1. 高すぎる? 安すぎる? プライスレスな感動への対価:オリンピックメダリストたちへの報奨金

高すぎる? 安すぎる? プライスレスな感動への対価:オリンピックメダリストたちへの報奨金

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by US Embassy Canada
 閉会式で安倍首相がマリオに扮したことで話題となり幕を閉じたリオデジャネイロオリンピック。今年の日本勢は金12個、銀8個、銅21個の合わせて41個のメダルを獲得し、過去最多となるなど、東京五輪が楽しみになる結果となった。

 読者のみなさまは、オリンピックのメダルを獲得することによってもらえる“報奨金”についてご存じだろうか。今回は選手のモチベーションを保つ助力となっている“報奨金”について紹介したい。

オリンピックの報奨金とは

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by ryanmilani
 オリンピックといえばメダル。金・銀・銅のメダルそれぞれに、日本では報奨金が贈られる。実は、オリンピックの報奨金は日本では歴史が浅いということをご存知だろうか。日本で報奨金が贈られるようになったのは、1992年のアルベールビル冬季五輪からだ。

 何故、1992年まで報奨金はなかったのか――かつてのオリンピックはアマチュア選手が主体で、お金を得るのはいかがのものか?という世論があったからである。

 かつて、五輪憲章には「アマチュアリズム」という文字が存在していた。アマチュアリズムの意味は、以下の通りだ。

アマチュアリズム(amateurism)

スポーツなどを、営利を目的とせず、趣味として純粋に愛好しようとする考え方。アマチュア精神。

出典:アマチュアリズム(アマチュアリズム)とは - コトバンク

 1974年、五輪憲章から「アマチュアリズム」の文字が消え、1988年のソウルオリンピックからはプロ選手が参加するようになった。このような歴史の流れによって、日本もプロ選手に報奨金を支給する世相へと変化していったのだ。

 報奨金は、選手のモチベーションを保つ一方で、“金メダルの価値を高める”という役割を果たしている。

メダルの報奨金は“JOC”からだけではない

 メダルの報奨金はJOC(日本オリンピック委員会)から支払われるが、実はオリンピックでは競技団体や所属団体からも賞金をもらえるのだ。

 リオデジャネイロオリンピックでは、連日のメダルラッシュで日本を沸かせた競泳。競泳は“日本水泳連盟”から賞金が支給される。金メダル:200万円、銀メダル:100万円、銅メダル:50万円(※リレー競技は、1チーム4人なので4分割)。

 さらに日本代表スポンサーのGMOクリック証券株式会社からは、金メダル:3000万円、銀メダル:300万円、銅メダル:100万円が支給される。

 男子400m個人メドレーで金メダル、男子200m個人メドレーで銀メダル、男子4×200mフリーリレーで銅メダルを獲得した萩野公介選手を例に、報奨金の概算をした結果が以下だ。

萩野公介選手の報奨金額(概算)

  • 金メダル1個……JOC:500万円、水泳連盟:200万円、日本代表スポンサー:3,000万円
  • 銀メダル1個……JOC:200万円、水泳連盟:100万円、日本代表スポンサー:300万円
  • 銅メダル1個……JOC:100万円、水泳連盟:12.5万円(※メドレー競技のため4分の一)、日本代表スポンサー:100万円
  • 合計:4,512.5万円
 JOCからの報奨金だけでは合計800万円だが、競技団体などからの賞金を含めるとその数は5倍にも膨れ上がるのは驚愕である。(※但し上記はU-NOTE独自の概算であるので、この限りではない。)

日本におけるオリンピックとパラリンピックの報奨金の額

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by [ Greg ]
 アマチュア選手からプロ選手が参加する大会となったオリンピック。果たして、日本ではいくらの報奨金が支払われるようになったのだろうか。先述した萩野公介選手の報奨金の計算にも数字は出てきたが、改めて整理したい。

オリンピックでのメダリストへの報奨金(日本)

  • 金メダル:500万円
  • 銀メダル:200万円
  • 銅メダル:100万円
 JOCからの賞金は、1944年の税制改正によって非課税となった。非課税になったきっかけは、バルセロナオリンピックで金メダルを獲得した岩崎恭子選手だ。大会当時、中学生だった同選手が課税対象となることが報道されると、税制を疑問視する世論が高まった。そして、スポーツ振興を目的に税制が改められる運びとなったのだ。

 次に紹介するのは、パラリンピックのメダルの報奨金。オリンピックと報奨金の額はどれほど異なるのかを見ていこう。

パラリンピックでのメダリストへの報奨金(日本)

  • 金メダル:150万円
  • 銀メダル:100万円
  • 銅メダル:70万円
 オリンピックとパラリンピックでの金メダリストへの報奨金の差額は、“350万円”。この差額については、舛添前都知事も問題視していた。

続きまして、パラリンピックに取り組む覚悟についてでございますけれども、私は厚生労働大臣として、障害者スポーツには、特にこの発展ということを大変努力してまいったものであります。

