1. CEATEC JAPAN 2016総括:IoTでスマホのカタチが変わる? “握手”で通信可能に!

CEATEC JAPAN 2016総括:IoTでスマホのカタチが変わる? “握手”で通信可能に!

 国内最大規模を誇ったIT・エレクトロニクスの展示会「CEATEC JAPAN」だが、年々その規模を縮小。かつては大手通信キャリアの展示も多く、ケータイの新製品をお披露目する場にもなっていたが、今ではブースすらも見られなくなった。

 打開策として主催者側が打ち出したのが、コンセプトの変更。2016年は「つながる社会、共創する未来」をテーマに、IoT(モノのインターネット)にまつわる製品や技術が一斉に展示されていた。規模こそ海外の展示会に比べると小さいが、今年のCEATECは、日本のITの行く末を占う上で、重要な役割を果たしたと言えるだろう。

IoTへシフトしたCEATEC JAPAN 2016

 モバイル分野では、すぐに買える新製品というより、数年後を見越した技術展示が多かったのが印象的だ。たとえば、シャープは「フリーフォームディスプレイ」と呼ばれる、形状を自由にデザインできる液晶を参考出展した。この技術をスマホに応用したのが、角がカーブした端末。同社はフレームレスの「AQUOS CRYSTAL」などを製品化しているが、それを一歩進めたような形状となる。
 角が丸を帯びたフレームレスのスマホ。
 横から見ると、通常のスマホにあるフレームが一切ないことが分かる。
 写真を見ると分かるが、角が丸みを帯びていることで、液晶が背後の風景と溶け込み、まるで映像が浮かび上がっているかのように見える。スマホはディスプレイの比率が高く、前面のデザインで差別化がしづらいが、この技術があれば、他社との違いも打ち出しやすい。より円形に近づけることもでき、商用化できれば、“箱型”が当たり前だったスマホの常識も変わってくるかもしれない。
 フリーフォームIGZOは、スマホの形状に変化をもたらすかもしれない。
 よりコンセプチュアルな参考展示を行っていたのが、レノボだ。同社は折り曲げることができるディスプレイを採用した、2画面端末のコンセプトモデルを出展。会場にあったのはモックアップ(模型)のみだったが、将来的にはこのような端末も実現する可能性はある。
 レノボブースに展示されていた折りたためる端末の「Folio」。
 Folioの想定スペック。
 ディスプレイを曲げる技術は、韓国のサムスン電子やLGエレクトロニクスが開発を進めており、その成果の一部は「Galaxy S7 edge」などに採用されている。LGが日本で発売した「G Flex」のように、ある程度まで、力を加えて曲げることができるディスプレイも商用化済み。より柔軟性のあるディスプレイの開発も、進められている。

 レノボのブースにあったのは、開くとタブレット、閉じるとスマホになる端末。かつてNECカシオが「MEDIAS W」という2画面スマホを発売したが、それをよりスマートな形で実現できるようになるかもしれない。また、腕にスマホを巻くようなこともでき、ウェアラブルの概念も広がりそうだ。
 腕に巻きつけられる「Cplus」というコンセプトモデルも出展。
 通信技術として注目したのが、パナソニックに展示されていた「人体通信」。人間の体に電波を通し、握手をするだけでデータを交換したり、モノに触れるとデータを送れたりといったことが可能になる。人体通信自体は新しい技術ではなく、例えば、NTTは2004年に、NTTドコモは2007年のCEATECで同様の技術を展示している。
 人体通信の様子。握った手を経由して通信し、左の女性のスカートが光っている。
 手に持ったボールと同じ色に電球が光る。通信が体を通るため、ボールは反対の手に持ってもいい。
 今、この技術が再び脚光を浴びたのは、スマホが普及しIoTが次の分野として有力視されているから。人がモノとモノの通信の媒介になれるというわけだ。

 パナソニックのブースでは、モデルの持った電球をつけるデモなどを見ることができたが、この技術を応用すればスマホをポケットに仕込んでおき、手でタッチするだけでSuica対応の改札を通過するといったサービスも可能になる。その光景はあたかも“魔法”のようだが、ぜひ製品に組み込み、商用化してほしい技術だ。

 発売が確実な製品としては、シャープが「ホームアシスタント」を披露した。これは、家庭内に置くロボットで、赤外線を搭載しているため、話しかけることでテレビやエアコンをつけることができる。「暑い」と話しかけるとエアコンをつけてくれたりと、対話でコントロールできるのが特徴だ。米国ではAmazonやGoogleなどが、家庭内のハブになる機器を開発しているが、ホームアシスタントは赤外線を介して、既存の製品にも対応できる。現実を踏まえた、スマートホーム製品と言えるだろう。
 シャープのホームアシスタント。ネットにつながり、対話で家電を制御できる。
 ホームアシスタントでテレビをつけた様子。
 赤外線を搭載しているため、エアコンなどもコントロールできる。

 来年発売される製品から、数年後に実現しそうな技術までが一堂に会した今年のCEATEC JAPANは“ちょっと先の未来”を可視化した展示会だった。今はまだ夢や魔法のようにも見えるが、あと数年もすれば日常生活の中で当たり前のように使われているのかもしれない。

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