1. “社員1人から奇跡の復活” 静岡の名菓子店・たこ満、熱い社員とリピーターを生む経営理念に迫る

“社員1人から奇跡の復活” 静岡の名菓子店・たこ満、熱い社員とリピーターを生む経営理念に迫る

出典:www.takoman.co.jp
 近年、様々な和洋菓子を楽しむ「スイーツ女子」と呼ばれる人々が現れるなど、お菓子ブームを迎えている。各コンビニエンスストアもスイーツの商品開発に力を入れている。和洋菓子だけを製造・販売する菓子店としては、コンビニエンスストアなどのマルチ食品販売店には負けたくない。

 菓子は様々な場面で人々の心を和ませる役割を果たしている。家庭においては、菓子を食べる子供達の笑顔が溢れることもあれば、一家団欒の場を作ることもある。また、ビジネスの場においては、差し入れとして菓子を取引先などに渡すのがビジネスマナーでもある。菓子は人間関係構築の効果もあるのだ。

 今回は、2/11(木)にテレビ東京で放送予定の『カンブリア宮殿』に合わせて、多様化する菓子のニーズに応えて200種もの菓子を製造し、毎日150種以上の菓子を店頭に並べる静岡の名店・たこ満を紹介しよう。さらに、たこ満経営者・平松季哲の過去の失敗を活かした経営理念とその実践である地域超密着型戦略についても見ていこう。

静岡の人々のニーズに応える名菓子店・たこ満

出典:www.takoman.co.jp
 所在地:静岡県菊川市上平川565-1
 経営者:平松季哲
 創業:昭和28年
 従業員数:350名

静岡の人々の舌を魅了する、たこ満の人気菓子TOP3

 たこ満の1番人気商品は「大砂丘」である。たこ満は、「甘すぎず、オーソドックスなしっかりとした作りで、ボリュームのある菓子作り」を大事にしている。人気商品である大砂丘も同様である。

 大砂丘はブッセの間にたこ満オリジナルのチーズクリームを挟み、和菓子と洋菓子を合わせたものだ。繊細な味とチーズの味がクセになる至極の一品だ。

 価格は6個で950円、8個で1,260円とリーズナブルな値段だ。1番大きなサイズでは、20個を3,000円で購入することができる。お土産などにいかがだろうか。
 一見すると普通の団子のようだが、たこ満の生み出す団子は“一味違う”。この写真を見ると、誰もがみたらし団子だと思うだろうが、実は団子の中には餡が入っているのだ。口に含んだ瞬間、みたらしの味と共に餡の味がする。まさしく一味違う一品だ。

 みたらしのタレは甘辛いしょうゆダレを使っており、餡は北海道十勝産の小豆を使っている。この新感覚の味が静岡の人々を魅了したのだ。

 たこ満の「あまから団子」は10本1,080円という価格で通信販売でのみ食べることができる。
 大砂丘・あまから団子に次ぐ人気を誇るのが、「遠州フロマージュ」だ。静岡県内産の3つの素材をベースとしており、有機栽培のキビ糖から作ったミネラル分豊かなオーガニックシュガーを使った生地はふんわりとしている。北海道産のマスカルポーネチーズとフレッシュチーズを合わせ、そこに純生クリームを加えた。

 コクのあるまろやかな味わいのクリームチーズは子供から高齢者まで、幅広い年齢層から人気を集めている。遠州フロマージュは8個で1,400円という価格で販売されている。たこ満の生み出すまろやかな味の菓子を楽しむのに欠かせない一品だ。
 他にも、たこ満では多種多様な菓子が製造・販売されている。以下の動画では、茶の名産地として知られる静岡の茶の葉を振りかけた「茶の葉フリアン」がたこ満小笠本店の店長のオススメとして紹介されている。

たこ満の過去の失敗から生み出された経営理念とは

 たこ満は昭和28年に静岡で創業し、会社表記名は「多古満」であった。なぜ、菓子店の名がたこ焼き屋のような名前なのか疑問に思う人は多い。これは先代の社長がたこ満を創業する前、菓子作りの修行のために働いていた菓子店で、初めて食べた酢ダコが忘れられないくらい美味しかったことがきっかけだ。この先代の後を継いだ男が平松季哲だった。

