1. 3年離職率は3割強、新入社員を3年育てるには1,500万円:新人を辞めさせない先輩社員の心得とは

3年離職率は3割強、新入社員を3年育てるには1,500万円:新人を辞めさせない先輩社員の心得とは

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 厚生労働省の調査によれば、大卒の新卒者の1年以内の離職率は1割強、3年以内の離職率は3割を超え、一人あたりの3年間の育成費用は1,500万円にものぼる。そこから企業の受けるダメージは計り知れない。なぜ若者はこんなにも早く会社を辞めてしまうのか。今回は、離職率の高い業種ランキング、そして新卒者が企業に求めていること、さらに離職者を増やさないために私たち先輩社員がすべきことを紹介する。

離職率の高い業種トップ5

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第1位:宿泊、飲食サービス(53.2%)

 離職率の高さ第1位は宿泊、飲食サービス。居酒屋のチェーン店はブラック企業問題で大きく取り上げられ話題になったが、華やかなイメージを持つホテルマンの離職率も非常に高い。離職理由の一つ目は賃金の低さだ。一般的な20〜24歳の他業種の平均年収は300万円前後と言われるが、それに比べて、ホテル業界は平均250万弱だ。二つ目は労働面だ。勤務時間が長く、不規則な勤務ローテーションによって体を壊しやすいことが大きな要因になっている。さらにホテル業界の場合、ヘッドハンティングの多い業界のため3年以内でもキャリアアップを図って転職することが多い。

第2位:生活関連、娯楽(48.2%)

 次ぐ離職率第2位は生活関連、娯楽とは、人気職でもある美容師やエステティシャンも含まれる。理由としてあげられるのが、労働時間や業務内容の過酷さの割に給与が高くないことだ。休みがなかなか取りづらいことが大きく影響している。実際入社2年目、3年目のスタッフが全滅してしまっているようなサロンも多いようだ。

第3位:教育、学習支援(47.6%)

 離職率第3位は教育、学習支援。そのなかで離職率の高い塾講師に焦点を当てて解説する。理由としてあげられるのが、人間関係で悩みやすいことだ。生徒との関係のみならず、保護者との板挟みになりやすい。ストレス社会の日本の中でも特に人間関係のストレスを感じやすい職業と言える。さらに労働時間も長く、授業時間以外にも、テスト対策、生徒のマネジメント業務に追われ、休みが取りにくいことも大きな要因だ。

第4位:サービス業、他に分類なし(39.1%)

  第4位はサービス業、他に分類なしだ。代表格になってくるのが人材派遣などだ。離職理由の上位は人間関係や事業所に対する不満や、過酷な労働体制によるものが大きい。会社の将来性や安定性がなかなか見込めないのも影響している。さらに賃金が低く、昇給も見込みにくいという点も大きく起因している。

第5位:小売業(38.5%)

 最後の第5位は小売業だ。ブラックな労働環境が昔から噂される業種だが、離職の要因としてあげられるのが、立ち仕事や肉体労働による体への負担の大きさ、平均給与的には他の業種とほぼ同等だが、サービス残業が多かったり、キャリアアップが難しいことが影響している。

 上記は、2015年10月に厚生労働省が発表した、大学新卒者の3年後離職率に基づく。5つの業種に共通してみられる特徴は、平均年収の低さ、時間外労働や休日出勤など、過酷な勤務体制だ。

新卒者が企業に求めるものは“物理的満足感”、“心理的満足感”

新卒者が会社を辞める理由

  • 労働時間の長さ、仕事に見合った給与がもらえないから。休みがもっとほしい
  • 企業と新入社員の間で求めている資質、価値観の相違
  • やりがいがない。会社の雰囲気に合わない
  • 自分にはもっといい会社があると考えて(青い鳥症候群)
 若者の企業に求めるベクトルはいくつかに分かれている。例をあげると、バリバリと仕事をして物理的満足感を得たい人もいれば、キッチリ定時に上がって休日はゆっくり過ごし、心理的満足感を得たい。というように、さまざまだ。

 近年では心理的満足感を大事にする、コンサマトリー(自己充足的)化する若者が多くなってきている。社会学者の古市憲寿氏によれば、政治に対して無力感と無関心を抱いたことから、「自由に楽しく過ごす」「なごやかな毎日を送る」のような生き方を目標にする若者が増えたという。

 ではそのような若者が増えた中でどう離職率問題と向き合っていけばよいのか。『「3年で辞めさせない!」採用』の著者、樋口弘和氏によれば、重要なのは、若者たちのベクトルと企業の「目標」のより高みでの擦り合せだというこの作業を繰り返し繰り返し行うことで、働きがいが生まれるというのだ。

 具体的にどのように目標の擦り合せをすればいいのか。ポイントは企業の方針に沿いながら、その中で、個人に創意工夫をさせる余地を問題に与えてあげることが重要だ。創意工夫の余地を与えてあげることにより、参加意識を高め、仕事意識の向上へとつながる。そうしていくことで、企業と若者たちの目標が高い位置で擦り合せできるようになっていく。

離職者を増やさないために先輩社員がすべきこと

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協調性、そして自己コントロールのできる“メンター”になること

 読者の中には、後輩を持つ方も増えてきただろう。先輩社員に求められる資質、それは“メンター(仕事上のみならず、プライベートも相談できるような存在)”になることだ。ただし重要なのは、単に仕事ができる、上司、年上である、ということでなく、周りに対して協調性があり、自己をしっかりとコントロールできている必要がある。

 若者と同じ目線に立ってアドバイスし、新入社員に自分で問題点をみつけさせ、解決させることを心がけることが“メンター”のポイントだ。

 そうは言ってもメンターになることは容易ではない。直属の上司はメンターには向かない、本音で相談しにくいからだ。さらに歳が離れている場合も注意が必要で、考え方に差異が生じたときにジェネレーションギャップと片付けてしまわないよう心がけてほしい。よきメンターになるためには、先入観だけで判断せず、相手を知ろうとする心のマッチングが重要だ。

働きがいのある職場にし、新入社員に“ここではない”と思わせない

 入社後の離職率を下げるには、新入社員に、自分はここにいてよいのだろうか......と思わせないことが大切だ。コンサマトリー化する若者が増えていく中で、離職率を下げるには、創意工夫の余地を与え、参加意欲を高めてあげることに尽きる。

 仕事に対する成長や意義を見つけ、モチベーションを高い位置で保たせることができれば離職率はグンと減る。このことを理解して、新入社員をケアし、日常的に新しい刺激を与えることが重要だ。

 新入社員を評価する場合も、事実をみて評価することが重要だ。現場をみていない他者が評価しても、本人評価との乖離が生まれ、かえってモチベーションを落とすことになってしまうのだ。


 若者の早期離職は日本が抱える大きな問題だ。新入社員を一人前に育てるには平均10年かかると言われている。しかし若者たちの離職率を抑えるのは容易ではない。離職率を減らすためには、私たち先輩社員側が率先して新入社員側まで目線を落として、仕事に対するモチベーションを維持させることが求められる時代になった。どんどん新しい価値観が生まれてくる中で、新入社員側と企業側が良好な関係で働くことができることは、想像以上に難しい。

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