1. クラウドファンディングで出店ラッシュ:持ち込み自由&100種以上の日本酒飲み放題“KURAND”

クラウドファンディングで出店ラッシュ:持ち込み自由&100種以上の日本酒飲み放題“KURAND”

出典:kurand.jp
 読者の皆さんは、日本酒が時間無制限で飲み放題の店があることを知っているだろうか? その名も“KURAND SAKE MARKET”――同店は10月18日、埼玉県の大宮に5店舗目をオープンする。東京都以外での出店は初めてだ。

 ワイングラスで日本酒を飲むスタイルが登場したり、アメリカの酒蔵で日本酒が醸造されたりするなど、日本酒のグローバル化が進む昨今。世界から注目される日本酒の飲み放題で店舗を増やす“KURAND SAKE MARKET(以下、KURAND)”について、筆者の体験談を交えて紹介したい。

“KURAND SAKE MARKET”とは

出典:www.makuake.com
 日本酒ブームの中で躍進し続けるKURANDだが、その始まりはとてもユニークなものだ。最近、浸透してきた”クラウドファンディング”。KURANDは、サイバーエージェントが運営するMakuakeというクラウドファンディングサイトで店の出資金を募っている。

 1号店である池袋店のクラウドファンディングは、僅か2日で目標金額を達成した。支援者には金額に応じて、Makuakeでしか手に入らない割引招待券や日本酒を贈っている。出店している場所は池袋、浅草、渋谷、新宿。既に日本酒が楽しめる居酒屋がたくさんあるエリアに出店しているのには理由がある。

 まずは、他の日本酒専門店とは客層が違うことだ。KURANDの利用客は、日本酒について詳しくない人、若者、外国人といった客層。KURANDは、業界の有名銘柄・酒米や精米歩合のような、日本酒の専門知識を知らなくても楽しめる空間を目指している。激戦区内で、競合店は多くあるがターゲット層が違うということだ。

 次に、ゆっくり楽しんでもらうためだ。KURANDには常時100種以上の日本酒が置いてある。たくさんある日本酒を、ゆっくり味わい、飲み比べ、お気に入りの日本酒に出会ってほしい、という想いから帰宅しやすいターミナル駅に出店しているのだ。

大きな駅であれば、時間を気にせずゆっくり楽しむことができると考えています。例えば池袋なら埼玉県、渋谷なら神奈川県、浅草なら茨城県の方々ですね。1時間以内に帰宅することができます。

出典:KURANDが大きな駅に出店した理由 | KURAND

“KURAND SAKE MARKET”が注目される理由

 2015年3月に池袋に1号店をオープンしたKURAND。何故1年半で、5店舗も出店することができたのか? KURANDの魅力について迫っていきたい。

時間無制限の日本酒飲み放題だけではない。KURANDの「魅力」

出典:kurand.jp
 ここからは筆者の体験を交えながら、KURANDの魅力を紹介しよう。私が初めてKURANDを訪れたのは、昨年の8月。訪れる決め手になったのが、他店にはない魅力である「おつまみの持ち込み自由」という決まりだ。持ち込み自由……なんて魅力的な響きなんだ、と友人と2人で感激したのが記憶に新しい。

 早めの夕飯を済ませて、電話で当日予約した。KURANDは既にSNSで話題になっていたので、予約が必須だったのだ。池袋店の周辺にはコンビニ、駅にはデパ地下があり、おつまみを買う場所には困らない。安く済ませたい時には、コンビニで鮭とばと茎わかめ。少しリッチなものを食べたい時には、デパートでおでんを買ったり、お寿司を買ったり……おつまみの選択肢の幅広さに心が躍る。
出典:kurand.jp
 KURANDは前払い制で、最初に入場料3,240円を支払う。前払いを済ませた後は、酒器選び。透明なグラス、白い陶器、渋めのお猪口などがある。酒器を選んだ後は、ブラックライトに反応するスタンプを手の甲に押してもらう。KURANDは再入場が可能になっているため、手の甲を見せれば再入場することができるのだ。
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 店内は全てイスのない、立ち飲みスタイル。更に奥に進むと、日本酒の瓶が所狭しと並んでいる冷蔵庫がある。魅力2つ目は、なんといっても日本酒の種類の多さだ。100種類以上の全国各地の日本酒を取り揃えている。しかも、有名な銘柄ではなく小規模な酒蔵の日本酒ばかり。メニュー表には酒蔵の物語なども掲載されており、造り手の気持ちに触れることができるのも楽しみの1つである。

