1. “大量閉店”に立ち向かう小売業、イオンとヤマダ電機の逆転戦略に迫る

“大量閉店”に立ち向かう小売業、イオンとヤマダ電機の逆転戦略に迫る

by kinpi3
 近年、Amazonや楽天などのネット通販の台頭、そしてライフスタイルの変化により、現在の小売業のビジネスモデルでは限界を迎えつつある。つまり、近年の変化に適応した新たなビジネスモデルの形成が、小売業に求められているのだ。多くの企業が、業績赤字を回避すべく、店舗閉店といった規模縮小の動きを見せている。

 スーパー業界のトップに君臨するイオンは、閉店して店舗を減らしていくのではなく、店舗自体の改革に取り組んでいる。また、家電量販店のトップを走るヤマダ電機も、閉店するだけではなく、新たなターゲット層に合わせた店舗のオープンなど、独自の取り組みをしている。

 今回は、2016年1月12日(火)放送のテレビ東京『ガイアの夜明け』に合わせ、店舗閉店など変容していく社会の中、変革が迫られる小売業において、イオンやヤマダ電機がどのような取り組みをしているのか紹介していこう。

店舗閉店をしない“イオンスタイル”とは

出典:trynext.com
 例えば、セブン&アイ・ホールディングスはコンビニエンスストア事業においては、さすが業界最大手という勢いを落とすことなく、過去最高益を記録しており、絶好調である。しかし、総合スーパー事業を担うイトーヨーカ堂は約90億円の赤字を記録し、セブン&アイ・ホールディングス全体としては赤字に転じることとなった。セブン&アイ・ホールディングスだけでなく、イオンをはじめとした他社の総合スーパー事業も不振が続いている

 総合スーパーと言えば、かつては食料品だけでなく日用品雑貨や衣料品も販売しており、その圧倒的な幅広い品揃えから、多くの消費者を取り込んでいた印象が強い。しかし、近年、様々なジャンルの商品が並べてあるものの、専門店に比べると不十分な品揃えであるため、抱えていた消費者を他の専門店に奪われてしまったのだ。そして、総合スーパー事業の閉店時代が始まってしまった。

 競合していた企業が、総合スーパーの閉店を決めていく中、イオンは現存するイオンモールの質の向上に力を入れている。例えば、売り場人員や地域の商品開発担当者を増やすことで、接客や地域商材が充実を狙っている。さらに、イオンモール店舗の改装にも着手している。この取り組みこそがイオンスタイルなのだ。イオンスタイルとは、多様化するライフスタイルに対して、専門性の高い売り場を設備するというイオンの考え方を表す言葉である。

 イオンスタイルを逆転策として打ち出すイオンの決断の根底にあるのは、イオンモールを簡単に閉店できないという事情だ。なぜなら、イオンモールは核テナントとして、顧客や優良テナントを集める役割があるため、業績不振だけを理由に閉店することはできない。イオンモールを閉店してしまえば、ますます業績は落ちてしまう危険性が大きいのだ。

ターゲットの心を掴む、ヤマダ電機の新戦略とは

by くーさん
 多くの家電用品を揃えるヤマダ電機は、多くの商品を仕入れ安く売る大型小売店として消費者の心を掴んできた。しかし、家電を購入する頻度が低下する傾向になると同時に、ネット通販が台頭するようになった。結果的に、ヤマダ電機に足を運ぶ消費者は減っていき、イオンをはじめとした総合スーパー事業と同じく、規模縮小のために店舗を閉店する動きが見受けられるようになった。

 業界最大手であるヤマダ電機も全国へ店舗を拡大していく姿勢から一転、規模縮小のために店舗を閉店するようになった。ヤマダ電機は従来、規模を拡大することでシェアの拡大を狙い、利益を追求する方法を採用してきたが、限界を迎えたのだ。規模を拡大すればするほど、販売効率は低下し、ヤマダ電機の業績は悪化していった。今後のヤマダ電機は、業界トップのシェア率25%を維持する業態にシフトすることとなった。

 シェア率の維持と聞くと、ヤマダ電機は守りの姿勢に入ったかのように思える。しかし、ヤマダ電機は新戦略による成長を狙っていた。ヤマダ電機は、従来の規模拡大戦略から、ターゲットに合わせた店舗改装戦略へと転換したのだ。例えば、東京駅前には、富裕層や中国人観光客をターゲットとした高級家電コーナーを設けた店舗をオープンした。他店舗においても、家電だけではなく日用品や玩具のコーナーも設けた。ヤマダ電機の新戦略はすぐに効果を発揮した。ヤマダ電機の純利益は、前年比の3倍を記録することとなった

 ネット通販の台頭に伴い、家電量販店の相次ぐ閉店など衰退が予想されているが、家電量販店が消滅することはない。なぜなら、ネット通販が独自で家電を販売しているのではなく、家電販売においては、家電量販店に依存しているのが現状である。そのため、ネット通販の台頭に対して、ヤマダ電機は特に脅威を感じていないのだ。むしろ、ヤマダ電機は、新たなビジネスモデルで成功をすることができる機会になったと、前向きに捉えているのだ。


 イオンやヤマダ電機の挑戦し続けていく姿勢は、ビジネスで成功を目指している全ての人達が見習わなければならない。イオンは周りの企業を模倣するだけでは、生き残ることはできても、先頭に立つことはできないということを感じさせてくれた。ヤマダ電機は、業界最大手でありながら、常に攻めの姿勢を忘れてはならないということを教えてくれた。私達もビジネスを成功させるために、リスクを恐れずに挑戦しなければならないのではないだろうか。

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