1. 「自分の情熱を部下にも求める」のは二流の証:優秀な上司の行動変革

「自分の情熱を部下にも求める」のは二流の証:優秀な上司の行動変革

by malhotraXtreme
 前回は、ベンチャー企業の経営陣に対するコーチングが、行動力が高い人材が集まっているがゆえに、効果が出やすいことを説明した。気づいて理解した場合の修正力の高さもベンチャー経営陣がもつ強みの一つだ。

 インテルと同様に、Facebook、LinkedIn、Googleなどの企業でも、成長過程においては、ディレクター以上の経営陣は、1対1のエグゼクティブコーチングを会社の経費で受けられるようになっている。

 今回は、実際にベンチャーに対するコーチングによって、どのようにリーダーが気づき、組織力を向上させたのか、具体的な事例をみていこう。

コミュニケーションに気を付けるあまりスピードが落ちる

 コミュニケーションを丁寧にして、メンバーのタイプ別に時間をかけて対話していくことは重要である、しかし、それではあまりに時間がかかりすぎてスピードが落ちてしまうリスクがある。

 元LINE社長の森川さんの言葉にも、「指導するとスピードが落ちるので、指示を細かくされなければ動けない人は採用しない」とあるが、常に民主的にふるまい、細かいことに気を使いすぎると決断と行動のスピードが落ちてしまいかねない。

 特に優秀な人材ほど、部下の面倒を見る役目を加えられがちである。大企業やコンサルティングファームなどは、優秀な人材が取れるので、それでもコミュニケーションとスピードを両立させて機能するかもしれない。一方で、ベンチャーでは、自律的に動く人をとるのも難しく、またコミュニケーションを丁寧にとらないと、思いが共有できていない人はみんなやめて、組織に誰もいなくなってしまう。

 こうしたことからもわかるとおり、特にベンチャーにとって、部下への適切なコミュニケーションは非常に重要なのだ。

相手を変えようとするのではなく、自分を変えることによって得られる周囲の変化

 そのため、ベンチャーの多いシリコンバレーでも、今では経営者コーチングが、ベンチャーキャピタルや経理・監査役のように必須になってきている。

 すでに大会社になってしまったが、Facebook、LinkedIn、Googleなどの企業でも、成長過程においては、ディレクター以上の経営陣は、1対1のエグゼクティブコーチングを会社の経費で受けられるようになっている。インテルもそうだった。さらにはマネジャークラスに対しても、部下を持つとコーチングのスキル研修を義務付けている。

 最初は半信半疑であったマネージャーも、実際にコーチングを受けてみると部下との対話や質問を通じて気づきや自信を得たり、ストレスを軽減できることが実感できるのに驚きます。

 相手を自分の思うように変えようとするのではなく、自分の側の行動と人との接し方を変えることによって得られる、周りの変化に初めて気づくのである。それが結局自分の行動を振り返ることにもなり、仕事以外でも、奥さんや子供との接し方もより丁寧で関係がよくなるケースもある。

 また、昇進、降格、配置転換、転職、などのキャリアの要所・要所(ターニングポイント)で、自ら専門のコーチを雇い、自分自身を振り返る人も多い。常に振り返る習慣を取ることで、自分の進路を調整し、モチベートし、働き方をリニューアルするのだ。

頭の回転の速い上司の行動変革。チーム雰囲気の改善

 一流企業を退社して、ウェブ系のソフトウェアハウスを立ち上げたAさんは、頭の回転が速い人材だったのだが、立ち上げ当初、スタッフに対し、自分の意見を押しつけたり、相手が自分のペースで進まないと逃げ道を与えずつめたり、イライラするなどの傾向があった。その結果、チームの雰囲気は非常に悪化し、生産性が落ちてしまった。

 それを受け、Aさんもこれはまずいと感じ、チームの雰囲気を変えるため、自分からコーチングを受けたいと相談した。

 コーチングを通して、Aさんは相手のタイプに応じて接し方を変えること、社員と家庭の幸福を第一に考えるミッションを作ること、自分が目をかけていても、チームの雰囲気を悪くする可能性のある者は解雇していく必要があることなどを理解して行動した。その結果、チームは改善し、現在も売りあげは堅実に延びている。

成果を追求するあまり、周りに激しく要求してしまう情熱をあえて抑える

 地元のつくばで、学生の就活や、ネットでの広告・サービスをまとめる会社を起業したBさんは、コーチングを受けて、現状や将来のイメージを具体的に振り返って考える機会をもった。

 その結果、事業の方向性における悩みを断ち、つくばでの情報流通と学生の就活支援に集中し、筑波大も含めて、ネットワークを最大限利用し、順調に成長している。

 目の前の仕事で毎日非常に忙しかったので、コーチングの機会が唯一、自分の人生、今後の方向性をゆっくり考えられる時間だったと感想を述べていた。

 成果を追求するあまり、周りにもおなじように激しく要求する情熱を、もう一段上の経営者視点で考えておさえられるようにと、行動変革をしている。

タイプ別指導に気をつかう

 体育会系のハードワーカーで、 チームをグイグイ引っ張っていくタイプの人材紹介会社の若い代表のCさんの例。私がコーチング始めた3年前は、社員もウナギの長屋のような細い部屋の事務所に5人だけだったが、今では20人ちかくの所帯になり、売り上げも5億円を超えている。

 当初は、どう部下を育成すればよいのかを迷っていた時に、社員をタイプ別(自分の成果第一、自信がないがチームへ貢献したい、正確な理由なしでは動けないなど)に分けたモチベーションの上げ方などを考え、インタビューがうまくいかずに自信をなくしていた新人女子社員をNO.1営業まで育て上げることができた。

 自身についても、リーダーには多くの種類があり、決して0から1を作り、まわりを引っ張っていくタイプではないが、メンバーの声に耳を傾け各人がなにに悩みを持ち、何を達成することでモチベートされるかを理解して接することができる、協調型リーダーシップが自分の得意とするタイプだと認識した。

 一方でメンバーから、「会社と私が将来どうなるかがみえない」、「具体的な指示を出してほしい」という意見もあったため、①事業戦略を明確につたえること、②メンバーの1年後の状態を伝えること、③それに対してのアクションプランを伝えることの3つをおこなってもらった。

 コーチングを通して、1)自分の強み・弱み・改善点を再認識することができる。2)協調型マネジメントを学ぶことができる。3)社内の状況が可視化できる。など多くのことを学んだそうだ。


 コーチングの最初の段階では、多くのことを学ぼうと思っていた背景があったので、何も教えてくれないなと驚いていたが、セッションを複数回経験するうちに、自分で納得するまで内省するから行動できるというコーチングのバリューを感じることができたそうである。

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