1. プロ経営者が就任するも僅か3カ月で退任:業績立て直しに苦戦するベネッセの今後

プロ経営者が就任するも僅か3カ月で退任:業績立て直しに苦戦するベネッセの今後

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出典:study.com
  2014年顧客個人情報流出の不祥事から2年が経ち、ベネッセは先日、また新たな社長が就任することを発表した。

 今回は、近年不振に喘ぐベネッセが、ここ2年間でプロ経営者3人の就任・退任を繰り返してきた改革と、今後のベネッセの展望について言及していきたい。

2011年より営業利益80%減:ベネッセの苦しい経営状況

 ベネッセが発表した2017年3月期の営業見通しによると、売上高は、介護・保育事業の伸長、中国の通信教育事業の業績拡大等による増収がある一方で、主力の国内通信教育講座の2016年4月の会員数が243万人と前年同月比28万人減少したことなどを受け、4,388億円と前期比1.2%の減収が予想された。

 また、営業利益は75億円と前期比31.0%の減益、経常利益は45億円と前期比48.5%の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は0億円を予想していると発表。

 近年で営業利益が高かった2011年決算の428億円と比べると、2017年決算に見込まれる営業利益は45億円と80%以上減となることが予想されている。

プロの経営者による懸命な改革

2014年6月21日~2016年6月25日:原田泳幸

 国内通信教育講座の顧客離れにより、伸び悩んでいる株式会社ベネッセホールディングスが業績立て直しを図るために2014年6月より会長兼社長に就任したのが原田泳幸氏だった。原田氏は以前よりベネッセの社外取締役として在任していた。

 原田氏はアップルコンピュータ―(現アップルジャパン)や日本マクドナルドにて社長を務めるなどの経験豊富な人材。ベネッセはそんな外部の人間による改革に期待していたのがうかがえる。

 また、ベネッセは2012年以降テキストのデジタル化を進めたが、翌年から会員数が年間20万人のペースで減り始めることになる。業績改善と教材のデジタル化成功のため原田氏が社長に就任したが、その直後に顧客情報漏洩事件が起こり、顧客離れにさらに拍車をかけることになる。そして、原田氏が企てたベネッセの業績立て直しも結果を残すことが出来ず、就任からわずか2年で社長の座を退任することになった。

原田氏が行った主な改革

  • 紙テキストとデジタルのハイブリッドスタイルの確立
  • デジタル教材に連動させたアプリを導入
  • 対面式の学習サポートを導入
  • DMを使ったマーケティングの脱却

2016年6月25日~2016年10月1日:福原賢一

 原田氏の次に社長の座に就任した福原賢一氏は野村證券株式会社・野村ホールディングス株式会社の執行役を務めるなどの経歴を持つ人物。

 福原氏は前社長である原田氏の脱DMの戦略を失敗とみなし、重要なのは「原点回帰」である、と判断して、原田氏の改革前のスタイルであるDMでの顧客獲得に莫大な予算を費やした。しかしながら、業績は回復することなく、僅か3カ月という就任期間で退任することが決まった。

2016年10月1日~:安達保

  福原氏の後任には、ベネッセの社外取締役で米国系投資ファンド、カーライル・ジャパン会長の安達保氏が就くことが発表された。次期社長の安達氏は事業再生の経験が豊富で、教育事業を中心に経営の立て直しを急ぐとされている。

 また、ベネッセは経営体制の強化が急務と判断したため安達氏を就任させることを決断したとし、福原氏の短期間での退任理由を説明した。今後は顧客視点・現場中心の組織に戻すとも表明している。

ベネッセが秘めた今後の可能性

 原田氏の就任から安達氏の就任まで短期間で3人の経営者を起用してきたベネッセには、様々な賛否の声が挙がっているのは事実だ。

 原田氏が行った改革が2年で成果が出ないからと言って、改革前の戦略に戻すのが正解なのか。また、僅か3カ月という就任期間で他の経営者に変わることは決断が早かったのではないだろうかなどの疑問点もある。

他社とは違うベネッセのロイヤリティ

 ベネッセの強みとして、創業から蓄積してきた教育の知見や、学校や研究者とのネットワークがある。さらに同社が手掛けている語学・グローバル人材教育育成事業は日本国内だけでなく、海外での事業拡大も期待できる。

 また、グローバル化が進み日本の教育のあり方が見直されている現在、ベネッセの有する膨大な顧客情報による追跡調査の実施や、それに基づいた教育方針の改革などは大きな可能性を持っていると言えるだろう。
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 少子化が進む一方で、デジタル教材を使った通信教育が増えている。最近では、インターネットを使って無料で授業を受けることができる機関すら台頭してきた。そのような中で、どのようにしてベネッセならではの強みを活かせるのか。そして他社との差別化を図り、業績を改善していくのか。次期社長の打ち出す戦略に注目したい。

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