たこ満経営者・平松季哲の過去の失敗

 先代の後を継いだ平松季哲は順調に会社を拡大させていき、客足も増え、売上も順調に伸びていきました。しかし、1980年の浜岡の出店第一号開店から暗雲が立ち込んだ。たこ満から離職する社員が後を絶たなかったのだ。増える客足とともに客の需要も大きくなっていったのに適応しようと、社員を無理させてしまったのだ。

 何より平松季哲にショックを与えたのは、信頼していたたこ満のキーマンであった社員までもがたこ満から離職してしまったことだ。いくら客足が増え、業績が伸びたとしても社員が減ってしまっては業績を維持することもできない。結局、たこ満に残った社員は平松季哲の他に1人だけであった。平松季哲がたこ満の経営者として最初に犯した大きな失敗であった。

失敗から生まれた、たこ満の経営理念とは

 平松季哲は失敗を機に、「お客様だけでなく、社員も幸せにしなければ、お客様を幸せにすることなどできない」ということに気付いた。この失敗の気付きから生まれた経営理念が「一人のお客様の満足と、一人の社員の幸せ」である。この経営理念の下、平松季哲は社員・パートの人間力と技術力の向上に取り掛かった。

 「たこ満一人一人の社員が、たこ満で働いていて良かったと思える企業に」「たこ満に訪れたお客様が本当に満足して、またたこ満に行きたいと思わせられる企業に」という気持ちを込めた経営理念の実践は、他社も注目せずにはいられないものであった。

経営理念の実践、たこ満の涙の社員研修とは

 たこ満の新人研修は2カ月間あり、そこで学んだことをノートに全て記すと4~5冊にもなる。平松季哲をはじめとする先輩社員が新人社員にたこ満スピリッツを伝えているのだ。また、新人研修は2カ月間受けて終了ではない。最後に厳しい卒業試験が控えているのだ。試験は商品説明やたこ満心得や接客はもちろんのことだが、最も過酷なのは仕事への思いの発表である。

 新人研修への思いや今後の仕事の決意を述べる最終試験で、平松季哲は1人に合格を出すのに3時間かけることもあった。この過酷な最終試験に涙を流す新人社員も少なくない。さらに、最終試験後、新人社員の両親から新人社員に向けて手紙が贈られる。過酷で厳しい環境に対する涙だけでなく、感動の涙もたこ満の新人研修にはあるのだ。

 さらに、平松季哲は失敗を活かし、社員とのコミュニケーションをとるため、400人の日報を全て1日で読み通してデイリーニュースという手書きのメッセージを社員に毎日送っているのだ。この取り組みを20年間も続けている。並大抵の気持ちでは、こうした取り組みを続けることはできない。

静岡の人々を満足させる、たこ満の接客とは

 本来、どこの会社でも接客マニュアルというものが存在し、会社の理念に即した接客をすることが従業員には求められる。しかし、たこ満は従業員に「たこまんの心」という本を一冊与えるだけなのだ。この本を読むだけで、たこ満のサービス精神を理解し、共有することができるのだ。

 この本が作られたきっかけは一人の高校生の苦情のハガキだ。内容はたこ満従業員の接客に関するものだった。平松季哲はハガキの内容に即して、「たこまんの心」を書き上げた。そして、たこ満の接客を見直すきっかけを与えてくれたハガキはまだ保管されている。

 マニュアルのないたこ満の接客は、従業員一人一人が「どのような接客がたこ満を訪れたお客様を満足させることができるか」を考えることが最も重要なポイントだ。試食を勧めたり、店頭まで見送ったりと従業員の接客は様々であるが、どれも静岡の客を満足させている。

 以下の動画では、たこ満経営者・平松季哲が経営理念が生まれた背景にある失敗や経営理念に込めた思いを語っている。さらに、平松季哲の経営理念の下で育てられた社員がインタビューされている。たこ満の経営理念がよりイメージしやすくなるだろう。


 静岡の人々の心を掴むたこ満の経営理念が失敗から生まれたものだということに着目してほしい。経営者・平松季哲は失敗と向き合い続けた期間、寝ることもできなかった。それだけ失敗と向き合い、今後どのように改善していくべきなのか模索した結果が、たこ満を現在のような優良企業へと変化させたのだ。私達は失敗を悔やむだけでは前に進めない。失敗と向き合った時間が長ければ長いほど、後で大きな成果が得られるのだ。

U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する