 中には果実酒やヨーグルト酒といった飲みやすいお酒もある。「日本酒を飲んでみたい」という女性がいたら、KURANDは甘いお酒もあるから安心して!という口説き文句で誘ってみてほしい。
出典:kurand.jp
 3つ目は人との交流だ。全席立ち飲みスタイルとなっているので、隣の席の人との距離も近い。筆者が同店を再訪した際に、隣でフランス人留学生の男女2人組が鉄火巻きをつまみに日本酒を嗜んでいた。話しかけてみると、日本に来てから1年程度というのに日本語がペラペラで驚いた。談笑した後、おつまみのトレードをした。筆者が旅行先で買った珍味“青森県産の鮭とば”を渡すと、「これは何!?」と大層驚かれた。鮭とばを英語で説明できず、咄嗟に「ドライサーモン」と答えたときのことを鮮明に覚えている。

 KURANDでは、普段交流できないような人と話せる場でもあるのだ。
出典:kurand.jp
 4つ目の魅力は、イベントである。KURANDでは、1時間に1回「お水で乾杯」する時間がある。時間になると、元気な店員さんが音頭をとって乾杯する。日本酒の種類の多さが故に、ついつい飲みすぎてしまうが、KURANDで飲んだ後は1度も2日酔いになっていない。
 
 また、不定期に行われるのが蔵元の当主の来店イベント。酒蔵から季節限定の日本酒を持ってきてもらえたり、その日本酒の醸造の裏話をしてもらえたり、蔵元と直接話す機会になっている。筆者も、偶然イベントに居合わせたことがあったが、蔵元が持ってきた日本酒をその場にいる人全員で「乾杯」して飲んだりと、“ライブ感”を楽しむことができた。

運営会社:LIQUR INNOVATION(リカーイノベーション)

出典:liquor-innovation.co.jp
 「お酒にもっと新しい価値を」というミッションを掲げているのが、KURANDを運営しているリカーイノベーション。2013年に創業。インターネットを駆使して、新しい時代の酒屋作りをしている会社だ。

 <酔うために飲む>というお酒の価値観ではなく、お酒で「味わい」「楽しさ」「繋がり」「体験」を楽しむ時代、という人とお酒の在り方を目指している。

 リカーイノベーションでは、KURANDの他にも「SHUGAR」「HAVESPI(ハベスピ)」を運営している。SHUGARは、梅酒・果実酒専門店。現在渋谷に出店している。SHUGARでは、KURANDと同様に果実酒が100種類も常備されている。贅沢に果実酒同士を混ぜ合わせることも可能だ。割り物も様々で、特に人気なのは「ミルク」「紅茶」「オレンジジュース」。

 HAVESPIは焼酎の専門店。「焼酎の専門店」と聞くと、少々敬遠してしまいそうになるが、本格的なサワーや焼酎カクテルを味わうことができる。店舗は新宿と浅草の2店舗。割り物は、ホッピー・サワー・烏龍茶など、その他にもトッピングでレモン・ライム・大葉・トマト・かぼすなど多様なラインナップだ。シェイカーが用意されているので、好みの焼酎カクテルを作ることができるのも魅力的。


 以上、時間無制限で日本酒飲み放題で話題の“KURAND SAKE MARKET”について紹介した。「酒は飲んでも飲まれるな」という言葉があるように、「お酒を楽しむ」時代に移り変わってきているのかもしれない。ビールよりもアルコール度数の高い日本酒や果実酒を取り扱うリカーイノベーションは、お酒によって得られる楽しい体験や、人との交流を大切にしている。度数の高い“日本のお酒”をより楽しむためにも、お水で乾杯する時間を設けて、悪酔いしないような仕組みがあるのだ。

 「若者の酒離れが進んでいる」と言われているが、KURANDのようにワイワイと人がお酒を飲み交わす場が増えれば、お酒を飲むことを拒んでいる層が戻ってくるかもしれない。

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