知る必要がある。大手サービスには様々なニーズを抱えたパトロンが混在しており、その多くはプロジェクトの分野については素人である。なので、納得させようと詳細に説明した結果、逆にパトロンがついていなくなってしまう恐れがある。多様なニーズに一つの説明で答えることは簡単なことではない。

 その点、特化型サービスにはその分野に明るいパトロンが集まりやすく、予めニーズが画一化されている。つまり、詳細な説明をすればするほどパトロンが納得する可能性が高くなるのである。明確なニーズに対して詳細にプロジェクトを提案できるという点は大手サービスにはない特化型ならではの利点である。

他のプロジェクトに埋もれることが少ない

 パトロンの予算には限界がある。資金を得るには他のプロジェクトよりも目立ち、パトロンの興味を集めなければならない。大手サービスには多様なプロジェクトが数多く存在しており、資金を集めるために相手するライバルも多くなってしまう。

 特化型サービスは比較的小規模であるため、ライバルが多すぎて埋もれてしまうリスクを回避することができる。また、関心の強いパトロンはどんなプロジェクトがあるかを詳細に調べるため、”掘り出し物”として興味を得る可能性もある。パトロンへのアピールが無駄になりにくいという点でも特化型サービスは優れている。

特化型サービスの紹介

 それでは、一体どのような特化型クラウドファンディングサービスがあるのだろうか? ここからは個性豊かな特化型サービスの紹介をしていこう。

地域特化型の「ACT NOW」

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出典:actnow.jp
 「ACT NOW」は北海道から発信されるプロジェクト専門のクラウドファンディングサービスだ。地域の活性化と企画者の自己実現を目的としてサービスを提供している。これまでに酒粕からスイーツを作るプロジェクトや、空き家活用のためのフォトコンテストなどが資金調達に成功している。いずれのプロジェクトも北海道ならではの魅力を活かしてパトロンに魅力を伝えている。

 他に地域特化型サービスとしては九州特化の「LINKSTART」などがある。

飲食に特化した「kitchenstarter」

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出典:kitchenstarter.jp
 飲食に関したプロジェクトを始めたいのなら「kitchenstarter」をお勧めする。これは、飲食店の開店や新商品の開発を手助けする飲食に特化したクラウドファンディングサービスだ。これまでに癒し空間を提供するカフェの開店や、新たな和牛ブランドの知名度向上などのプロジェクトが資金調達に成功している。

 他にも、日本酒に特化した「MIRAI SHUFUND」などがある。

ものづくり特化の「Cerevo DASH」

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出典:dash.cerevo.com
 新しいガジェットを開発したいのなら「Cerevo DASH」がある。これはガジェット開発のアイデアを公開することで、そのガジェットを欲しいと思うパトロンの支援を集めるクラウドファンディングサービスだ。

 これまでに、USBキーボードをBluetooth化するという実用的なものから、iPhoneをヌンチャク化してしまうケースといった変わり種まで資金調達に成功している。海外の大手クラウドファンディングサービスである「Kickstarter」への投稿支援を行っている点も魅力的だ。

 他にものづくりに特化したサービスには「Spotlight」などがある。

特化型サービスが抱えるリスク

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by Scorpions and Centaurs
 ここまで様々な特化型クラウドファンディングサービスを紹介したが、当然リスクも存在する。第一に、小規模ゆえの不安定さが挙げられる。例えば、ゲーム開発支援に特化したサービスであった「Crowdrive」は平成28年9月30日をもってサービスを終了した。長期的に利用できるとは限らないのが特化型の欠点である。

 第二に、集められる資金は大手サービスと比較して少なめになることが挙げられる。例えば、記事冒頭でも挙げた「CAMPFIRE」には100万円単位での成功プロジェクトが数多く存在するが、特化型サービスでは数十万円規模のプロジェクトが目立つ。特化型サービスで100万円を集めることも不可能ではないが、大規模な資金調達という点ではやはり大手サービスには敵わない。

 しかし、これらの欠点を克服し得るサービスも存在する。それは、大手サービスから分岐して運営されている特化型サービスである。例えば、「MIRAI SHUFUND」や「LINKSTART」はCCC(TSUTAYA)グループが運営する比較的大規模なクラウドファンディングサービス「GREEN FUNDING」の傘下にあるサービスである。このようなサービスであれば大規模サービスの安定性と特化型サービスの“濃い”ニーズの双方を得ることができる。


 特化型クラウドファンディングを使いこなすことで、より効率的に資金が集まり、その分野での知名度上昇も期待できる。新しい挑戦をしたいという人ほど、特化型のクラウドファンディングサービスを検討するべきだろう。

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