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「なぜ不景気でも、高級時計は売れるのか?」 高級時計バイヤーが語る、“資産としての高級時計”

U-NOTE編集部

2016/01/06(最終更新日:2016/01/06)


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  不可逆であるからこそ、美しい時間。「人間は根源的に時間的存在者」であり、そんな時間を私たちに教えてくれるもの――それが時計である。私たちが時間に寄り添いながら生きているように、時計もまた、私たちにとって欠かせない存在であろう。

  今回は、そんな時計の中でも「高級時計」と称される時計にフィーチャーするため、10年以上、高級時計バイヤーとして第一線で活躍し、現在はブランド品オークション「スマオク」を運営するザワット株式会社のシニアマーチャンダイザーを務める本島 大介(もとじま だいすけ)氏に、高級時計の“いろは”を尋ねてみた。

  今回のインタビュー中、最も多く出てきた言葉————それが“資産価値”という言葉だった。果たして、これはどういった意図で用いられたのだろうか。その真意に迫っていこう。

なぜ不景気でも、高級時計は売れるのか

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――「不景気でも高級時計は売れる」と言われていますが、なぜ高級時計は売れるのでしょうか?

  今はスマートフォンで時間が見れるため、時計の重要性は低いと思われがちですが、実は高級時計の類は今でも強い需要があり、売れています。その理由は個人によって異なりますが、その中で多く聞くのが「資産価値が高い」という声です。 

――「資産価値が高い」とは、どういう意味でしょうか?

  例えば、「2009年にロレックスを新品で購入し、5年間ほぼ毎日使用していた。急遽お金が必要になり、その時計を買い取りに持っていったら、購入した時よりも高く売れた」というケース。このように、何年間も使用しているのに値段が上がったというような摩訶不思議な現象ですが、実は高級時計の世界ではよく聞かれる話です。つまり、資産価値が高いとは、使用済みであっても中古市場での評価が高く、換金率が高いということである。

  ちなみに、5年前の洋服や家電製品などはどうでしょうか? 5年前の商品であれば、ほとんど値段はつかないでしょう。高級時計に資産価値があるという点は、高級時計を購入するべきメリットの最たるものといえるのです。

――その他に、高級時計を買うべき理由はありますか?

  もちろん、他にも高級時計を持つことのメリットはあります。

  例えば、女性からの視線ですかね。確かに、高級時計といえど時計は時計にすぎません。時間を確認できれば時計なんてなんでもいいや、という方もいるでしょう。しかし、必要じゃないところにお金にかけられる人は、「お金に余裕がある」という印象を与えやすく、その証拠に、大半のキャバ嬢はスーツや財布ではなく、時計を見ています。どれだけ「必要とされてないアイテムにお金をかけられるか」、これは女性の視線を否が応にも惹きつけ、大半の女性からの好感度を上げることにも繋がることなのです。

  女性から見ると、単にお金を持っているのが良いというわけではなく、心に余裕があったり、その収入を実現できる能力があったりというところがわかるのが大きいかもしれません。

――それはなんとも嬉しい話ですね(笑)。

  また、仕事というキャリアにおいても、高級時計を身につけていることがプラスに作用します。保険会社の人が最高級のボールペンを使っているように、職種によっては、いい時計をするのが営業成績の向上に作用したりもします。誰でも、心に余裕があり、いい時計ができるような方と一緒に仕事をしたいですからね。

――でも、高級時計を若いうちから身につけてると、上司から嫌な目で見られませんか?

  それは一理ありますね。高級時計を買う時期については、20代後半から30代前半くらいからが平均的な買い始めの年齢になっていて、20代前半の方はあまり多くないですね。ボーナスを自由に使えるようになったお客様や、自分のお金をすぐ使っちゃうというお客様が、「資産に変えておきたい!」といった理由で購入されるケースが多いです。

高級時計は100年使える! 

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――話は戻って、高級時計の資産価値が変動しない理由についてですが、なぜ高級時計の資産価値は安定しているのでしょう?
  
