1. ただの募金とは一線を画す“フェアトレード”:「買い物」がつなぐ、海を越えた社会貢献

ただの募金とは一線を画す“フェアトレード”:「買い物」がつなぐ、海を越えた社会貢献

by lilivanili
 最近、頻繁に耳にするようになった“フェアトレード”。コーヒー、チョコレート、バナナ、バラ、ワイン……といった、フェアトレードと名のつく商品たち。あなたは一体いくつのフェアトレード商品を買ったことがあるだろうか。「気づかないうちに買っていた」という方も多いだろう。

 では、あなたが普段、何気なく飲んでいるコーヒーの原価はいくらだろうか? 途上国のコーヒー農園は、世界中でこれだけコーヒーが飲まれているのに対し、貧しい暮らしから抜け出せずにいる。

 あなたがいつものコーヒーの代わりに、フェアトレードコーヒーを選ぶことで、途上国はどれだけ恩恵を受けられるのだろうか?

 今回は、途上国の貧困の実態を知っていただき、その上であなたができる、真の“フェア”トレードを紹介したい。

あなたが飲むコーヒーは一杯いくら?

by Feed My Starving Children (FMSC)
 あなたは毎日、コーヒーをいくらで買って、飲んでいるだろうか。フェアトレードも多くなってきたコーヒーを例に挙げて途上国の実情をご紹介する。

美味しいコーヒーの真実

  途上国のあるコーヒー農家に、「日本では一杯いくらかご存知ですか?」と尋ねたところ、「だいたい30円〜40円ぐらいかな」と返答された。日本では安くても100円はするコーヒー。にも関わらず、なぜ、コーヒー専売農場の生産者、及び労働者たちは貧しい生活を強いられるのか。

 先進国のカフェでコーヒーを買うとしよう。このカフェではトールサイズのコーヒーを、一杯300円で提供しているとする。実は、このコーヒーを買った時、300円のうち、コーヒー農家に入る利益は3〜9円と、雀の涙ほどしかない。

 そしてさらに言えることは、コーヒー農家は、コーヒー作りに費やした人件費と生産コストを売上のうちの3〜9円で賄わなければいけないのだ。人件費と生産コストを差し引いた額がオーナーの収益となる。利益率はおよそ1〜3%。これが途上国でのコーヒー農家の現状だ。

中間層の利益搾取

 そしてもう一つ知っていただきたいことは、コーヒー流通の業者、生豆を買う企業側に儲けが渡っているという事実だ。コーヒーが商品として提供されるまでの構造は、農家→売り手→買い手、というのが一般的な順序となる。この中の、売り手に圧倒的な利益が配分されている。

 インスタントコーヒーは、全世界で毎秒3900杯が飲まれており、信じがたい利益を生んでいる。先進国の人々からすればコーヒー農家は、黄金の豆を生産しているように見えるかもしれないが、実は途上国では深刻な貧困に直面しているのだ。

フェアトレードは途上国を貧困から救えるか

by ibarra_svd
 1日を1米ドル未満で暮らす人たちは世界の20%(12億人)と言われている。1米ドルというのは、極度の貧困ラインを表す数値で、世界人口の5人に1人の割合となる。そして途上国に住む人々の多くが、先進国の商品を作るために働いている。その内容は農業、洋服やアクセサリーを作る手仕事、ジュエリーなどの原料の調達など様々だ。
 
 また、途上国では、労働者の生活を守る仕組みが整っていない地域がほとんどで、多くの人々はその日暮らしに近い生活をしている。それゆえ、一度仕事を失うと、生活していくことができない。そのため低い賃金で、過酷な労働をせざるを得ないのだ。

 そんな中、途上国で働く労働者の生活を守ろうと出来上がった仕組みがフェアトレードだった。

フェアトレードの仕組み

 フェアトレードは、ボランティア活動や、一時的な寄付金とは大きく異なる。それは、普段の生活用品を、先進国がフェアトレード商品の中から選ぶことで、途上国の人たちの生活を支えることにつながるというものだ。

 それは消費者側も普段の生活で気軽に社会貢献ができるという仕組みだ。主に、途上国から先進国の輸入において採用される形態で、最終的には生産者、労働者の権利や知識、技術の向上による自立を目指すことがフェアトレードの目標だ。

フェアトレードのメリット

 先進国での労働者が法律で守られているように、途上国の労働者も守られる権利があるはずだ。フェアトレードでは、途上国での労働者の生活を保障し、さらに向上させることができる。

 また、コーヒー農園のような弱い立場の生産者を守ることで、環境の配慮にもつながるというメリットもある。例えば、オーガニックの栽培方法をフェアトレードで推奨することで、生産での農薬を使用しないため、それが環境破壊を止めるとともに、生産者側の健康も守ることになるのだ。

フェアトレードのデメリット

 実は、プロモーションだけでフェアトレードでない現状も存在する。よくある事例は、フェアトレードビジネスをうたっている、先進国の大企業の商品の原料が、実際はフェアトレードをしていないというものだ。他にも、現地の生産者の賃金に行くまでにお金が吸い取られ、実際は生産者に十分な賃金がわたっていない場合も多くある。

 フェアトレード市場は急速に拡大しており、今後フェアトレードが、貧困を救う手立てとして確立されるのは間違いない。しかし、まだいくつかの問題点をはらんでいるのも事実なのだ。

真のフェアトレードを目指してーー 私たちにできるフェアトレード

by Roberto Verzo
 私たちの日常の中で、フェアトレードの商品を少しでも選ぶだけで、多くの人に貢献することができる。一人一人が意識することで市場が広がり、よりいい商品がフェアトレードとして出てきて、フェアトレードのシステムも向上する。投資や寄付より簡単に、誰もが実践できる社会貢献だ。

 日本でも最近では、多くの企業がフェアトレード商品を積極的に採用している。中でも、国際フェアトレード認証チョコレートが、森永製菓から発売されたことは、日本のナショナルブランドでは初の試みとなり話題となった。森永製菓は積極的にフェアトレード商品を取り入れており、DARS「ビター」にも5,9%のフェアトレードカカオが使われている。

 また、大企業だけに関わらず、中小企業も積極的にフェアトレードの仕組みを採用している。AFRIKA ROSEでは、アフリカのケニアのバラを直輸入することで新たなビジネスの形を、生み出した。フェアトレード商品を購入するとき、商品の質に心配になりがちだがそうではない。施し、施されるという関係では、フェアと呼べない。ケニアでしか作ることのできない、力強いバラを販売することで、本当に対等な、“フェア”なトレードを作り出そうとしている。 


 私たちがフェアトレード商品を購入した時、その気持ちはどれだけ途上国の人々に届くのだろうか。一杯のコーヒーを、一欠片のチョコレートを、フェアトレードを選ぶだけで、実直な社会貢献となるのだ。何かを買うという幸せを得る行動が、ほかの誰かの幸せの上にある、そんなフェアトレード商品がさらに広がっていくことを期待したい。

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