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インクが出ない時の対処法と万年筆のメンテナンスについて

粕谷満子

2016/12/01(最終更新日:2016/12/01)


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インクが出ない時の対処法と万年筆のメンテナンスについて 1番目の画像
出典:global.rakuten.com
 仕事柄文字を書く機会が多いからといった理由で万年筆を買う方も多いだろう。万年筆はそう安くはないので長く使いたいと思うのは当然であるが、新品なのにもかかわらずインクが出づらいといったトラブルも起こりがちである。そこで今回は、インクが出ない時の対処法と万年筆のメンテナンス方法について特集していこうと思う。

新品の万年筆のインクが出ない!  そんな時の対処法

 実は、自分の手に合う万年筆を購入しても、新品の万年筆では文字を書こうと思ってもインクの出が悪いこともしばしば。そこで新品の万年筆のインクが出ない時の対処法について紹介していく。

 そもそも万年筆の仕組み上、カートリッジからペン先までに距離がある。この間にインクが浸透して馴染むまでに時間がかかるために新品の万年筆はなかなかインクが出てこないのである。

 だが、インクが出ないからといって万年筆を振るのは避けてもらいたい。万が一投げてしまったり、落としてしまったりしてしまえば、万年筆の破損につながることもあり、キャップの中がインクまみれになるといった可能性もあるので、注意してもらいたい。

 また、万年筆の書き味を左右するペン先をインクがきていない状態で押し当てることはペン先の変形や劣化の原因となるため、ペン先を強く押し当ててインクをだそうとするのもやめたほうが良い。

 最も良い方法は、インクカートリッジを押す方法である。縦に押すのではなく、インクカートリッジの中央付近を指で挟むようにして押していく。あまり強く押してしまうとインクが垂れる可能性もあるので、ペン先にインクが浮いてくる程度までゆっくり押すようにすると良い。大抵はインクカートリッジを押すことでインクは出やすくなるので、試してみてもらいたい。

詰まってインクが出ない時の対処法!

 万年筆の種類によっても対処法が多少異なるので、種類別に紹介していく。まずはカートリッジ式万年筆とコンバーター式万年筆の場合である。お使いのものがこれらの場合はまず勿体無いかもしれないが、インクが残っていてもカートリッジは処分し、残ったインクは処分する。そして容器を用意しその中にぬるま湯を入れ、ペン先と大先を浸ける。この時ぬるま湯のほうが効果的で、熱湯だと変形のリスクがあるので注意してもらいたい。

 その状態で一昼夜ほど置き固まってしまったインクをゆっくりと溶かしていく。時間がたったら容器から取り出して、流水でよくすすぐ。インクが出てこなくなるまでしっかりと流していこう。だが、この時も変形のリスクがあるので、こするようなことは不要である。最後に綺麗な柔らかい布で水分を拭き取れば完成である。

 次に吸水式万年筆の場合である。お使いのものが吸水式万年筆の場合はまず容器を用意してそこにぬるま湯入れ、ペン先全体を入れて水を吸い込ませては吐き出させていく。これを万年筆の内部が綺麗になるまで繰り返し行う。この時に、水をうまく吸い込めなかったり、吐き出せなかったりといった状態であれば、カートリッジ式やコンバーター式万年筆と同様に一昼夜ほど漬け込んでもらいたい。

 漬け込みが終わったら、先ほども行ったように、水を吸い込ませては吐き出させるというのを繰り返し行う。容器の水が取れたら取り替え容器の水が透明になるまで続ける。容器の水が汚れなくなったら、最後に柔らかい布で水分を優しく拭き取れば完了。もしこれらの方法でも改善が見られない場合は、無理してインクを出そうとせずメーカーに相談すると良い。

万年筆の定期的なメンテナンス方法!

 メンテナンス方法も万年筆の種類によって異なるので、種類別に紹介していく。コンバーター式万年筆の場合は、柔らかい布やティッシュなどを入れたコップを用意する。まず万年筆からコンバーターを抜いてペン先とペンが付いている部分を軽く水ですすぐ。すすぎ終わったらペン先部分を水の入ったコップへ入れて一晩ほど浸けておく。

 次にコンバーターを取り付けて、インクの色がほとんど出てこなくなるまでコップの水に漬けたまま水の出し入れを行こなう。最後に、水で軽くすすいでから柔らかい布やティッシュなどで水分をしっかりと拭き取り、乾かす。表面は乾いていても内部にはまだ水が残っているので、一日程度時間をかけてしっかりと乾燥させる。

 次に吸水式万年筆をお使いの場合。この場合は柔らかい布と水を入れたコップを用意し、まずペン内部のインクを抜いていく。古いインクボトルは戻さず破棄するようにする。次に水の中にペン先ぜんたいを浸したまま、吸水ノブを左右に回して水の出し入れを繰り返す。綺麗になるまでコップの水を交換しつつ行う。

 最後に水で軽くすすぎ、柔らかい綺麗な布などで水分を拭き取りしっかり乾燥させよう。表面は拭き取って乾いていても内部には水分が残っている。一日程度時間をかけてしっかり乾かすことが重要である。メンテナンスは時間がかかるが、長く使い続けるためにもしっかり行ってもらいたい。
 

 今回は万年筆のインク詰まりの解消法やメンテナンス方法について紹介した。万年筆は高価なものも多く、長く使っていくことを前提に購入する場合がほとんどだと思うので、大切に使っていくためにも正しいメンテナンス方法を理解していてもらいたい。

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