1. 教育業界を変革する、“30歳以下の起業家30人”:EduTechの最前線はどんな未来を見据えるか

教育業界を変革する、“30歳以下の起業家30人”:EduTechの最前線はどんな未来を見据えるか

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 教育業界が抱える課題は多い。教育が人間の生活における重要性を考えれば、教育業界の課題は人類の優先課題といっても過言ではない。教育業界における数多い課題の中でも、最も優先度が高いのは、教育機会についての課題だろう。

 この大きな課題に対して、近年教育業界では大きな変革がなされようとしている。教育業界を大きく変えつつあるのが、近年のテクノロジーの進化である。教育業界における教育機会の課題とは、教育へのアクセスが難しい状況におかれた人々をどうするかということであった。テクノロジーの進化によって時と場所を選ばず知にアクセスが可能になった現代において、その課題の解決に向けた動きが大きくなっている。

 経済誌、フォーブスが発表した「30アンダー30」リストに、教育業界に変革をもたらそうとしている30歳以下の若き起業家30名が選ばれた。教育業界に変革をもたらそうとしている教育業界人の中でも、最重要とされる教育業界のホープたちである。今回はその教育業界の若き起業家30人を紹介する。

アンダー30の教育業界の起業家たち:30人 

Matthew Ramirez(26歳):WriteLab・共同設立者

出典:home.writelab.com
 Matthew Ramirezは、WriteLabの共同設立者である。彼は、自身が書き方を教えるクラスをもったことがきっかけで、書き方を教える人工知能を開発することを思いついた。大人数のクラスを担当したため、一人ずつに丁寧に迅速なフィードバックができなかった。書き方には法則性がある。理論化して人工知能が教えることができれば、と思いつくのである。

 WriteLabは、既に多くの学校で採用されている。貧しい子どもが多く通う学校から、名門大学までその幅は広い。 彼は収入や能力には関係なく、全ての人々がこのシステムを使えるようになればいいと考えている。

 「全ての人々に教育の機会を」と考える彼が、これからの教育業界に変革をもたらそうとしている。テクノロジーを駆使した彼のこれからの教育業界での活躍が期待されている。

Milagros Barsallo(28歳):RISE Colorado・共同設立者

出典:www.teachforamerica.org
 Milagros Barsalloは、貧しかったりマイノリティであったりするために生まれてしまう教育機会の格差を埋めるために、RISE Coloradoを設立した。自身が移民であったという境遇の彼女は、自分は幸運にも教育機会に恵まれたが、全く教育を受けるチャンスのない子どもたちの存在を知っていた。

 彼女は教育機会の不平等がなくなるまで、教育業界に献身する覚悟をもっている。心強い教育業界のホープなのである。

Trevor Wilkins(26歳)Logan Cohen(25歳):Kudzoo・共同設立者

出典:www.kudzooapp.com Trevor WilkinsとLogan Cohenは、“Küdzoo”というユニークなアプリで教育業界に参入した。このアプリは、学生が何かしらの学業を達成したとき、それを“Küdzoo Cash”に変換してくれる。学生たちは、実際にそれをギフトカードに交換したり、レストランで使うことができるのである。
 
 学生が学業において、モチベーションを高く保つことができるように開発されたアプリなのである。教育業界において教育機会の均等の課題の中には、教育を受けたくても受けられないという問題だけでなく、環境によっては教育に対するモチベーション自体が育たないという問題も含まれる。

 彼らのユニークな発想が教育業界にどのような変革をもたらしていくことになるのか、教育業界の今後が楽しみである。

Eric Duffy(27歳):Pathgather・共同設立者

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 Eric Duffyが設立したPathgatherは、雇用主が被雇用者が新しいスキルを教育し、またスキルを習得したときには賞与を与えるサポートをしてくれるオンライン上でのシステムを提供している。

 教育業界というと、とかく子どもたちの世界がイメージされやすいが、大人の教育についても教育業界においては論じられるべきだろう。特に労働者という立場になったときに、教育の機会にどれだけアクセスできるかで獲得できるスキルに差が生まれるのだから、教育業界において大人の教育の問題も重要な課題として考えられる。

 Eric Duffyが若き教育業界のホープとして選ばれたのは、教育業界において労働者の教育のあり方も重要な課題と考えられていることを証明している。

Maggie Dunne(25歳):Lakota Children's Enrichment・設立者

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 Maggie Dunneが設立したLakota Children's Enrichmentは、アメリカ、サウスダコタ州のインディアン居留地の教育の問題に非営利で取り組んでいる。アメリカにおけるインディアンが抱える課題は、教育業界におけるものだけでなく、社会的、経済的と多岐に渡る問題が含まれている。

 Lakota Children's Enrichmentは、インディアンが抱える課題の現状を多くの人々に知ってもらい、教育業界においては、子どもたちが教育機会にアクセスできるようにサポートを続けている。

Heejae Lim(29歳):TalkingPoints・設立者

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 Heejae Limが設立したTalking Pointsは、母国語が英語でない親が、英語を話す教員の意思疎通をサポートしている。英語が話せないがために、子どもの学校での様子が分からない状態に陥っていた親たちにとって、救いの女神のような存在となっている。

