1. ガラパゴス化する日本のロックフェスビジネスに未来はあるか

ガラパゴス化する日本のロックフェスビジネスに未来はあるか

ガラパゴス化する日本のロックフェスビジネスに未来はあるか 1番目の画像
 日本の夏フェスシーンを形成し、リードしてきた「フジロックフェスティバル」が今年20周年を迎えた。野外ロックフェスが日本の夏の風物詩となって久しいが、フジロックが始まった97年から数年間は、コアな音楽ファンしか知らない、参加しないイベントであった。

 それが年々豪華になっていくラインナップ、参加した人の口コミによって、世間一般に周知されるようになり、数々の野外ロックフェスが誕生していく。99年には「RISING SUN ROCK FESTIVAL」、2000年には「サマーソニック」と「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」、2001年には「ARABAKI ROCK FEST.」がスタート。

 その後も毎年いくつものロックフェスが誕生しており、今では夏になると毎週末どこかでフェスが行われている状況となっている。

ロックフェスビジネスの仕組みとは?

ガラパゴス化する日本のロックフェスビジネスに未来はあるか 2番目の画像
by hitthatswitch
 そもそもロックフェスとはどのように運営され、どう収益を上げているのだろうか。フジロックとサマーソニックは海外アーティストを中心に招聘・公演制作を行っているSMASHとCREATIVEMAN PRODUCTIONSが主催している。

 共に海外のレーベルやマネージメントと太いパイプを持ち、今年はフジロックがレッド・ホット・チリ・ペッパーズやベック、サマーソニックがアンダーワールドとレディオヘッドをヘッドライナー(最後に出演するアーティスト)に据えて行われた。このヘッドライナーの顔ぶれ次第によって入場者数が増減するわけだが、ヘッドライナーが決定するのは前年の夏〜秋と言われている。

 つまり、もう来年のフジロックやサマソニのヘッドライナーは決定している、もしくは候補が絞られていると思っていいだろう。では、出演するアーティストはどのように決められるのかというと、多くの場合がフェス前後に新作をリリースするアーティストが選ばれる。新作のプロモーションも行なうことができて、ギャラも受け取ることができるので一石二鳥というわけだ。

洋楽・邦楽、各アーティストたちの出演スタイルの違い

ガラパゴス化する日本のロックフェスビジネスに未来はあるか 3番目の画像
by yuki.koga
 海外アーティストの場合は自国だけでなく、他国のフェスにも出演するので、新作を発表する夏は絶好の稼ぎ時と言える。どのフェスが出演を打診してくれて、どのポジションで出演できるのか、そしていくら払ってくれるのかをアーティストとマネージメントが総合的に判断して出演を決めるというわけだ。

 1年の上半期に新作をリリースしたアーティストはフェスに出演する可能性が高いので、お気に入りのアーティストが新作を発表したならば出演を期待してもいいかもしれない。

  一方、邦楽アーティストの場合はひとつのフェスに出演したら他のフェスには出演しないという縛りもないので、多くのアーティストが複数の夏フェスに参加する。

 しかし、ブレイク前や人気があまりないアーティストはギャラよりも交通費などの出演経費の方がかかってしまい赤字になることもあると聞く。それでも普段接点がなくてもフェスならば観てみようかという観客が多いので、自分たちのファンになってもらう絶好の機会であり、ひとつでも多くのフェスに出演しようとするわけだ。

 そこは実力勝負の世界。自分たちをいかに魅力的に見せることができるか、夏フェスはアーティストたちの力量が問われる場でもある。

観客の“高齢化”が進む日本の2大ロックフェス

ガラパゴス化する日本のロックフェスビジネスに未来はあるか 4番目の画像
by yuki.koga
  年々、活況の夏フェスだが問題点もでてきている。3日間参加するとチケット代や宿泊費、食費など10万円前後の出費になってしまうフジロック、5万円前後のサマーソニックは、その経済的な理由で高年齢化が進みつつある。

 実際、今年のフジロックは30代後半から40代が主な年齢層で子連れもどんどん増えてきている。最新の洋楽アーティストをチェックするよりも、自分たちが20代の頃によく聴いていた作品を今も繰り返し聴くという傾向が強く、従ってラインナップも自然と彼らの好みに合わさざるを得なくなってきている。

 今年のヘッドライナーであったレッチリ、レディオヘッド、ベック、アンダーワールドはまさにその表れであり、海外のフェスでは今はもうベックやアンダーワールドがヘッドライナーになることはない。

 また、洋楽の新人アーティストの出演が少なくなり、逆に邦楽アーティストの出演が増えてきている。海外でもフェスが乱立し、ギャラが高騰する一方で、洋楽のCDが売れなくなった日本のマーケットに魅力がなくなって、ほかの国を優先するということがここ1、2年で目立つようになってきたからだ。

 観客の好みに合わせたノスタルジックな顔ぶれが増えてきたことで、フジロックとサマーソニックはガラパゴス化してきていると言っていい。日本の洋楽離れに歯止めがかからない傾向が続くようならば、どんどんそのガラパゴス化が強まっていくことだろう。

 「フジロックとサマソニ?おじさん、おばさんが行くフェスでしょ?」ということになりかねない。日本のフェス文化を形成してきた2大フェスだけに、来年のラインナップに大いに期待したいところである。

U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する