1. 大学生の2人に1人は借りている奨学金:“借金まみれ”でスタートする新社会人たち

大学生の2人に1人は借りている奨学金:“借金まみれ”でスタートする新社会人たち

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 「奨学金を返済できない」と嘆く若者の声が絶えない昨今。なんと、有名大学を出たものの、奨学金を返すことを目的として水商売などで働く女性が増加しているという。一方で「借りたものは返すべきだ」「自己管理能力が乏しい」などと厳しい声も耳にするのも事実。今回は、返済の途中だという読者にも読んでいただきたい奨学金制度に迫る。

今や大学生の二人に一人が借りていると言われる奨学金

私立大学4年間の学費 文部科学省(平成26年)

  • 理系平均:495万5,188円
  • 文系平均:361万6,964円

国公立大学4年間の学費 文部科学省(平成27年)

  • 国立大学平均:214万3,200円
  • 公立大学平均:215万1,428円
 返済義務のある奨学金には、利子のない「第一種奨学金」と利子がかかる「第二種奨学金」がある。
 
 日本学生支援機構によれば、第一種奨学金で(国公立・自宅通学の場合)月額45,000円まで、(国公立・自宅外通学の場合)月額51,000円まで、(私立・自宅通学の場合)月額54,000円まで、(私立・自宅外通学の場合)月額64,000円まで借りることができる。

 第二種奨学金は、最大月額120,000円まで借りることができる。私立大学の医学部・歯学部の場合はさらに40,000円の増額が可能。私立大学の薬学部・獣医学部の場合は20,000円の増額が了承されている。第二種奨学金の利率は貸与終了時に決定され、利率は3%を超えないよう政令で定められているのだ。
 
 貸与基準として、第一種奨学金では、特に優れた学生または経済的理由で就学が困難な者とされている。第二種奨学金も概ね同じだが、基準は緩くなる。

大きな社会問題となっている「奨学金の返済」

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なぜ、奨学金を借りてまで進学するのか?

 貸与型の奨学金を貰っている大学生に多いのが、奨学金というものが「お金を借りている」という意識が低いことにある。卒業後にまさか自分が返済できなくなる、とは考えている学生は少ないからだ。

 もともと学費を払えないために借りる奨学金。多くの若者は、一流大学を卒業すれば安定した職業に就き、一定の給料が入ってくると考えている。奨学金を借りることに、ほとんど抵抗なく申請しているのが実態だろう。

増え続ける「奨学金返済訴訟」

 もちろん貸与型の奨学金は、卒業後に返済しなくてはならない。しかし月々の返済が滞る若者が少なくないのが現実だ。日本学生支援機構では、延滞者に対して、回収を強化している。まず延滞者に対し、文書及び電話で督促を行う。その後、入金や返還期限猶予の手続がなかった場合、裁判所に支払督促を申し立てをする。それでもなお返済に応じなかった場合、奨学金返済訴訟が起こる。
 
 2000年代はじめは、年間50件ほどだった訴訟は、ピーク時の2012年には6,193件にまで上った。しかし2014年からは返還猶予が5年から10年に延び、延滞金利も10%から5%に引き下げられるなどして5,000件ほどまで訴訟件数は減ったが、依然訴訟件数は多い。

 奨学金の返済は滞ってしまうと年5%の賦課が付き、繰り上げて一括請求され、延滞金が課されればその負担は大きい。ひとたび返済ができなくなれば、後の返済がより難しくなる。

自己破産しても奨学金返済の連鎖は続く

 2016年現在、奨学金によって自己破産した件数は10,000件にも上る。奨学金破産する若者が増えた要因として、日本学生支援機構の回収の強化が大きい。回収を強化させる背景には、日本学生機構の資金源が民間金融機関であることが大きい。高止まりしている大学の学費によって、奨学金を借りる若者は増加傾向にある。日本学生機構が回収を緩め、金融機関に返済できなければ今後の資金調達が難しくなり、将来借りたいと考える若者に影響が出てしまうのだ。

 奨学金によって自己破産する場合ネックになるのは、家族や親戚が連帯保証人になっているケースが多いことだろう。債務者が自己破産した場合、支払い義務を免れたとしても保証人に支払いの義務が発生し、残額の請求がいくこととなる。保証人も支払えない場合は、債務者と一緒に自己破産になることが圧倒的に多い。

 一度自己破産すれば、5年〜10年はブラックリストとして登録される。当然、借入ができなくなるだけでなく、クレジットカードが作れなくなったり、ローンが組めなくなる。その為自分の子供や親戚などの奨学金の保証人にもなることができず、今後奨学金が借りられない。自己破産をしても負の連鎖は続くのだ。

奨学金問題を解決するには?

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 奨学金制度が出来た時と比べ、現代の社会情勢は大きく変わった。大学への進学率が高まり、雇用形態の変化もある。リーマンショックを鑑みても、大学を出たとして安定した仕事に就けるかは分からない。

 一昔前であれば、定年まで勤めている会社で安泰であったり、年次が上がるごとに給与が増えていった。しかし現在は多くの会社で吸収合併や、倒産、リストラなど、定年まで安泰という会社はほとんどないといっても過言ではない。

 奨学金問題を解決するには、給付型の奨学金を増やしたり、学費の引き下げなど、社会全体で見直していく必要がある。ドイツを始めとする、ヨーロッパでは、学費が無料の国がいくつもあり、学費は無料か安価で、奨学金も給付型が主流。ノルウェーなどでは、海外からの留学生も無料で教育を受けることができる。

 国連の国際人権規約のなかに、高校、大学の教育の学費を段階的に無償化するという文言があるが、条約加盟国がおよそ160カ国ある中で、留保している国が日本とマダガスカルだ。いかに日本が奨学金制度において、世界に遅れをとっているかが分かる。


 日本にとって奨学金問題は、現代の社会情勢に沿った見直しを行うことが必要な非常に大きな問題だ。学費の高騰に比べ、各家庭の収入は減少している。この相反する2つの要因が多くの学生たちを苦しめている。奨学金は何のために、誰のためにあるのか。国による改革はもちろん、もう一度社会全体で見直す必要があるだろう。

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