 日本にいると分かりにくいが、グローバル化が進む社会の中で、言語や民族が多種多様に混合していく中では起こりうる問題なのだ。教育業界においても例外ではなく、マイノリティがつらい思いをする場面が生まれている。

 教育業界においては、子どもたちの教育機会を守るためには、家族から守っていく必要がある場合も少なくない。教育業界の課題はあらゆる場面に潜んでいる。教育業界のそれぞれの課題に対しては、細やかな対応が必要なのである。

Marcus Noel(29歳):Heart of Man・設立者

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 Marcus Noelが設立したHeart of Manは、学生とビジネス界をつなぐ役割を果たしている。学生たちに自分たちのアイデアを製品として売り出す機会を与えているのだ。教育業界とビジネス界をつなぐユニークな取り組みである。

 ビジネス界においては、学生ならではのユニークな発想を得られる利点がある。教育業界においては、ビジネス界とのつながりそのものが利点だろう。教育業界はその教育という性質から閉鎖的になりがちである。このユニークな取り組みが教育業界の風通しをよくする一助になればと思う。

Jerelyn Rodriguez(26歳):The Knowledge House・共同設立者

出典:4pt0.org
 Jerelyn Rodriguezは、アメリカでも荒廃した地域のイメージをもたれがちなサウスブロンクスで育った。彼女は、その近隣でThe Knowledge Houseを設立する。彼女は十分に教育を受けれなかった若者たちに、仕事につなげられるような基本的な教育を行っている。

 教育業界において、教育の機会均等は吃緊の課題である。それは、就業機会とも深く関係するからだ。教育業界においては再生産の問題として取り上げられることもあるが、教育機会が地域性によって差が生まれてしまうなら、それは子どもたちにとって不幸なことである。この教育業界の吃緊の課題に立ち向かうため、彼女は奮闘しているのである。

Sarahi Espinoza Salamanca(26歳):DREAMers RoadMap・設立者

出典:www.msnbc.com
 Sarahi Espinoza Salamancaが設立したDREAMers RoadMapは、不法移民となってしまって、教育機会を奪われていた学生を支援するアプリを提供している。このアプリを利用して、奨学金などの機会を探すことができるのだ。

 教育業界において、アメリカの移民問題は暗い影を落としている。彼女自身がメキシコからカリフォルニアに移住し、正規の登録手続きがなされていなかったために、大学への夢を諦めた経験をもつ。アメリカには彼女のように教育を受けたくても、書類上の問題でその機会を奪われてしまっている若者が多くいる。その若者を救うべく、彼女はDREAMers RoadMapを設立したのだ。

その他、教育業界の若き起業家たち

Aneesh Sohoni(27歳):The New Teachers Project・プロジェクトマネージャー

Charlie Stigler(23歳):Zaption・共同設立者

Cassandra Tognoni(28歳):BookReport・共同設立者

Esther Tricoche(29歳):NewSchools Venture Fund・Associate Partner

Andrew Colchagoff(29歳):Gingkotree・共同設立者
 
David Comisford(29歳):EduSourced・設立者

Connor Diemand-Yauman(27歳):Coursera・Corporate Partnerships Lead

Chelsey Roebuck(27歳):Emerging Leaders in Technology and Engineering・共同設立者

Carissa Romero(29歳):Project for Education Research That Scales・共同設立者

Sarah Filman(29歳):Microsoft ・VP, Code.org

Christopher Pedregal(29歳):Socratic・共同設立者

Libby Fischer(27歳):Whetstone Education・CEO

Peter Gault(27歳):Quill・共同設立者

Constance Iloh(28歳):カリフォルニア大学・Chancellor’s Postdoctoral Fellow 

Jonathan Leung(25歳)Zach Latta(18歳):Hack Club・共同設立者

Eric Lavin(28歳): Aspen Ventures・Founding Manager

Amy Lin(29歳):Blendspace・共同設立者

Mary Jo Madda(29歳):EdSurge・編集長

Kate Machtiger(26歳):Luminary Labs・プロジェクトリーダー

Gabriel Nakashima(28歳):Charter Substitute Teacher Network・設立者

 
 フォーブスが発表した「30アンダー30」リストから、教育業界の若き起業家30名を紹介した。自らが肌身で感じた教育業界の課題をなんとかしたいという思いで、教育業界の課題に立ち向かう人物が多くいる。教育業界の課題に取り組むことは、必ずしも経済的成功につながらないことがある。ここで紹介した教育業界の起業家の多くが、清廉で強い志で教育業界の課題に取り組んでいるのだ。

 また、教育業界の若き起業家の多くがテクノロジーを駆使していることも伝わっただろう。冒頭でも述べたが、教育業界における最大の課題の一つが、教育機会の不平等である。それは教育業界のみならず、社会的、経済的課題にもつながっている。これからも教育業界の若き起業家たちがテクノロジーを駆使し、教育業界に変革をもたらしてくれるだろう。

 教育業界の若き起業家たちは、教育業界のみならず、社会、経済にも大きな変革をもたらすかもしれない。これからも彼らの動向に注目していきたい。

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