1. 社会起業家・駒崎弘樹の「社会の課題を解決する生き方」 『「社会を変える」を仕事にする』覚悟とは

社会起業家・駒崎弘樹の「社会の課題を解決する生き方」 『「社会を変える」を仕事にする』覚悟とは

 社会には様々な課題がある。課題によっては解決に向けて、政府が取り組んでいる課題もあり、企業が取り組んでいる課題もある。しかし社会的な課題の中には、認知度が低かったり、その課題に苦しむ人がマイノリティであるために、解決に向けての取り組みが薄い課題が少なくない。

 そのような社会の課題の解決に向けて、大きな役割を果たすのがNPOである。昨今ではNPOの存在感が高まり、その意義が見直されてきている。NPO法人フローレンスの代表理事である駒崎弘樹氏の著作『「社会を変える」を仕事にする ― 社会起業家という生き方』では、駒崎氏がNPOを立ち上げ、社会起業家として成功するまでの過程が語られる。

 駒崎氏は、2006年「アントプレナー・オブ・ザ・イヤー」で社会起業家として表彰された。その駒崎氏が立ち上げたフローレンスは、病児保育という社会の課題に取り組んでいる。『「社会を変える」を仕事にする ― 社会起業家という生き方』では、駒崎氏がなぜ社会の課題を解決しようと思ったのか、どうやって社会の課題に取り組んでいったのかが駒崎氏のユニークな語り口で描かれている。

 ここでは、駒崎氏がなぜ社会の課題である病児保育に取り組もうと思ったのかについて簡単に紹介しよう。

なぜ「社会を変える」ためにフローレンスを立ち上げたのか

ITベンチャー社長としての自分に疑問

出典:www.flickr.com
 社会の課題に取り組むNPOの代表が、元はITベンチャーの社長と聞けば驚きである。駒崎氏自身も社会の課題に取り組むことと、ITベンチャーの発想には相容れない部分があると感じている。

 ITに強い慶應義塾大学総合政策学部に通っていた駒崎氏は、仲間が作ったITの会社に誘われる。ITについては全くだったが、マネジメントの手腕が買われ誘われたのだ。営業を手伝い、会社の全体像をつかんで社長に就任することとなった。

 売上も上がるようになってきて、駒崎氏は会社をどうしていきたいのかについて考えるようになる。そして株式上場を目指す社長仲間や会社内での仲間との意見が合わなくなっていくのだ。なんのために儲けるのか、競争優位のための技術革新で、その先に何を得たいのか

 自分自身でも分からなくなった駒崎氏は留学し、一度客観的に自分を見つめる機会をもつことになる。

社会の役に立ちたい!

  留学先のアメリカ社会から日本という社会を見つめ、自分を見つめ直したとき、駒崎氏は、答えを見つけてしまう。日本社会の役に立ちたい。駒崎氏は自身で、それを中学生日記の委員長みたいな台詞と恥ずかしがるが、その日本社会の役に立ちたいという気持ちを押さえることができなかった。
  
 ではどうやって社会の役に立てばいいのか。駒崎氏は模索する中でNPOという形を見つける。社会の課題に取り組むことで、社会の役に立つ決意をするのである。

病児保育という社会の課題の発見

by 44444 U.A.E
 社会の役に立つために、社会の課題の取り組むNPOを立ち上げる。そこまで決めたはいいが、駒崎氏はどんな社会の課題に対して取り組んでいけばいいのかが定まっていなかった。

 日本社会の課題にはどのような課題があるのだろうか。一口に課題といっても、課題の規模や範疇は様々である。日本社会の課題を模索していく中で、自身の経験や母親との会話から身近な課題を発見する。それが病児保育という課題であった。


 以上、簡単に駒崎氏が社会の課題である病児保育に取り組むことになった経緯を紹介した。本書ではさらに、病児保育という社会の課題を見つけてから、どのようにその課題に取り組み、課題の解決に向けて動いていったのかが詳しく語られている。

 さらに病児保育という社会の課題に取り組むことで、その問題を生み出す社会の根幹的な構造に課題意識が生まれ、ワークライフバランスという社会の課題を駒崎氏は見つけた。駒崎氏はそれに取り組もうとする決意までを語っているのである。

 駒崎氏がこのようにNPOを立ち上げ、社会の課題に取り組んでいる過程について『「社会を変える」を仕事にする ― 社会起業家という生き方』で語ることにしたのか、それには深い理由がある。社会を変えるのは、政治家や官僚だけではない。「気づいた個人」が事業を立ち上げ、社会の課題を解決できる時代になっている。

 社会の役に立ちたいという気持ちから、社会の課題に取り組もうとする若者たちに、自らの過程を示すことで一歩を踏み出す勇気を与えたいと考えているのである。

 本書は組織の立ち上げ方、運営方法についても示唆に富んだ内容となっているだけでなく、一人の人間が何を思って生きているのかが赤裸々に描かれている。ビジネスパーソンとしてどう生きていくのかを見つめ直す一冊としてぜひ読んでほしい。

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