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所得税って年収の何%? いくら税金取られるの?

粕谷満子

2016/09/13(最終更新日:2016/09/13)


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出典:www.compasscpagroup.com
 法人税、消費税などと並び、日本でも最もメジャーな税金の一つである所得税。世界最初の所得税は18世紀末のイギリスで導入されたもので、19世紀半ばに定着した。日本では明治時代に導入されて以降、何度かの改正を経て現在まで施行されている。社会人として企業に勤めている人はあらかじめ給料から差し引かれていることも多く、会社勤めの人にはあまり実感がないかもしれない。

 しかし自営業の人などは自分で税金を納めに行かなくてはならず、累進課税制度によって、収入の高い人ほど多くの税金を納めなくてはいけなくなるなど、さまざまな取り決めが存在する。そこで今回は、この「所得税」について取り上げていく。社会人の常識として、所得税の仕組みはしっかりと理解しておこう。

所得税の税率は?

 日本の所得税の税率は、5%から45%の間になっていて、それに加えて10%の住民税が負担される。そのため、個人の最大税率は45%+10%の55%ということになる。
では、年収別にこの税率がどの程度かかってくるのか確認してみよう。

年収別に税金の税率を見てみよう!

 日本の所得税の税率は、累進課税制度を採用しており、その税率は5%から45%の7段階に区分されている。その所得金額における税率の段階分けは、以下のとおりである。

年収195万円以下が5%

195万円超から330万円以下が10%

330万円超から695万円以下が20%

695万円超から900万円以下が23%

900万円超から1800万円以下が33%

1800万円超から4000万円以下が40%

4000万円超が45%

 この税率に加え、所得税の控除額というものがそれぞれに設定されており、その金額は以下のようになる。
 
年収195万円以下は控除額はなし

195万円超から330万円以下が97500円

330万円超から695万円以下が427500円

695万円超から900万円以下が636000円

900万円超から1800万円以下が1536000円

1800万円超から4000万円以下が2796000円

4000万円超が4796000円

 以上の税率と控除額、二つの要素によって所得税は決定される。算出方法は以下のとおり。

“所得税=所得金額×税率-控除額”

 つまり、課税される所得金額が600万の人の場合、600万×0.2-42万7500 より、所得税は77万2500円になる。

世界の所得税率ってどれくらい?

 それでは、日本国内だけではなく海外にも目を向けて、世界の国々の所得税の税率を見てみよう。

 アジア諸国の所得税率は、概ね5%から40%ぐらいと、日本と大して変わりはない。しかし税率が低いために資産家が多く海外から移住することで有名なシンガポールの所得税は4%から21%と、その他のアジア諸国と比べてもかなり低い水準になっている。さらに低いのが香港で、その税率は2%から17%だ。

 ヨーロッパ諸国の所得税率は、最高税率が軒並み40%から50%と高い水準になっている。しかし、ヨーロッパでは福祉の充実などによって、国民の幸福度も高いのである。その中で永世中立国であるスイスは独自の金融政策を掲げていることで有名であり、そのこともあってか国の所得税は最大で13%とかなり安くなっていて、収税と合わせてもせいぜい25%くらいだ。

 さらには、タックスヘイブンと呼ばれるモナコやリヒテンシュタインには、なんと所得税が存在しないのだ。これは、国土が狭く自国の産業が発展しづらいため、外国から資本を集めるためにあえて税金をなくしたのだ。
 
 アメリカ大陸の国はどこも日本と大きな差はなく、アメリカ合衆国やカナダは州によってその税率はまちまちだ。オーストラリアやニュージーランドは最低税率が20%近くあるため、低所得でも多額の所得税を取られてしまう。

 世界の所得税はバラエティーに富んでいる。いわゆる金持ちが移住する国は、所得税が低い傾向があるようだ。


 今回ご紹介したように 所得税の税率は収入によって大きく変化する。たくさん稼げば、それだけ課税される金額も大きくなる。富裕層の中には、税金逃れのために海外の国に「逃げこむ」なんて方もよく見受けられるが、こうした背景には国ごとの税率の違いなどがあったのである。


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