1. リオ五輪の閉会式で見せた“可能性”:「クールジャパン」は世界に通用するのか?

リオ五輪の閉会式で見せた“可能性”:「クールジャパン」は世界に通用するのか?

by nekotank
 五輪のバトンはリオデジャネイロから東京へと渡された。2020年は待ちに待った、東京でのオリンピックとパラリンピックの開催だ。そんな中一躍話題となったことがある。それはリオ五輪の閉会式だ。この閉会式で日本は2020年東京オリンピックのPRパフォーマンスを行った。

 実はこのPRパフォーマンスには、日本国内では賛否両論はあるものの、各国の海外メディアからは高く評価された。結果的に、日本の誇れる技術が詰まったコンテンツが再び注目される出来事となった。

 今回は、今、再び注目を集める日本コンテンツが今後の日本ビジネスにどのような影響を与えるのか迫った。

日本コンテンツが集約された閉会式の全貌

by Dick Thomas Johnson

3分に凝縮された日本PR

 閉会式では、小池百合子都知事が「フラッグハンドオーバーセレモニー」で五輪旗を引き継いだ後、日本大会をPRする約3分ほどの映像が上映された。この映像では、キャプテン翼やパックマンといった日本発のキャラクター、北島康介氏や高橋尚子氏といった日本を代表するスポーツマンたちが出演し、豪華な顔ぶれとなった。

 また、このPR映像は一つのストーリーとなっていた。それはキャラクターたちや、出演者たちから日の丸の赤いボールを受け取った安倍首相が、東京からリオデジャネイロへ向かわなければならないが、時間がない、という設定だった。

 そこで、まず安倍首相がブラジルに駆けつけるため、世界的人気ゲーム「マリオブラザーズ」のマリオに変身した。さらにはドラえもんの力も借りて地球の裏側にまで、ドリルで土管を作り、リオデジャネイロの陸上競技場の中心に設置された土管から出てきたのだ。

日本のねらい

 日本では、2011年ごろから、“Cool Japan”政策を打ち出した。この政策は日本の魅力を海外へ広め、そこから「日本ブーム」を作り出そうと、経済産業省が打ち出した政策だ。日本ブームとはすなわち、コンテンツ、ファッション、地域産業、サービスなどからなる、“日本らしさ”が海外で評価されることだ。日本ブームを起こすことができれば、そこからインバウンド消費拡大が期待出来る。国内需要の限界に達している日本が新たに海外需要確保を目標に、この政策が考案された。

 今回の五輪閉会式でのPRパフォーマンスは、日本のアニメやゲームのキャラクターがメインのものとなった。日本国民含め、世界の人々は、まさか日本の首相がマリオになるとは夢にも思わなかっただろう。しかし結果的に、日本が誇るポップカルチャーを全面に押し出した内容が、日本のコンテンツから「日本ブーム」を生み出すきっかけを作り出すことに成功したのだ。

“Cool Japan”を掲げる日本が勝負を仕掛けるコンテンツ

by Tagosaku
 今回の閉会式のPR映像はこれらの分野の中で、コンテンツに的を絞ったわけだが、一体どんなコンテンツがクールジャパンの対象となるのか? 

海外向けジャパンコンテンツ

 全世界へ向けられるコンテンツで、海外へ向けて日本のアニメや漫画等の魅力を発信するメディア・EC事業を担う。企業例として、Tokyo Otaku Modeは、日本のオタク文化を世界中のファンに体験してもらうためにサービスを運営・開発している。日本のアニメやマンガといったオタク関連情報を紹介する。独自の視点で優れた作品を創造するクリエイターを紹介するメディアとして1,800万人以上ものファンを集めている。

正規版アニメコンテンツ

 全世界へ向けられるコンテンツで、正規版の日本のアニメのサイトを他言語で海外へ配信する。企業例として、バンダイナムコHDは海外向けのネットワークコンテンツを企画し、配信している。特にゲームコンテンツのキャラクターは海外でも圧倒的な知名度を誇る。

ジャパンコンテンツのローカライズ

 全世界へ向けられるコンテンツで、80以上の言語に対応した日本のコンテンツの世界発信のためのローカライズの基幹を作り、インフラを獲得する。企業例として、イマジカ・ロボットHDは、映像・画像に関わる最先端の映像関連機器やソフトウェアの開発・製造・輸入・販売を世界中のマーケットで行っている。

エンターテイメント

 アジアをメインで向けられるコンテンツで、アジア向けのテレビ番組を発信し、日本を知ってもらう。イベントや地域物産等を展開する。企業例として、吉本興業は日本で放映されているバラエティ番組を海外で配信する事業を積極的に行っている。日本の「笑い」は海外での評価も高い。
 
 これらのコンテンツを日本はクールジャパンの対象にしていて、政府が投資による支援を積極的に行っているのだ。

“Cool”な“Japan”を創出できるか? 世界で戦える企業へ

by 드림포유
 実は2014年から経済産業省の協力により、クールジャパンビジネスマッチンググランプリという大会が企画されている。ここでは各企業の経営者たちがプレゼンテーションを行ったり、ディスカッションの中で、ビジネスモデルや進出地域、必要としている“もの”や“人脈”などを発表し合い、その場でビジネスマッチングを図る。そこで互いの企業の事業内容を知り、そこから商談や、有益な情報、さらには提携してもらえる企業を探すこともできる。経営者たちはここからビジネスチャンスを作り出すのだ。

 どの企業も熱いプレゼンテーションをする中、グランプリ企業には多くの共通点がある。これまでの大会でグランプリを獲得した企業は、株式会社カネコ小兵製陶所、ミナミ産業株式会社、舞妓の茶本舗、翔飛工業株式会社などだ。これらの企業に共通することとは、“日本独自の文化や、その企業独自の技術を第一に考え、それをいかにして海外ニーズを掴むかが明確化されている”ということだ。例えば、舞妓の茶本舗では、日本が誇るお茶の文化と、おもてなしにこだわることで、新たな海外ニーズを獲得する試みが評価された。

 現代において海外へ目を向けない企業は生き残ることはできない。コンテンツ産業だけではない、様々な産業が世界を意識しているのだ。

日本コンテンツビジネスは世界で通用するのか? 

by Nemo's great uncle
 今回はあくまでも日本のコンテンツに焦点を当てたが、果たしてビジネスとして世界で戦えるのか?

 日本コンテンツのビジネスでは、ハローキティ擁するサンリオ株式会社、ドラえもん擁する小学館集英社プロダクションがライセンスビジネスで海外ニーズをつかみ、利益を獲得してきた。ライセンスビジネスとは、そのキャラクターの権利を商品とし販売することだ。特にハローキティやドラえもんは、他のキャラクターよりも他社が製造、販売する際の条件が緩いのが特徴的だ。

 そのため知名度のあるキャラクターを様々なアレンジで使用できるため、どの企業もこぞってハローキティとドラえもんを使いたがるのだ。サンリオや小学館のライセンスビジネスは今後のコンテンツビジネスの中心を担うのは確実だ。


 今回はリオ五輪の閉会式で、日本のコンテンツが注目された。まさに、CoolなJapanを創出できた仕上がりとなったと言えるだろう。日本コンテンツが広く知られれば、そこから全く関係がないと思われていた、様々な業種との提携も大いに考えられる。日本の“技術”と“コンテンツ”を組み合わせることで、日本の経済に新たな追い風が吹くだろう。

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