例えば、メダルをとった方に対する報奨金、これは今、ゴールドメダリスト、オリンピックだと三百万、しかしパラリンピックは百万円なんですね。

 私は、こういう差別があっていいのかということで、大臣のときに、もっと低かったのを相当上げるよう努力をしてきたつもりで、例えば二〇二〇年には、みんなの力で同額に持っていきたいと、こういうことを考えております。

(平成二十六年東京都議会会議録第四号より)

出典:オリンピックメダリストの報酬は、パラリンピックの最大3倍以上!舛添前 ...
 オリンピックとパラリンピックの報奨金格差問題については、未だニュースで大きく報じられていない。2020年の五輪開催国の国民として、このような問題があることを知っておきたい。(※引用文内でのオリンピック金メダリストの報奨金額は、改正前のもの)

金メダルの報奨金が高額な国ランキング!TOP5

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出典:blogs-images.forbes.com
 日本の報奨金は世界と比べると多いのか、少ないのか、気になっている読者もいるのではないだろうか。世界のオリンピックの報奨金について、ランキングで紹介する。(※記事内の報奨金額は、画像の金額を1ドル100円で計算したもの)

第5位:イタリア

 第5位はヨーロッパのイタリア。金メダルの報奨金は1,850万円。日本と比較すると、3.7倍の金額だ。

 リオデジャネイロオリンピックでは、金8枚、銀12枚、銅8枚を獲得している。最もメダルを獲得している種目は射撃で、次にフェンシングが多い。その他にも、柔道・競泳・水球・飛込・ボートでもメダルを2枚以上獲得している。

第4位:カザフスタン

 第4位は中央アジアとヨーロッパにまたがるカザフスタン。金メダルの報奨金は2,300万円。日本の4.6倍の金額だ。

 リオデジャネイロオリンピックでは、金3枚、銀5枚、銅9枚を獲得している。最もメダルを獲得している種目は、ボクシングとウエイトリフティング。競泳では、金メダルを1枚獲得している。

第3位:アゼルバイジャン

 第3位は東ヨーロッパに位置するアゼルバイジャン。金メダルの報奨金は2,550万円。日本の5.1倍の金額だ。

 リオデジャネイロオリンピックでは、金1枚、銀7枚、銅10枚を獲得している。最もメダルを獲得している種目はレスリングで、合計9枚。レスリングに力を入れていることがうかがえる。

 その他の競技では、テコンドーで金メダル、柔道・ボクシング・カヌー(スプリント)でメダルを2枚以上獲得している。

第2位:インドネシア

 第2位は東南アジア南部に位置するインドネシア。金メダルの報奨金は3,830万円。日本の7.7倍の金額だ。

 リオデジャネイロオリンピックでは、金1枚、銀2枚を獲得している。バドミントンの男子ダブルスで金メダル1枚、ウエイトリフティングで銅メダルを2枚という内訳だ。

第1位:シンガポール

 第1位は東南アジアのシンガポール。金メダルの報奨金は7,530万円。なんと、日本の15倍の金額だ。

 リオデジャネイロオリンピックでは、金メダルを1枚獲得している。巨額の報奨金を手に入れた選手は、競泳の男子100mバラフライの金メダリスト“ジョセフ・スクーリング選手(21)”。実はこの男子100mバラフライの金メダルは、競泳界の怪物とも謳われる“マイケル・フェルプス選手”を破って獲得したもの。

フェルプスは試合後の記者会見で、スクーリングより自分に質問を浴びせる記者団を非難、「スクーリングのことを誇りに思う」と話した。そして、フェルプスは続けた。

「私自身が望んでいた、スポーツの扉を閉じる事ができる。それが、私が今、幸せだと思う理由だ」

出典:フェルプスに勝ったジョセフ・スクーリング、8年前は王者に憧れる少年だっ ...
 スクーリング選手の目標であったフェルプス選手は、リオデジャネイロオリンピックで引退することを表明している。憧れのフェルプス選手とのラストレースで、自分の目標を達成することができたのだ。

 さらに、この金メダルは「シンガポールのオリンピック史上初の金メダル」である。7,530万円を獲得した21歳の若者は、シンガポールで一躍英雄となったのだ。


 以上、日本と世界のオリンピックの報奨金事情について紹介した。リオデジャネイロオリンピックで、金メダルの報奨金は200万円増の500万円となったが、2020年の東京オリンピックではさらに金額が上がることが期待されている。

 スポンサーからの支援金だけでなく、国の補助金を得て運営をするJOC。国民の税金から費用を捻出してまで、東京オリンピックを開催する姿勢に反対の方もいるだろう。しかし、2016年のリオデジャネイロオリンピックでの日本勢の勇姿は、不況に喘ぐ私たち日本人の光明になったのではないだろうか。

 また何より、国やコトバ、更には紛争さえをも超えて世界中の人々が等しく戦い、互いの健闘を称え合う機会としてオリンピックがあるということの尊さを鑑みれば、選手への報奨金の額についての問題性を言及する余地はないだろう。

 1964年の東京オリンピックを超える“レガシー”を次世代に残すためにも、日本国民が一致団結して、2020年の東京オリンピックを盛り上げる時ではないだろうか。

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