1. ビジネスマンのための心理学:雑談から始まる「ラポール形成」と「3つの心理学的テクニック」

ビジネスマンのための心理学:雑談から始まる「ラポール形成」と「3つの心理学的テクニック」

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 仕事は、一人だけでするものではない。クライアントと信頼関係の構築や、社内の人々の協力を得て、はじめて成り立つ――そこで重要になってくるのが人間関係だ。

 人間関係がうまくいかないと、さまざまな支障が出てくる。今回は誰もが一度は悩むであろう人間関係について、心理学的側面から考えてみる。

仕事のストレスは“人間関係”

 エン・ジャパン株式会社が2,667名を対象に行った「仕事のストレスのアンケート調査」では、全体の67%が「仕事にストレスを感じる」と回答している。その理由の第1位は「同僚・後輩との人間関係」(42%)、第2位は「上司との人間関係」(40%)であり、仕事にストレスを感じている人の多くが“人間関係”に悩みを持っていることがわかる。

 ストレスなく活き活きと仕事をするためにも、周囲とは良好な人間関係を築きたいものだ。それでは、一体どうしたらいいのだろうか? 次は、良好な人間関係を築くために必要な“ラポール”というキーワードについて説明しよう。

“ラポール”形成とは

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 ラポールとは、フランス語で「架け橋」を意味する心理学用語だ。この言葉はセールスや交渉、プレゼンといったビジネスの世界はもちろん、家庭やプライベート、また先生や生徒の教育の分野などにおいても使われるようになっている。

 架け橋ができていないと物事や人の流れに支障が出るように、このラポール形成ができていないとどんな心理学テクニックも機能しないと言われている。ラポール形成は、コミュニケーションにおいて基本中の基本なのだ。 

ラポール形成のコツ①:相手の尊重と傾聴

 相手にはそれまで生きてきた経験から形成された価値観があり、それを尊重することが重要だ。「相手をコントロールしてやろう」といったエゴイズムを持っていては、ラポールは形成できない。何よりもまず、「相手と信頼関係を築きたい」という誠実な気持ちが大切だ。

 その誠実な気持ちをを具体的な行動で示すのが「傾聴」である。傾聴とは、あなたが聞きたいことを聞くのではなく、相手が言いたいことを聴く姿勢のことであり、人と向き合う基本的な姿勢そのものなのだ。

ラポール形成のコツ②類似性の法則

 類似性の法則とは、「人は自分と似たものに安心感や好感をもつ」という心理だ。

 例えば初対面の人との会話で、相手が同じ出身地の人だとわかった時に、ぐっと距離が縮まったような経験があるだろう。このように似た境遇や環境、また趣味、好きなものが似ていると、それだけで安心感、好感、親和性が高まるのだ。

 この類似性の法則をもとにラポール形成が行われるため、相手に合わせていき「自分と似ているな」と思ってもらうことが重要になる。

負の状態「アンチ・ラポール」

 ラポールとは逆の意味で、人間関係が負の状態にあることを「アンチ・ラポール」という。人は次のような感情を持った時に、相手に対しての興味を失い、警戒し、心を閉ざしてしまう。

アンチ・ラポールがある人の特徴

  • 危険を感じる人
  • 不潔だと思う人
  • 自分とは違うと感じる(価値観と相反する)人
  • 否定してくる人
 上記のような人に対して、人間は敵意を抱き信頼関係は形成されない。人間関係がうまくいかないと悩んでいる人のなかで、日頃の自分の言動の中に少しでも心当たりがあれば、すぐに改めよう。

 ラポールが形成できていれば、相手と意見が違ったとしても好感を持ったままであるのに対し、アンチ・ラポールの状態ではたとえ利害が一致していても、相手の意見には否定的な感情が湧いてくるため、自分が損をしてでも相手への協力を断ることがあるという。

 以上のことを踏まえ、円滑にビジネスを進めるためにラポールを形成していきたい。そこで、実際のビジネスシーンで使える3つの心理学テクニックを紹介する。

ビジネスシーンで使える! 3つの心理学テクニック

①ペーシング

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 ペーシングとは、相手の話し方と呼吸のペースを合わせるテクニックだ。相手がゆっくり話すならこちらもゆっくりと話す。相手が早口ならこちらも早口で話す。さらに、相手の肩や胸の動きに注目すると呼吸のリズムを合わせやすくなる。

 ここで重要になってくるのが相槌だ。タイミングの良い相槌を打つと、相手は気持ち良く話をすることができる。相手が息継ぎをしたり、次に話すことを考えている間に行うといい。

 相手との会話の中でうまくペーシングができれば、その空間に一体感が生まれる。その一体感が、親近感や安心感に繋がるのだ。

②ミラーリング

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 ミラーリングとは、相手のしぐさを真似るテクニックだ。例えば、あなたと相手がカフェでコーヒーを飲みながら話している場合、相手がコーヒーを飲んだら同時にこちらもコーヒーを飲む。相手が顎に手を当てたら、自分も顎に手を当てるといった具合だ。

 ただし、マネをしていることがバレてしまうと逆に不信感を抱かれるので注意しよう。あくまで「さりげなく」行うことが大切である。

 相手に動きを合わせ、無意識下でお互いが似ている存在だと伝えることで、親近感を抱かせることができる方法だ。

③バックトラッキング

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 バックトラッキングとは、いわゆるオウム返しをするテクニック。例えば「私はランニングが趣味なんだよ」と言われたら、そのまま「ランニングが趣味なんですね」と返すことだ。

 しかし、ここで気を付けるべきことは、相手の言ったことをそのまま返すだけではなく、ポイントをまとめて要約して言い返したり、キーワードを使って返すことだ。このテクニックも、相手にマネをしていると悟られてはいけない。上の例を少し言い換えて「ランニングがお好きなんですね」などと返すと、より自然になるだろう。

 相手の言ったことを自分も改めて言うことで、相手の話を聞き、受け止めていることを伝える。すると、相手は「自分と同じ考えを持った人だ」と感じ、こちらに好意を抱いてくれるのだ。


 「信頼を得る」「好感を持たれる」というと、抽象的・感覚的な印象を受けるが、学問として確立された心理学を応用すれば、ビジネスシーンでも使えるテクニックになる。

 今回紹介した心理学テクニックを雑談などで実践し、周囲とラポールを築き一歩先を行くビジネスマンとして活躍してほしい。

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