  それは、職人によるハンドメイド製法だったり、使われる素材であったり、理由は様々ですが、一番の理由は、メンテナンスを怠らずにいれば100年使えるという点ですね。実際に、今から100年以上前に作られた懐中時計などのアンティーク時計も、今でもきちんと時間を刻んでいます。

――では、例えば、2015年に50万円の高級時計を購入したとして、100年後の売値も50万円のまま、ということでしょうか?

  そうですね。ただ、資産価値に関してはモデルによる個体差もあります。ロレックスやオメガなどは、モデルによっては50年前からデザインがほとんど変わらないですが、デザイン性の強いものは流行り廃りがあったりするので、資産価値が下がってしまいますね。

高級時計は、ついた傷もキレイに!

――でも、高級時計の場合、どうしても「傷が付いたらやだなぁ」と考えてしまいます。

  そうですね、そういった声も実に多いです。でも、実際のところ、時計の傷は綺麗になるんです。ケース部分やブレス部分は、ポリッシュ(研磨)をかけることで購入したときと同じ様に綺麗になります。 バッグや衣服と違い、綺麗にすることが出来るのという点も非常に喜ばれています。

※ガラスなど一部綺麗に出来ないところもありますが、部分パーツの交換等も出来るのでご安心下さい。これらの購入後サービスは、ご購入いただいたお店やメーカーで研磨できます(安くければ、5,000〜10,000円弱)。ただ、高級時計といえど機械ではあるので、物理的な衝撃には注意が必要です。

時計の機械は、大きく分けて3種類存在している

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――高級時計とは、具体的にどのような時計を指すのでしょう?

  高級時計の定義は、人それぞれでしょう。その人が高級時計だと思えば、それは高級時計です。ただ、あえて高級時計の定義を言うなれば、時計としてだけでなく宝飾品としての役目、ブレスレットとしての役目を持ち社会的ステータスを表すものでしょうか。

  また一般的に時計の機械は、自動巻き・手巻き・クォーツという3つの種類がほとんどです。その中でも、メンズの高級時計の主流は自動巻き時計になっています。

――本島さんも自動巻き時計を愛用してますか?

  そうですね、私も自動巻き時計を主に身につけています。

  自動巻き時計は、機械に振り子がついており、時計を腕につけている間は振り子が揺れているため、止まることなく動き続けます。ですが、時計を置いたままの状態にすると(時計の種類にもよりますが)、約2〜3日前後で時計が止まります。

  手巻き時計は、時計についているリュウズ(龍頭・別名クラウン)を回すことで動力を貯めて動かす機構になっています。こちらは自動巻きと違い、リュウズでゼンマイを巻いてあげないと腕につけていても止まるので、その都度時間が空いているときに巻いてあげる必要があります。面倒臭いと思う人もいますし、愛着が湧いてくるので手巻きがいいという人もいます。手巻きの時計は、時計フリークの方が好んで購入することが多いイメージですね。

  クォーツ時計は、簡単にいうと電池式時計です。電池で動いている時計なので時間のズレも少なく、止まることもないため一番楽な時計ではあります。さらに、電池式ゆえ比較的低価格の商品が多いですが、機械式時計に比べると寿命が短いというのと資産価値が落ちやすいというデメリットがあります。

――先ほど、「ロレックスやオメガなどは、モデルによっては50年前からデザインがほとんど変わらない」と仰っていましたが、それはなぜでしょう?

  今でも50年前に作られたデザインとほとんど変わらないというのは、それだけそのデザインが洗礼されていて、普遍的なものであるからです。洗練されたデザインを持ち、昔から安定した価値を持つ高級時計は、この先も価値が落ちにくいです。

  高級時計を50年使うとして、220万円のものであれば、日割りで1日120円。しかも、価値はほぼ落ちていないので、50年後に売ることもできる。毎日飲んでいたジュース代が全部返ってくるようなものです(笑)。


  本島氏の話を聞いていると、高級時計に対してどこか気になりつつも、「高級なものがかっこいいものではない」と決めつけていた自分の考えを改めたくなった。普遍的な価値を持ち、100年の時を刻み続ける時計――それが高級時計なのだ。

  高級時計を買うべきメリットは“資産価値”にあり。このフレーズを忘れずに、あなたも高級時計の世界へ一歩を踏み出してみてもいいだろう。


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