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便利な暮らしの基盤? 私たちの知らない“外国人ブラック労働”の実態

Mayuko Ono

2016/09/12(最終更新日:2016/09/12)


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便利な暮らしの基盤? 私たちの知らない“外国人ブラック労働”の実態 1番目の画像
出典:www.airsystems-inc.com
 最近、町中で外国人が働いているのをよく目にする。朝早くバイクにまたがり新聞配達する外国人の若者や、工場の作業着を身にまとった人々。われわれにとってごく普通に見える毎日のこの光景。だが、その裏に隠れた外国人労働者の雇用の状況・実態は驚くべきものだった。

過去最高数値:外国人雇用

 平成27年10月に厚生労働省が発表した“「外国人雇用状況」の届け出状況まとめ”のデータによると、外国人労働者数が91万人を突破し、過去最高数値を記録した。

 では、彼らはどの国々から来日したのだろうか。

国籍別割合

 外国人雇用の人数を国籍別で見てみると、

外国人労働者国籍ランキングと全体の割合

  • 1位 中国 約32万人:35.5%
  • 2位 ベトナム 約11万人:12.1%
  • 3位 フィリピン 約10万人:11.7%
  • 4位 ブラジル 約9万人:10.6%
 また、ベトナム人雇用人数の対前年の伸び率は79.9%となっており、外国人雇用が増加したことがよく分かる。

外国人の来日目的

 経済のグローバル化や労働市場の開放などを背景に、日本で働く外国人労働者は増加する一方である。その目的・理由は様々で、厚生労働省の発表によると、下記の通りだ。

・就労目的で在留が認められている者:約16.7万人(大学教授や企業内転勤など)
・身分に基づき在留する者:36.7万人(定住者、永住者、日本人の配偶者など)
・技能実習生:16.8万人(開発途上国への技能移転を通じた国際協力する者など)
・特定活動:1.3万人(ワーキングホリデーなど)
・資格外活動:19.2万人(留学生のアルバイトなど)

 中には、留学生や研修生のビザをとり、日本に出稼ぎに来る外国人も多いという。

景気の低迷と外国人雇用の実態

 景気の低迷により、賃金の安い外国人労働者は多くの企業から重宝されている。だが一方で、不当な扱いを強いられる外国人も多い。さらには、必要なくなれば切り捨てればいいと考える企業すら存在するのだ。

 そもそも、外国人の労働者は雇用対策法第8条で雇用の管理や援助が保護されている。しかしながら、実際には、間接雇用など不安定な雇用形態・低い労働条件下での就労などの問題が挙げられているのが現実だ。また、外国人労働者の階層の固定化の進行や、日本人との格差が広がることが懸念されている。

実際に問題視されている労働状況

 外国人労働者が働く環境で問題視されている具体例を挙げてみたいと思う。

力仕事の働き手を確保:工場・老人ホーム

 少子高齢化によって、日本の労働人口は減っており、建設現場や工場、老人ホームなど、体力が必要で低賃金な仕事は人手が足りていない。そこで、外国人の出稼ぎの労働者が多く雇われているという。

 しかし、その労働環境は、15時間以上休憩なしで仕事を強いられたり、休日は月に1日のみだったりする。また、夜間外出も外泊も禁止されるというような状況下に置かれているとも報告されている。更に、“研修制度”と称して、適正な賃金が支払われないことすらあるのだ。

留学生の雇用状態:新聞配達

 現在、新聞配達は人手不足に見舞われており、外国人の労働者の雇用が盛んである。しかし、新聞配達は外国人技能実習制度の対象外のため留学生が新聞奨学金制度を利用して配達をこなしている。

 留学生のアルバイトは法律で週28時間と決まっている。しかし実際は、それ以上の仕事を強いられているという。ここで注目したいのが、週28時間という法律で定められた労働時間の制限は、それ以上働いても残業代が出ないことを意味している、ということだ。この法律を逆手に取って、残業代を支払わず留学生に重労働を課しているのである。
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出典:www.linkedin.com


 労働市場のグローバル化と、労働人口減少による労働力の確保のために、外国人労働者の受け入れ体制をより強化しつつある日本。今後ますます“留学生”、“実習生”と称した外国人労働者の増加が見込まれるだろう。だが、そんな外国人労働者の弱い立場や法律を逆手にとって、卑劣な環境に彼/彼女らをおくことは、見逃すことが出来ない事実であり、早急な改善が求められる。

 普段気にすることが少ない外国人労働者の労働環境。われわれが便利な生活を送るために、われわれが知らない所で外国人労働者は低賃金で重労働をさせられているのだ。勤め先(=日本企業)の法律すれすれの巧妙な手口により搾取されている外国人の存在は、日本人として知っておくべきだろう。

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