1. “米国のイノベーター” アレック・ロスが語る、ロボットと人間の共存社会とは:『未来化する社会』

“米国のイノベーター” アレック・ロスが語る、ロボットと人間の共存社会とは:『未来化する社会』

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 20世紀末、インターネットが誕生し、社会は大きな変化の波に飲まれた。20年前の私たちは今の社会を想像することができていただろうか。この20年間で、様々なモノがインターネットに繋がれるIoT(Internet of Things)というシステムを中心に、社会へデジタル社会へと変容した。

 それでは、20年後の未来はどうなっているのだろうか。近年、ロボットやAI(人工知能)が徐々に普及し始め、社会に大きな変化の波をもたらそうとしている。もしかしたら、『ドラえもん』の作品中に出てくるような未来のロボットとの共存社会も実現するかもしれない。しかし、ロボットとの共存社会は私たちにとって、必ずしもプラスと言えるのだろうか。

 そこで今回は、アメリカ国務省でイノベーション担当の上級顧問を務めていたアレック・ロス氏の『未来化する社会 世界72億人のパラダイムシフトが始まった』から、20年後の未来社会がどのようなものになるのか見ていきたいと思う。未来社会について考え、今私たちは何をするべきなのか考える機会になるだろう。

あらゆるものが変化する、20年後の未来社会とは

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 今日までの20年で社会はグローバル化とイノベーションの波に飲まれた。この2つの波によって大きなビジネスチャンスを手にした者もいれば、それまでの地位を失った者もいる。しかし、全体的な結果として考察すると、10億人の低賃金労働者を貧困から脱却させる引き金になっていたのだ。

 しかし、このような社会を大きく変化させる波は必ずしも、人々にプラスの影響を与えるわけではない。20年後の未来では逆に、10億人の労働者が貧困に陥る可能性もあるのだ。つまり、いわゆる世界の中流層に位置する人々にとっても、「生きる」か「死ぬ」か分かれ道になりうるのだ。だからこそ、私たちは未来の社会について考えなければならないのだ。

 著者は日本の未来についても言及している。日本の高齢者の割合は現在約25%であるが、20年後には30%を超え、30年後には40%弱にまで至るという。10年後に必要な介護士は400万人にも関わらず、現時点では149万人である。この介護問題を解決するためには、介護用のロボットの力が必要不可欠となる。既に41万台のロボットが導入されており、今後も増えていく見込みだ。

人間とロボットの「共存」と「競争」

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 ロボットの台頭によって、今まで解決できなかった社会課題は解決され、明るい未来が約束されているように思われる。しかし、一方で懸念しなければならないのは、「産業の衰退」「ロボットの責任の所在」などである。例えば、モノつくりが全てロボットの仕事となれば、職人は失業してしまう。また、ロボットが誤って人にケガをさせてしまったら、誰を責めればいいのだろうか。様々な不安材料があるのもまた事実なのだ。

 特に恐いのは、人工知能を有するロボットの台頭である。もし、未来のAIロボットが人間の頭脳を超える存在となった場合、人類がロボットに支配される社会になる可能性は否めない。このような未来社会へ向かっていくとなれば、人間とロボットの「競争」が始まるだろう。

 現在はロボットの制作に多額の資金が必要となるが、未来は新型ロボットが大量生産されるだろう。そうなれば、人件費よりもロボット導入費のほうが安くなり、大量の失業者が出る可能性がある。そのため、私たちはロボットとの「共存」をどのように実現させるべきなのか早急に考える必要性があるのだ。

寿命を延ばす「ターゲット療法」と「特効薬」

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 医療技術の進歩によって、人間の寿命は長くなってきた。また、医療が整備されていない国・地域においても、国境を超えた医療サービスがなされる時代になった。しかし、これまでの医療技術の進歩はあくまで序章に過ぎない。20年後には患部だけを重点的に治療し、副作用を最小限に抑えることが可能になると言われているのだ。

 現在、ガン治療による副作用に苦しんでいる人が多くいる。また、様々な臓器へガン細胞が転移し、命を落としてしまう人も多い。しかし、近い未来ではガン細胞を溶かす医療技術が導入され、抗がん剤による副作用に苦しむことのない時代がやってくる。さらに、遠い未来では多くの人間の遺伝子細胞に合わせた特効薬が開発され、薬でガンを治せると考えられているのだ。

 このような「ターゲット療法」や「患者一人一人に合った特効薬」といった未来の医療技術は既に開発が進められている。そして、医療技術が進歩することによって、発展途上国の子供たちの感染症などの予防も万全に行うことができるだろう。


 私たちは、つい目の前のことに焦点を置いてしまいがちだ。しかし、様々な技術が現代社会をすさまじいスピードで未来社会へと変化させている。これから社会を飲み込むであろう大きな変化の波に焦点を当て、今私たちは何をするべきなのか考えるべきである。ロボットと共存できるかどうかは私たち次第なのだ。

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