1. 最悪の経営状況から復活後、事業拡大の一手:新たな挑戦「ANAのおいしいコレクション」とは?

最悪の経営状況から復活後、事業拡大の一手:新たな挑戦「ANAのおいしいコレクション」とは?

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出典:www.japantimes.co.jp
 ANAグループにて、機内食の企画などを担う株式会社ANAケータリングサービスは先日、2016年10月より、外販の新事業ブランドである「ANAのおいしいコレクション」を立ち上げることを発表し注目が集まった。

 航空運送の他にも生鮮食品、加工食品業まで事業拡大するなど好調なANAのように思えるが、ここに至るまでには、様々な困難を乗り越えてきた。ANAの大赤字からリーマンショックを乗り越え、営業黒字へ回復した道のりと、注目すべき新事業を見ていきたいと思う。

経営状況が改善するまでのANA

 2008年、米国のリーマンブラザーズが破綻し、世界中を巻き込んだ金融危機の影響は、日本経済にも大きな影響を及ぼし、ANAなどの航空事業会社も打撃を受けた。

 2009年、国内外の航空自由化や世界的な金融危機、燃料費の高騰などで経営状況を悪化させたANAの売り上げはピーク時に比べ、営業利益は2,500億円減、営業損益は542億円の赤字となり、経常損益は863億円にものぼる事態に陥った。この数字はANA史上最悪の数字であった。

 翌年2010年には同じく経営状況が悪化したJALは自力での経営状況立て直しが困難と判断し、東京地裁に会社更生法の適用を申請するという異例の出来事が起こり、社会に激震が走った年でもあった。

 同じ航空業界のJALが国から支援を受ける一方で、ANAは自力での経営状況立て直しに全力を尽くし、2010年には見事678億円の営業黒字に返り咲くという復活劇を遂げたのだ。

リーマンショックを乗り越えたANAの復活劇

 リーマンショックから半年後の2009年4月、「100年に1度」の経済混乱と言われた状況でANAの社長に就任したのが、現ANAグループ代表取締役会長の伊東信一郎氏であった。伊東氏は当時の経営状況は「最後の社長になるのではないか」。と頭をよぎったと語っている。

 そんな伊東氏は、立て直しのためにはコストを最大限絞らなくてはならないと考えた。そのためには、全従業員に会社の危機的状況を把握してもらうことが必要と判断し、伊東氏は、経営情報を詳細に開示し、「ダイレクトトーク」と称し、全役員がグループ内のあらゆる現場を訪ね、危機感を共有し、危機を乗り越えるための策の議論を重ねたという。

 他にも従業員の賃金カットやボーナスカット、業務の抜本的な見直しや組織のスリム化を行ったうえ、所定内労働時間を週37時間から40時間に延長する策をとった。

 その結果、伊東氏が就任してからわずか短期間で翌年の2010年度決算にて678億円の営業黒字に持ち直すという回復を遂げた。

 また、どん底から復活したANAの2015年度決算における収入は1.8兆円で、約1300億円の営業利益(利益率8%)という上々の数字を保っている。

新たな挑戦:「ANAのおいしいコレクション」

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ANAをより一層盛り上げる戦略

 世界のリーディングエアライングループを目指すANAグループは、新たな経営ビジョンとして、2016年~2020年の中期経営戦略を発表。

 エアライン事業領域の拡大でのホワイトスポットへの進出や、積極的な路線展開を掲げている。また、機内食を多様な宗教に対応できるようにするとも言及した。中でも、冒頭でも触れた、外販事業の拡大で行われる「ANAのおいしいコレクション」は斬新で、注目すべき事業である。

ANAのおいしいコレクション

 新規事業である「ANAのおいしいコレクション」は、機内食を手がけるシェフが作るオリジナル商品の販売を行う。第1弾では、Webサイト「ANAショッピング A-style」で、10月上旬に伝統的なおせち料理をベースに、機内食で提供している料理を使った「謹製おせち三段重」(2万3,500円)を発売。

 10月下旬には、こだわりの食材を使った3種のスープ詰め合わせ「おいしいスープセット」(9個入り5,000円/20個入り1万円)を販売する予定だ。

 今後も、オリジナルの商品を毎年4品目程度を展開すると発表した。また、カタログギフトによる通信販売やANAの空港売店など、販売個所も順次拡大していく方針だ。

事業拡大するANAの狙い

 2013年、ANAは日本のエアラインとして初めて英国のSKYTRAX社から「エアライン・スター・ランキング」で現在世界最高位の「5スター」に認定された。その後もグローバルレベルで顧客ニーズを踏まえた改善に取り組み、2014年も2年連続で「5スター」を受賞し、7月には「ワールド・エアライン・アワード」において「World’s Best Airport Services」と「Best Transpacific Airline」の2部門を受賞するなど、確実にANAブランドを確立している。

 「ANAのおいしいコレクション」などの新規事業展開で、これまで以上に顧客満足を獲得し、ANAブランドの確立と向上を目指しているのがうかがえる。

航空業界を牽引するANAに期待

 顧客獲得の激戦区である航空業界は、近年LCCの参入など低価格を売りにする傾向が目立つ中、ANAは決して手軽に利用できるラインでは無かったとしても、自社ブランドを確立し、確固たる人気を誇っている。

 今回、「ANAのおいしいコレクション」という形で、空港や飛行機の中だけでなくても楽しめるサービスを開始したが、このANAブランドを活用し、今後さらに事業を拡大する場合、もっと身近なコンビニやカフェなどとコラボレーションした商品を展開すれば、既存のファンはもちろん、新たなファン・顧客獲得に繋がると考えられる。新たな挑戦に踏み出したANAの新事業とこれからの展望に期待したい。

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