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利権塗れの“最後のフロンティア”ーーアフリカ:各国の思惑が交錯するアフリカ会議

菊池喬之介

2016/09/07(最終更新日:2016/09/07)


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by Gary Simmons
 広大な土地、豊富な資源、急増し続ける人口を抱える、地球最後のフロンティア「アフリカ」。先日開催されたアフリカ開発会議では中国が進めるアフリカ開発に対する日本の焦りが垣間見えた。そのような中で日本企業はどのような姿勢でアフリカ進出すべきなのだろうか。本記事ではアフリカ開発への国の思惑とそれを受けて取るべき企業の戦略を分析する。

21世紀最大の巨大市場「アフリカ」の開発事情

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by GovernmentZA
 2016年8月、ケニア、ナイロビで初めてのアフリカ現地でアフリカ開発会議(TICAD)が開催された。第6回目となる本会合では資源に依存する経済体制の脱却やエボラ出血熱をはじめとする感染症対策、テロにより不安定化している社会の安定化が主要な議題となった。

そもそもアフリカ開発会議とは

 アフリカ開発会議(TICAD)とは、日本が主催するアフリカ開発をテーマとする国際会議だ。第1回アフリカ開発会議は1993年に開催された。それから5年おきで開催されていたが、第6回以降は3年周期の開催となっている。国だけでなく民間企業やNGOも参加し、本会議でも約70の日本企業、団体が同行した。

 企業としてはアフリカ開発会議は海外進出への重要な契機だ。感染症対策など社会貢献としてのイメージが強いが、最も重要なのはアフリカの発展がもたらす日本への好影響だろう。アジアも経済成長が著しいが、将来性を考えるとまだ手がつけられていないアフリカは魅力的な巨大市場なのだ。

第6回アフリカ開発会議で見えた中国への焦り

 第6回にきて日本に見え始めたのは、アフリカに急激に進出を進める中国に対する焦りだ。中国は自国が主催する「中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)」を2000年の初開催以降、3年おきに開催している。昨年の第6回会合では約6兆円のアフリカへの支援を約束しており、第6回アフリカ開発会議で安倍首相が表明した約3兆円の支援の倍額だ。実際に現地の事業でもインフラなどで日本は中国に遅れをとっている。

 両国の姿勢から見えるのはアフリカでの利益を取られたくない、という思惑だ。あくまでも両国が行う支援は「投資」なのであって、社会貢献だけではなくビジネスとしての側面が強い。ただ、こうした性格を持つ支援はアフリカにとってプラスの面が大きい。アフリカは魅力的な「投資先」であり、投資してくれる相手が多いことで自らの価値も上がっているからだ。

 投資する側の日本が大事にしたいことは自らの私利私欲に訴える経済政策をしないことだ。日本に求められているのは、アフリカの経済を中長期の期間で底上げさせる「持続性」のある関係。日本企業がアフリカに進出する上で、大事にしてほしいワードだ。

5年で売上高50倍! ビィフォアードのアフリカ戦略

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出典:www.afroautos.com
 アフリカに進出する日本企業として今回紹介したいのが、「ビィ・フォアード」という中古車、中古部品をECサイトで販売する会社だ。日本での知名度は高くないが、アフリカではトヨタやホンダなどの大企業よりも名前が知られている人気企業だ。

凄まじい成長を続けるビィ・フォアード

 ビィ・フォアードの事業の中心は中古車の海外輸出だ。世界124か国、中でもアフリカは41か国で売り上げの7割を占める。驚くべきはその成長速度だ。2004年に設立されたビィ・フォアードは2009年時点での輸出台数は2,400台だったが、2014年には146,925台まで増やした。今年は中国の経済減速や資源安などで売り上げ増加は見込めないが、今後さらに成長が期待できる。

 そんなビィ・フォアードはアフリカで最も有名な日本企業の一つだ。公式販売サイトの月間ページビューは6,000万PVを超え、ザンビアでは6番目に見られているサイトになるなど圧倒的知名度を持っている。今や、アフリカではアマゾンなどの大手ECサイトと同様に、誰もが知っているブランドになったのだ。

成功を可能にした「おもてなし」の精神

 ビィ・フォアードはどのようにしてアフリカでブランド力を高めることができたのだろうか。その秘訣は「おもてなし」の精神にある。「ジャパニーズ・クオリティ」という言葉を大事にする山川博功社長はこう語る。

「アフリカでビジネスをしている日本人の中には、相手を軽く見ているのか、お金を受け取っておきながら、商品を送らないケースもある。だが、それでは商売にとって最も大事な信頼関係を築くことができない。だから、やるべきことは極めて簡単で、とにかく丁寧に対応すること。相手を無下にせず、真面目に商売に取り組むこと。そして、アフリカビジネスに精通した現地のパートナーを持つことだ」

出典:年商500億円!今アフリカで超人気の日本企業 - 東洋経済オンライン

 ビィ・フォアードがアフリカに参入した当初、現地の中古車業界では「質の悪い車をわざと送る」「注文を受けた車と違う車を発送する」などといった行為が平気で行われていた。そこで、山川氏が注目したのは日本のサービスのクオリティの高さだ。おもてなしの精神を持って相手と接することで、顧客との信頼を築くことができたのである。

現地でのビジネスパートナーを大事に

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出典:blog.beforward.jp
 ビィ・フォアードの主事業はECサイトでの運営だが、現地でのサービスにも力を入れている。中古車輸出業界では、自国の港から先方の港に車を運んで仕事が終わり、という会社が多くを占める。この場合、内陸に住んでいる顧客だと海沿いの国までわざわざ出かけて車を取りに行く必要が出てくる。そこで、ビィ・フォアードは現地での陸路を整理し、顧客の手間をできるだけ省くサービスを構築した。

 こういったサービスが実現できるのは現地のビジネスパートナーありきだ。ビィ・フォアードは現地の業者を提携を組み、3,600人ものスタッフがアフリカ全土で働いている。また、東京本社でも26か国、19言語の従業員が働いており、現地とのつながりを重視している。


 ビィ・フォアードはアフリカの顧客、ビジネスパートナーとの関係を重視することで、成功を収めることができた。海外でビジネスをするにあたって重要なのは自らの利益だけを追求することではなく、当然のことではあるが、相手をビジネスパートナーとして、持続性のある信頼関係を作り上げることだ。

 日本にはロボットやエネルギー、医療など世界的に優れた技術を持つ分野がいくつもある。これからアフリカに進出する日本企業はビィ・フォアードのように「おもてなし」の精神を忘れずに臨む姿勢が成功の鍵になるのではないだろうか。

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