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相続税に関する疑問! 土地の路線価とは?

粕谷満子

2016/11/30(最終更新日:2016/11/30)


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出典:pixabay.com
 人が死亡した場合、配偶者や子どもなどがその人が所有していた財産は相続することとなる。相続税は、こうした財産の移動に伴って課税される税金のことである。

 また、遺贈や死因贈与といったものも、贈与税ではなく相続税が課税されることになる。そんな相続税を算出するには、もちろん残された資産について色々なものを計算しなくてはいけないのだが、そのうちの土地に関するもの計算するために路線価というものは出てくる。

 今回はそうした相続税における路線価の決まり方や、確認方法、また公示価格との関係性などをみていけたらと思う。

そもそも路線価って何?

 路線価というものは、『財産評価基本通達』や総務省自治税務局固定資産税課資産評価室監修の『固定資産税のしおり 』といったものによれば、市街地的形態を形成する地域の路線(不特定多数が通行する道路)に面する宅地の、1平方メートル当たりの評価額のこと、とされている。いわゆる課税価格を計算する基準となるものになり、相続税や贈与税を算出するもとになる相続税路線価と、固定資産税や都市計画税・不動産取得税・登録免許税基を算出するもとになる固定資産税路線価の二種類がある

 ただし、単に「路線価」と言った場合は、相続税路線価を指すことが多い。今回もこちらのものをみていこう。この相続税路線価は、毎年7月に国税庁が公表する路線価であり、前述のように、相続税の計算をする時に必要となる重要な数字である。

 基本的には、土地の価値は、そのときそのときの時価を計算するのが原則である。とはいえ、日本中の全ての土地の時価を計算するとなっては、これはとても大変な作業になってしまう。

 そこで税務署は道路に値段をつけたのである。これを路線価と言い、この値段に土地の面積をかけて、それが相続の土地の評価とすることになった。また、この路線価は毎年変わるもので、7月1日、全国の国税局や税務署で公表されるのである。ところで、なぜ7月に発表されるのか。例えばその年の1月に亡くなった人がいた場合、10月に申告をしなければならない。そこで、遅くとも7月ぐらいにはその年の路線価を発表しておかないと、そうした人らの相続税の計算が間に合わなくなってしまうためである。

路線価ってどうやって決まるの?

 前項で毎年7月1日に新しい路線価が発表されることは述べたが、ではその路線価はどうやって決まるのだろうか。路線価の評価時点は、毎年1月1日である。この1月1日時点の評価額が、その年の7月に公表されるのが通例であるため、この1月から6月にかけて評価作業が行われていることとなる。実はこの路線価の評価作業、そして決定には、国から委託を受けた不動産鑑定士と国家資格を持った専門家たちが深く関わっているのである。当然1人で全国の路線価を決定するのは不可能なため、この路線価を決める時期には不動産鑑定士と専門家たちはフル稼働となる。

 彼らが参考とする資料や情報は、昨年度の路線価・直近の売買事例・該当地近辺の都市計画情報・地価公示価格・売買実例価額・不動産鑑定士等による鑑定評価価額・精通者意見価格、などであり、これらを基にしながら決めていくのである。つまり、専門家たちの意見を聞きながら、税務署の方で不公平とならないように決めているわけだ。だいたい公示価格の8割程度を基準に決まる。

相続税計算の為に路線価を調べよう!

 あまり知られていないかもしれないが、近くの税務署へ行くと、自分の土地の接道している道路の値段を見ることができる。あとは計算するだけである。各税務署には、その国税局管内の路線価図が設置されているのである。また他には会計事務所でも、相続を専門にしているところなどには設置されていることがあるだろう。税務署の窓口に行き、「路線価図を見せて頂けますか?」と頼めば誰でも無料で見せてもらえるのである。


  自分の所有している土地がどんな価値を持っているかを知っておくことは、いざという時の相続税を計算するのにも必要なことである。毎年変わるとしても、意外と気軽に調べることができて知れることなので、一度試しに税務署へ訪れるのも良いかもしれない。


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